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『MLB.com』でレッズを担当するマーク・シェルドン記者は、そのことについて、現地19日付で投稿した記事の冒頭で次のように書いている。
「レッズの一塁手ジョーイ・ボットにとって、土曜は短い仕事日となった」。
事の発端は、この日サンディエゴのペトコパークで開催されたパドレスvs.レッズの1回表、打席に立った4番ボットのスイングを巡る判定だった。
2ストライクから微妙なボールに手を出しそうになったボットは、バットを止め事無きを得たつもりだったが、三塁塁審はスイングと判定(リプレイを見る限り、スイングと判定されても文句は言えず、現地実況席も、これはスイングだと言っている)。
ボットは不承不承ながらダグアウトへ引き返し始めるも、途中で突如として踵を返し、球審に詰め寄ったのである(現地実況席は、球審が何かボットに言ったのだろうと推測していたが、恐らくその可能性が高い)。
その後、球審に激しく抗議したボットと、ダグアウトから出てきて抗議に加わったデビッド・ベル監督は退場を宣告される。レッズにとっては、敵地での出来事となったため、シェルドン記者は、その後の顛末を次のように綴っている。
「パドレスファンはフィールドから出て行くボットにブーイングを浴びせ、彼が試合からいなくなることに胸を躍らせた。しかし、ペトコパークの全員が喜んだわけではなかった」。
「レッズファンの女性は、ボットがこの試合ではもうプレーしないと言われた6歳の娘が悲しい面持ちを浮かべた写真をツイッターに投稿した」。
その女性の投稿には、子供サイズのジョーイ・ボットTシャツを着て、世界の終わりに遭遇したかのように悲壮感漂う表情を浮かべた少女の写真に、「生まれて初めて観に来たMLBの試合で、一番お気に入りの選手が初回で退場してしまった…」という文面が添えられている。
しかし、このツイートは球団側も早い段階で察知したようで、この女性は約90分後に、「アビゲイルの状況についてアップデートが!数イニングかかったけれど、最終的に彼女はポップコーンを食べて元気を取り戻したの!」。
「そしてジョーイ・ボットは超親切にも、この素敵なサインボールを彼女にくれたの!Mr.ボット、そして素敵なレッズ、本当にありがとう!」とツイートし、ボットの直筆でサインと“試合の最後までプレーできなくてごめんなさい”というメッセージが書かれたボールの写真を投稿した。アビゲイルがこの6歳の少女の名であることは言うまでもない。
これは、かなりハートウォーミングな話であり、アビゲイルちゃんに訪れたささやかな幸福に安堵もするが、ここで注目すべきは、やはりこの少女が「数イニングかかったけれど、ポップコーンを食べて元気を取り戻した」ところであろう。
文面を読み解く限り、時系列としては、「ボット退場→アビゲイル絶望→アビゲイル数イニング後ポップコーンで持ち直す→ボットの謝罪文入りボールの到着」ということになる。
これは、かなり胆力のある6歳というべきであろう。何しろ、生まれて初めて球場に観に行った試合で、気合いを入れてちゃんと自分に合ったサイズのTシャツを着てまで応援する一押しの選手が、いきなり初回で退場したのである。
しかも、場所はシンシナティではなく、遠く離れたサンディエゴ。この親子の事情はよく分からないが、恐らく、そんなに簡単にレッズの試合を見られる場所に住んでいないことが推察できる。
今後、次にレッズの試合を生観戦できるのがいつになるのか分からない状況でのまさかの初回退場劇だ。にもかかわらず、「数イニングかかったけれど、ポップコーンを食べて元気を取り戻した」のだから、素晴らしい。
アビゲイルちゃんへ渡されたボットの謝罪文入りサインボールは、タフな精神力を見せた彼女への、ベースボールの神様からの粋なご褒美だとすると、辻褄が合う気がする。
J SPORTS 編集部
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