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野球 コラム 2021年4月27日

【中日好き】岡林勇希、プロの試練

野球好きコラム by 森 貴俊
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試合前練習の岡林(写真:球団提供)

開幕1軍を手にした岡林勇希の表情は輝いていた。プロ2年目の今シーズン、根尾昂と切磋琢磨し、晴れ舞台でのスタートを切った。一学年上の根尾昂がスタメン起用される中、岡林はベンチスタート、歯を食いしばり続けた。「いつかチャンスは来る」そう信じていた。

しかし、4月12日1軍登録抹消。4番ビシエドの故障も関係したかもしれない。翌日アリエル・マルティネスが1軍登録された。1軍出場は4試合、1打席のチャンスは三振に倒れた。

元々、投手出身。肩の強さは入団時から折り紙付きだ。加えてバットコントロールは抜群のセンスを持っている。去年の夏、ナゴヤ球場練習日。フリー打撃を行う選手たちが目を疑った。

ゲージの中で岡林は全てといっていいボールを芯でとらえ打ち返した。居合わせた梅津晃大は通路で福田永将に話しかけた。「福田さん、見ましたか?あいつ、やばいっすね~」。

福田はその時の事をこう話す。「全てですよ。1球もミスすることなく芯でとらえて打ち返しました。あのバットコントロールはちょっと気持ちが悪いくらいですよ」。

常日頃から仁村二軍監督も「根尾、石川昂弥、岡林。一軍で使えば一番早く結果を出すのは岡林だよ。それくらいのバットコントロールはありますね。今はね」と話している。

気になるのは「今は」だ。それを仁村二軍監督は明かした。

「最近になって、やっとこっち(二軍戦)でも相手投手のインコース攻めが始まった。去年まではインサイドに攻める必要はないなって、思われていた」。

「今年は違う。しつこくインサイド来られているからね。1軍で、どんなものかなって、対戦してもらえるうちは結果は出るでしょう。でも、ひとたびマークされたら、1軍投手は簡単には打たせてもらえない」。

バットコントロールが上手い岡林、ゆえにそれが弱点にもなる。仁村二軍監督は「打てない、打てる確率の低いインコースに今、岡林はムキになって向かっていく。結果、グシャって衝突して内野ゴロ。これでもかってくらいムキになる」。

岡林勇希(写真:球団提供)

「バットコントロールが上手い分、自分の弱点にもムキになるんですよ。少し冷静に、そこは打てないから手を出しませんって、悠然と見送れば相手の攻め方も少し変わってくるのに」。

「どんな打者でもプロに入って最初はインコース攻めと、変化球の対応で苦労します。ひとまず今は傍観します。最初の壁だと思っています。それで学んでくれればいい」と話す。

岡林の長所、さらには負けん気の強さが手伝い弱点が露呈している現状。しかし、視点を変えれば成長材料と向き合えている。

岡林は「去年まではアウトコースが多かったんですが、今はインコースを攻められてもセンターから逆方向を意識していますが、どうしても身体が反応して早く開いてしまいます。いい形を作ってインコースの対応をできるようにしたい」と苦労を明かした。

さらに岡林は「開幕1軍には入りましたが、チームの力になれたとは思っていません。全てにおいてレベルアップする必要を感じました。まずは守備と走塁から信頼されるようになりたいです」と前を向く。

そして、得意の打撃についてはインコースの克服ももちろんだが、自分のタイプを理解している。岡林は「次に呼ばれた時はスタメンで使ってもらえるように、そして打率にこだわってやっていきたい」と話す。

確かにドラゴンズは長距離打者の育成が目下の課題だ。しかし、同時に大島洋平も若くはない。もちろん簡単に超えられる壁ではないが、そこに挑戦し超えていく選手が出てこなければならない。岡林勇希の成長は竜の安打製造機の系譜となるはずだ。

文:森貴俊(東海ラジオ)

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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