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野球 コラム 2021年4月14日

【中日好き】清水達也、まとめる技術

野球好きコラム by 森 貴俊
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清水達也投手(写真:球団提供)

キャンプ後の3月上旬、ドラゴンズ仁村二軍監督ははっきり言った。

「今、一番いいボールを投げているのは清水。キャンプ中にどんどん良くなって、帰ってきてからも進化している。見違える真っすぐだよ。梅津をしのぐくらい。惚れ惚れする」。

同感だった。常時148キロ前後をマークし、美しい球筋がミットに収まっていた。開幕ローテの椅子を十分に狙える、そんなボールだった。

オープン戦一軍登板が回ってきたのは3月17日、バンテリンドームの巨人戦。この段階でドラゴンズは4人目以降の先発投手が不透明だった。開幕まで時期的にもラストチャンス。4人目に清水はマウンドに上がった。磨き上げてきたストレートを披露する、はずだった。

結果は2回1/3 68球4安打4失点。5四球の大乱調だった。

清水は「生涯一番ひどいピッチングだったと思います。よかったのは最初の4球だけで、そこからは最悪の投球。自分を取り戻せませんでした」と話した。

相手に痛打されたわけではない。1球抜けたボール。そこから清水の脳裏に過去の失敗がフラッシュバックしてきた。表情はこわばり慌てる清水に変わってしまった。

「去年、ここで吉見さんの引退試合でいい投球ができなくて、急にマウンドで悪いイメージばかりが蘇ってきて。そこからは軽くパニックでした。どうしよう…、あれ…、おかしい…」。

清水は自分で負のスパイラルに陥り、戻ることはなかった。

素晴らしいボールに仕上がっているのは、一軍首脳陣もわかっていた。ゆえに、試合後の与田監督からは清水に「もったいない。ボールはいいのに。使い方が悪い」と告げられた。阿波野投手コーチとは1時間近いマンツーマンのミーティングが行われた。

清水は「いいボールに仕上げても、ピッチングにできなければ意味がない。逆に状態が悪くても、ピッチングをまとめる投手が一軍に残る。改めて痛感しました」と話した。

そんな清水に“気づき”を与えてくれたのは大野奨太だった。

4月11日のウエスタンリーグ、オリックス戦。先発マウンドに上がった清水の調子は決して良くなかった。3月に魅せた素晴らしいストレートは少し影を潜め、試行錯誤が続いていた。

そんな中、清水はこの試合、先発6回116球6安打1失点にまとめた。

清水は「投げながら、奨太さんの配球を感じて、こうやって考えているんだ。こうやって抑えていくんだってリードから伝わってくるものが多くて。僕の状態が良くないってのは分かっていたと思います。じゃあ良くないなら、こうやって抑えていくってメッセージ伝わってきました」。

「今日は調子が悪いから打たれました。負けました。って投手ならこの世界には残れないと思います。悪い時にどう試合を作っていくのか、どう抑えていくのか。今、僕に必要なのはそこです」。

一軍の舞台はボールの品評会ではない。与田監督も言う「使い方」、使いこなしてこそ最高の武器は初めて光る。

今は角度をつけようとするあまり体を反りすぎてしまうフォームを修正している。それでも入団時に比べれば見違える武器は手にした。あとは使い方。試合の作り方だ。それを覚えた時、清水達也は間違いなく覚醒する。

文:森貴俊(東海ラジオ)

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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