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野球 コラム 2021年2月28日

【中日好き】福敬登、初のスローキャンプ

野球好きコラム by 森 貴俊
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昨年は最優秀中継ぎ投手のタイトル(写真:球団提供)

キャリアハイの53試合登板。福敬登はこのキャンプ自身初のスロー調整をしている。

福はこれまでのプロ人生、キャンプではどちらかといえば、前半から追い込んで作っていくタイプだった。そんな選手がスロー調整を打ち出して過ごした沖縄キャンプ。

沖縄入り前、福はこう話していた。「自分としては飛ばしていって、2クール目には仕上げるつもりでしたが、阿波野投手コーチに呼ばれて話したんです」。

阿波野コーチからの言葉はこうだった。「チームとしては、もうアピールをして欲しいという立場では見ていない。ゆっくり調整していきながら、終盤で仕上げてくれればいい。必ず去年の蓄積疲労はどこかで出ると思う。キャンプ中の結果を求めるより、故障されるのがチームにとって一番マイナスだ」。

福はコロナ禍による変則シーズンをフル回転で戦った。決して十分なオフ期間があったとは言えない中でのキャンプイン。阿波野コーチは最優秀中継ぎ左腕の疲労を考慮した。

福はそれでも不安を抱えながらキャンプを過ごした。本当にこれで大丈夫か…。もっと追い込まなければ…。自問自答しながらのスロー調整。悶々とした気持ちを整理する日々で、救いとなったのは去年の失敗だった。

去年の春季キャンプ。沖縄セルラースタジアム那覇での巨人戦。福は登板後、阿波野投手コーチに厳しい言葉を浴びせられた。「今日ピッチング、俺には意図がわからん!」。

左打者へのテーマを持って上がったマウンド、丸などに打たれ結果は出なかったが、福の中ではそこまで言われなきゃいけないのか、という感情が残った。怒り。ふがいなさ。色々感情が爆発しそうな福は、試合後、北谷町まで帰るチームバスの乗車を拒否した。「歩いて帰ります…」。

練習着のフードを頭から被り、バックパックを背負った福はひたすら北谷町まで20キロの国道を歩いた。その表情は福があまり見せる事のない表情だった。感情を自分の中で押し殺し、冷静さを取り戻そうとしていた。「福、乗っていくか?」。そんな僕の言葉すら受け付けない背中だった。

福は「去年、那覇から歩いて帰った事を思い出したんです。キャンプ終盤、あの時は不安でどうしようもなかった。結局、開幕は大幅に遅れましたが、それでもキャリアハイの登板数は投げた」。

「そうやって考えれば、どこまで追い込んでも、どれだけやっても不安だよなって。不安の度合いは変わらないなって。そう考えたらメンタル的に強くなれている気がしてきたんです」。

もう1つ上のステージへ。福はこのキャンプ、“真っすぐの投げ分け“をテーマにした。

竜の勝ちパターンを支える存在

福のストレートの特徴はスライドする、いわゆる“まっスラ”だ。左打者外角には強みがあるが右打者外角はスライドすれば甘く入る。

福は「これまでは、右打者のアウトコースは投げ間違えるなと言い聞かせて投げていましたが、このカウントでは振ってこないなって時は、スライドしてもいいやくらいで投げようと思っています。変な神経使ってネガティブに腕振れないよりその方がいい」。

「もちろんカウントによって、甘く入ったら危ないって時は気を付けます。でも、全部が全部、そんな神経使うより、このカウントは大丈夫って時は腕を振った方がいい結果になる。それだけの経験を去年積めたかなと思っています。これは僕の中で“投げ分け“なんですよ」。

26日、ドラゴンズはキャンプを打ち上げた。結局キャンプ中の対外試合登板はなし。27日北谷での阪神戦が初の対外登板となった。

ある程度の球数制限があったのだろう。マルテ1人に17球粘られた事もあり、打者4人2安打アウト1つを奪いマウンドを降りた。結果が出たとは言えないが、1年前、セルラースタジアムで見せた福の姿はもうない。

「初登板でしたが、特に緊張することなく投げられました。もう一段階上げられると思っているので。その時には今日横に飛んでいた球(ファール)が空振りになればいいと思います。開幕までしっかり上げていきたいです」と手応えを感じている。

「勝ちパターンに入ってくれなきゃ困る」。福はそう言われる所まで上がってきた。同時にそれはタイトルホルダーの宿命だ。

優勝する為の必須条件。それは竜の方程式が盤石であること。今シーズンもその中に福敬登の名前はなくてはならない。

文:森貴俊

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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