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野球 コラム 2021年2月18日

【中日好き】藤嶋健人、失敗こそ財産

野球好きコラム by 森 貴俊
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新フォームに挑む藤嶋健人(写真:球団提供)

1年前、ドラゴンズ藤嶋健人はストッパー争いをしていた。岡田俊哉、ライデル・マルティネスと肩を並べ、抑え候補の1人としてキャンプでアピールを続けていた。

前年の2019シーズン、藤嶋は血行障害を患い、そこから見事な復活劇を演じた。

32試合2勝14ホールド、防御率2.48。最大の強みはテンポの良さから繰り出す大胆なストライ先行のピッチングだ。しかし、2020シーズン、その良さは影を潜めた。26試合3ホールド、防御率は3.91と1点以上下げた。

キャンプ前、藤嶋は去年の反省をこう語っていた。「去年はキャンプの頃から結果が出なくて、結局シーズン通していいイメージが見つからなかったかなと思います」。

「試合になったら、バッターを抑える事が全て、でもどうやって抑えるじゃなく、どうやって投げるばっかり頭にあって。あれ?俺ってどうやって投げてた?って、ずっと自分と戦っていたなと思います」。

SNSなど積極的に取り組む藤嶋だけに色々な言葉が入ってきた。その大半が耳を塞ぎたくなる。

「1年だけか…」
「身体を大きくしすぎ…」
「血行障害が影響しているのか…」

ファンの声はダイレクトに選手に届く時代。スマートフォンを見る事すらやめたくなる。

「結果が出ていなかったので、自分としてもそういう声を処理しきれなかった。落ち込むまでいかないにしても、モヤっとはしていましたよ。結果はついてきませんでしたが、自分がチャレンジした事は否定したくないです。それはそれですから」。

悩んでもネガティブにならないのは藤嶋の武器だ。反省し分析はする。しかし下は向かない。短いシーズンオフでもヒントになる何かを見つけようとしていた。

キャンプ地沖縄で取り組みだしたのは“新フォーム”だ。

藤嶋は「僕の悪い癖はどうしても前に身体が突っ込む。左手のグラブと左足でいったんタメを作ってから前に体重移動するフォームに取り組んでいます」。

「まだまだですが、手応えは感じています。シーズンオフのフィジカルトレーニングでは無駄な力を入れず、ボールに力を伝えていく。それが結果として出始めている」と話した。

今季はチャレンジャーとして挑む(写真:球団提供)

2月16日、北谷での日本ハムとの練習試合。1イニングを投げた藤嶋は先頭打者に四球を出したが、その後の打者を3者連続三振に仕留めた。

「初の対外試合で緊張感もありました。先頭打者への入りがだめ。その後、三振は取りましたが、課題が残りましたね。先頭をしっかり切るのは課題ですが、キャッチャーの郡司さんにもストレートは良かったと言ってもらえたので、そこは良かったです。」と収穫も口にしていた。

翌日の全体練習後、個別にブルペンに入った藤嶋は捕手の位置にロープを張り低めへの意識を磨いた。出てきた課題はすぐに潰す。試合の入りでボールが上ずる点を修正した。

折り返した沖縄キャンプ。この後も藤嶋は実戦登板を重ねていく。ストッパー争いをした去年のキャンプから1年。心境の変化はあるのか。

「試合の途中で投げる投手は流れが変わりやすい。先日の試合のように先頭打者の四球は流れを悪くする。この先、持っている球をすべて低めに制球できるようにしたい。最終的には勝ちパターンへの意識は強く持っています。でも、チームのパーツになるには、まずは開幕1軍になる。その思いが強いです」。

シーズンオフには人生の伴侶を得た。二人三脚で挑む2021シーズン。

キャンプ前「もう一度チャレンジャーとしてやります!」。

そう言った藤嶋健人の表情は実に晴れやかだった。

文:森貴俊(東海ラジオ)

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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