【楽天好き】「日本一を獲りに行く！」田中将大、入団会見

背番号18が帰ってきた

ああ、マー君だ。壇上に続くパテーションから、スーツをきっちりと着た大柄な青年が出てきた瞬間、そう思ったのは、彼が少し照れ笑いのような表情を浮かべたからだろう。

1月30日、東京都内で田中将大投手の楽天入団会見が行われた。「本気で日本一を獲りに行く」と力強く語り、節々に人柄の良さがにじみ出た笑顔がこぼれる。会見に集まった大勢のメディアが、田中のひと言ひと言、一挙手一投足に惹きつけられているのがわかった。

笑顔で受け答えする「マー君」

「まずは春季キャンプ前の忙しい時、このような場を設けていただきありがとうございます。この度、楽天イーグルスに入団することになりました。7年前、メジャーリーグに挑戦する時に快く送り出してくれて、また暖かく迎え入れてくれた三木谷会長には本当に感謝しかありません。本当にありがとうございます」。

「立花社長には毎年、仙台の（球団）施設を好きなように使ってくれと言っていただき、いつも温かいサポートをしていただきました。まあ裏では…、表の顔はわからないんで（笑）、ちょっと口の悪い社長ですけれども、本当にいつもありがとうございます」。

「石井GM兼監督には、本当に僕の気持ちにも寄り添っていただいて、『田中選手の力が必要です』と言っていたたき、本当に選手としてありがたい評価をしてもらいました」。

「今シーズンは、震災から10年という年。その中で自分が初めてフリーエージェントとなって、チームを選べる立場にあったのですが、10年という数字はやはり自分にとって意味のあるタイミングなんじゃないかなと思ったので、今回このような決断に至りました。以上です！」

と、また少し照れたような笑みを浮かべる。会見には石井GM兼監督、三木谷会長、立花社長が同席。それぞれとの関係性の良さ、そして田中が感謝いっぱいの気持ちでいる様子が見て取れた。

「正直な気持ちは、やはりヤンキースと再契約して、プレーしていきたいとは思っていました。けれども、かなり早い段階で、これはもう別々の道を歩んでいかないとと感じました。それ以降は、今までにないほど考えて、悩んで、悩んで、悩み抜きました」と田中。

8年ぶりの復帰、楽天でのプレーを選んだ

メジャーの他球団から大きなオファーもあったという。だが、「イーグルスでプレーして、日本のファンの前に立つ」ということ以上に、自分の心を動かすものがなかったという。

「また、皆さんの前でマウンドに上がって投げられる、日本の野球ファンの前で投げられるということにワクワクが抑えられない状態です。7年離れていたので、成長した姿を見せられたらいいなと思います」と嬉しそうに明かす。

真っ直ぐな思いがスッと胸に染み込んでいくような言葉の数々に、聞いていてこちらもワクワクが止まらなかった。

また、被災地への思いを尋ねられると、「今も一緒になって頑張りたいという気持ちは変わらないですし、今まで以上に近くにいるということで、僕にできることがたくさんあるかもしれないので、出来る限り協力していきたい。まずは球場のマウンドでいい姿を見せたいです」。変わらない思いの尊さが染み渡る。

会見には三木谷会長、立花社長、石井監督も出席

とはいえ、8年ぶりの日本復帰だ。石井監督も「田中選手は特別な選手だけれど特別扱いはしない」と断言する。田中も、「ボール、マウンドはじめ、アジャストしていかないといけないことがたくさんある。調整してうまくいかないことも出てくる」と引き締め、「その時は経験のある監督を頼りたい」と目配せすれば、石井監督も「まだ言える立場かも」と笑いを誘う。

会見は終始、和やかながら覚悟の言葉が綴られていった。こうしてチームの雰囲気も格段に良くなっていくのだろう。田中のキャンプへの合流は早い段階で、「オープン戦の前には」と明かされている。

文／写真：松山ようこ