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第91回都市対抗野球大会が、11月22日(日)に開幕する。今回は中国、四国、九州の各地区から出場する5チームを取り上げる。
◆三菱重工広島(広島市)
最後の都市対抗となる三菱重工広島
中国第1地区代表は3年ぶり17回目の代表となる三菱重工広島(広島市)だ。1979年には都市対抗優勝を果たしている名門が、今季限りで統合され、現チームの活動は休止となる。選手やスタッフにとっては、大切な節目の大会だ。
第1代表決定戦で完封勝利を挙げたベテラン右腕が鮫島優樹。コーチ兼任の32歳で、侍ジャパン社会人代表の経歴も持つ177センチ・83キロの右腕だ。140キロ台の速球に加えてフォークを巧みに操る技巧派で、勝負どころでは今も彼が頼りになる。
また中国2次予選は大卒4年目の左腕・本間大暉が好投を見せていた。過去の大会は速球が130キロ台だったものの、今はフォーム改造により最速148キロまで上がっているという。
如水館高校から入社して16年目の外野手・実政太一、32歳の内野手・松永弘樹、30歳の内野手・田中友博と長く社会人野球を支えてきた名手たちをこのチームで見られなくなることは残念だが、勇姿を目に焼き付けたい。
◆三菱自動車倉敷オーシャンズ(倉敷市)
16年ぶりに東京ドームに戻ってきた
中国第2代表は16年ぶり8回目の出場となる三菱自動車倉敷オーシャンズ(倉敷市)だ。前身は三菱自動車水島で、2003年のクラブ化を経て、2016年から再び企業登録されたチーム。クラブチーム時代には現ソフトバンクの森唯斗もプレーしていた。昨年の大会は1次予選敗退も喫したが、今季から復帰した首藤章太監督のもとで「下剋上」を果たしている。
今回の予選では帝京大学から入社した新人右腕・廣畑敦也が、6試合中3試合に登板して3完投。32イニングで防御率1.41という快投を見せている。最速151キロの本格派で、4四死球と制球も安定。プロ注目の有力選手として、東京ドームへ乗り込む。2番手の矢部佑歩は日立製作所、独立リーグを経て入社4年目を迎える29歳の右腕。彼も150キロ台の速球を持つ本格派だ。
打線は予選6試合でチーム打率が.176と苦しんだが、高卒2年目の1番打者・竹井陸が5打点と勝負強さを発揮した。森唯斗の弟、森祐大も捕手としてレギュラーで起用されており、打率.333を記録している。左腕・平岡航(伯和ビクトリーズ)、侍ジャパン社会人代表の経験を持つ内野手・田村強(JR西日本)ら補強選手も心強く台風の目となり得る。
◆四国銀行(高知市)
わずか19名の選手で勝ち取った東京ドーム
四国代表は4年ぶり19回目の出場となる四国銀行(高知市)だ。過去3年はJR四国が代表権を得ていたが、今大会は代表決定戦でエース菊池大樹が1失点完投勝利。
最速151キロの速球派で、昨秋はJABA選抜の一因としてアジアウインターベースボールリーグにも参加していた。2018年の都市対抗は補強選手として出場し、強豪・Hondaを相手に好投している。拓殖大学から加わった新人・佐田涼介も最速149キロの右腕で、やはり四国予選で好投している。
打線は大振りをせず、つないで1点をもぎ取るスタイルで、4番・捕手で110キロの巨漢である南武志が第1代表決定戦では2バントを記録しているほど。手堅い野球で2007年ぶりの「1勝」を目指す。
◆Honda熊本(大津町)
接戦を勝ち抜き本戦出場
九州第1代表は5年連続14回目の出場となるHonda熊本(大津町)だ。九州2次予選は3試合のうち2試合が1点差と、接戦をきっちり取っている。際立ったエースはおらず、第1代表トーナメントの準決勝、決勝は左腕・横川楓薫の先発からいずれも5人の継投だった。
横川は名門・東海大学時代から実績がある左腕で入社2年目。一塁側に踏み出し「横の角度」があるフォームでアクセントをつける。島袋圭亮は26歳の左腕で、身長163センチと小柄ながら、切れの良い変化球を投げる技巧派でやはり主戦格だ。
投手陣はHonda(埼玉県狭山市)から移籍した福田大輔、Honda鈴鹿(三重県鈴鹿市)から移籍した柳澤一輝、片山雄貴など転勤組が目立つ。戦力バランスを考慮した「社内人事」を上手く活用している。
打線は4番・捕手の浜岡直人が今回の予選で12打数8安打5打点と大活躍。35歳の大ベテランだが、その実力はなお健在だ。3番・稲垣翔太も巧守巧打で知られる内野手で、予選は打率.417を記録。明豊高校から入社して9年目となるが、長くチームを支えている。
◆西部ガス(福岡市)
名将と若きエースに率いられ2年ぶりの東京ドーム
九州第2代表は2年ぶり5回目の出場となる西部ガス(福岡市)だ。チームは第1代表決定トーナメントの準決勝でHonda熊本に敗れたものの、第2代表決定トーナメントで3連勝を飾った。
勝ち上がりの立役者となったのが大卒2年目の右腕・高椋俊平だ。九州国際大学では下級生時代から全国大会を経験し、いい内容を見せていた。大学3年・4年次は肩の故障もあり、精彩を欠いていたが今季は完全復活。
173センチ・78キロと決して大柄ではないが、球速も大学時代よりアップして150キロに到達している。予選では20イニングで防御率0.45、20奪三振、3四死球と内容も抜群だった。全国レベルで実力を確かめたい人材だ。
香田誉士史監督は49歳で、北海道・駒大苫小牧高校の監督として夏の選手権連覇を達成し、田中将大(ヤンキース)を指導したことでも知られる。好不調、相手の投手起用を見極めて起用する采配は流石で、予選の試合経過は終盤の勝ち越しが多い。東京ドームでもスリリングな展開を味わえるだろう。
文:大島和人
大島 和人
1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty)
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