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野球 コラム 2020年10月23日

【楽天好き】岸孝之、『王子』らしくない魅力

野球好きコラム by 松山 ようこ
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「さすが岸王子!!」「王子!!ーーー」

と描かれた青いタオルを掲げているファンが画面に映し出された。そんなフレーズを叫びたくなる活躍だった。

『王子』こと、岸孝之が10月15日の2安打完封劇に続いて、22日もチームを勝利に導いた。チームにとっても15日以来の勝利。連敗で暗いムードに支配されそうになるのを吹き飛ばした。クライマックスシリーズ進出の可能性はまだある。

この日のヒーローインタビューで、岸は15日と同じように言った。「まだ、みんな諦めてないですし、残りの試合を一丸となって戦っていきます。応援よろしくお願いします」。

声を張るタイプではないし、物言いは穏やか。言い方からクールに響くかもしれないが、岸の言葉からはいつも心からの熱意が伝わってくる。画面のファンの表情がみるみる明るい笑顔に埋め尽くされていく。改めて、このコロナ禍でこうして野球が楽しめることのありがたさを思い出した。

岸はリーダーシップをとるタイプではない。14年目の35歳。今季は不調にも苛まれていた。9月は防御率9点台にまで落ち込んだ。だが、そこから怒涛の巻き返しをみせ、直近の5先発で4勝。

まだ、9先発ながら負けなしの5勝目で、早くも防御率は3点台に復活。「岸が投げれば勝てる」という試合が続いている。シーズンは残り少ないが、岸がそう言うのなら!と楽しみは増すばかりだ。

見た目こそ、確かに優美で『王子』っぽいが、内面は『王子』っぽくない(のがギャップでいいのかな?)と思う。

どこまでも実直で地に足がついているし、大上段に構えたところが1つもないからだ。それに投手というと「打てるものなら打ってみろ」という向かっていく姿勢が不可欠とも言われるが、岸はベクトルが相手に向いていない雰囲気。

今季5勝0敗の岸

ただただ見惚れる華麗なフォームで、1球1球に集中して投げ分けているという感じで、相手というより自分との戦いにしか見えないのだ。持ち味である「糸をひくような」ストレートは、この日も希望を描くように健在だった。

岸は、さりげなく相手の目線に立って気遣いができる人でもある。いつだったかのキャンプで、岸が自販機で飲み物を買おうとしたところ、1人のファンと遭遇。そのファンがおずおずと「写真を撮っていいですか?」と尋ねると、「じゃあ、一緒に撮りましょうよ」と記念撮影に応じた様子は、あまりに自然だった。

また、ファン感謝祭の名物となった、こたつでの談話タイムでは、岸が至って気さくに接するので、緊張していたファンがみるみる打ち解けていく様子が見てとれた。

時に不器用そうに紡ぐ言葉には嘘がなく、野球へのとてつもない情熱は実績が証明している。22日は、2000投球回という歴史的マイルストーンも達成。プロ野球史上90人目の偉業で299試合目での到達は、歴代9位のスピード記録だ。岸いわく「先発は完投するもの」という意識で積み重ねた。

お立ち台で、改めて記録達成の感想を尋ねられた岸は、
「よくここまで投げてきたなというのと…、たくさんの人に、感謝の気持ちしか、ありません」。

マウンドで投球する時のように、1つ1つ思いを込めて語った。

文/写真:松山ようこ

松山ようこ

松山 ようこ

フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo

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