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野球 コラム 2020年10月2日

【楽天好き】塩見貴洋、「人生楽しく生きないとおもんない」と苦労を笑う

野球好きコラム by 松山 ようこ
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会社にこんな上司がいたら、背中を見て育つ若者は多いのではないか。今年で10年目の左腕・塩見貴洋のことだ。仕事ぶりはドMでド根性もクールにこなし、チームをもり立てるのが大好きで、面倒見もいい。

ドラフト1位という野球エリートの称号を持つが、長くケガを抱えてきた苦労を知る。痛みがわかるだけに、自分に厳しく他人に優しい。大阪出身らしい気さくな雰囲気で、「言うても、あんま相手にされんなってきた」と自虐の笑いも貪欲に取りに行く元気印の32歳だ。

2018年10月の手術からカムバック

そんな塩見が、開幕前のキャンプではこんな心中を語っていた。

「もう10年目ですよ。でも3年ぐらい腰を痛めてチームにも迷惑をかけてきました。若くないので腹を括ってます。今年がダメだったら…って」。

2018年10月に長年悩まされ続けてきた椎間板ヘルニアの手術をした。手術するかどうか、野球を続けるかどうか。いっそのこと、やめることも考えたという。「でも、まだやりたい。好きなんですよね。だから、また一軍のマウンドに立つって決めて臨みました」。

そうして見事に復帰。2019年シーズンは、術後の影響で3勝1敗だったが、投げれば好投で、防御率はデビュー年の2.85に継ぐ3.16。「復帰当初は中6日がキツかったけれど、だんだん慣れて手応えをつかんだシーズンになった」と明かしていた。

向上心の塊だ。182センチのサウスポーはストレートの球速こそ140キロ前後で特に速くないが(個人的にはクロスファイヤーのまっ直ぐが大好きだ)、フォーク、ツーシーム、スライダー、カーブなど多彩な球種を制球よく投げて、的を絞らせない。相手によって、シーズンによって、攻め方をガラリと変えるなど、挑戦と進化を続ける。

自分より優れた技術を持つ選手には自分からどんどん聞きに行き、逆に聞いてくる選手には何でも教える。「自分は自分だから」と言い放ち、ライバルという考えも持たない。こういう姿勢がチームの底上げに貢献しているんだろうなと言えば、「ぼくなんかより久保(裕也)さんとか、もっと凄い献身的な人がいる」と謙遜する。

「嫌でもやる。仕事だから」と塩見。ドM気質は自覚しているという。「でも、みんなそうですよ。ストイックにやってるから、プロでやっていけてる」と周囲を立てると、「ぼく、まだまだやれることがあるんじゃないかって考えながらやるのが好きなんです」「順調に来てて、またどこか痛めるとこうなりますけど」と辛そうな変顔をしてみせるのだ。

大きな張りのある声で塩見はよく言う。
「人生、楽しく生きないとおもんない」

先日、育成契約から再びカムバックしたサブちゃんこと福山博之は、苦楽を共にした同期。「サブは相方。面白おかしくするパートナー」と話していたのが思い出される。

苦難を知る選手のカムバックは、チームの刺激となり底力の源になる。それに何より自ら楽しく生きようと精一杯がんばってるから、”やっぱり野球も、おもろくなるんやろな”と。

文/写真:松山ようこ

松山ようこ

松山 ようこ

フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo

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