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メンタルを整えて
相関図とは、スポーツ心理学でよく知られる「逆U字曲線」のこと。つまり緊張が高まると、パフォーマンスも右肩上がりに良くなるものの、緊張が高まりすぎるとパフォーマンスは落ちてくるため、逆U字の曲線を描く。
だから、適度に緊張がかかる状態が最も良いパフォーマンスを出せるという理論だ。タッキーは付け加える。
「面接で頭が真っ白になるのも、緊張しすぎた時に起こることですね。稀にマイケル・ジョーダンみたいに右肩上がりだけっていう天才もいますけど。だから彼の場合、すごいブザービーターが多い」。
「でも、ぼくは天才じゃないので、緊張しすぎたらダメ。試合ではどうしたって過度の緊張がかかるから、差し引いて60~80%とかの適度な緊張になれるよう、練習で内発的にプレッシャーをかけて120%を目指して、取り組んでいるんです」。
だから、キャンプのブルペンでは力みまくったり、そんな自分にイラッとしていたりしたのだという。意図的にテンパる自分に持っていくことは、簡単にできることではない。
「でも、普段から緊張感を最大限に高めていかないと、試合ではどんなプレッシャーやストレスがかかって来るか想像もつかない」。
「ぼく、めちゃくちゃ球が速いわけでもなければ、年齢も若くない。話題性もない。だから自分で自分を変えて、どんなニーズに合わせられるようにしないと。それでダメならダメと覚悟しています」。
いろいろ学び、考え、実行に移してきたからこそ、プロにたどり着いた。根拠をもった、根を張ったような逞しさが覗く。龍谷大学時代の指導者は、故・野村克也氏の教え子の1人でもある元ヤクルトの山本樹さん。ノムさん譲りの金言も胸に刻む。
「『欲に入って、欲から離れろ』も大切な教えです。欲がないとうまくならないけど、欲から離れないと結果は出ないですから」。
プロ初先発で「ニーズに合わせる」どころか、希望を抱かせるパフォーマンスでチームに勝利を呼び込んだタッキー。
球がめちゃくちゃ速くなくとも、若くなくとも、結果が出るほどに話題性は高まっていく。次の登板もクールな投げっぷりで、ワクワクさせてくれることに期待したい。
文/写真:松山ようこ
松山 ようこ
フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo
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