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野球 コラム 2020年3月13日

【中日好き】梅津晃大、ピンチはチャンス

野球好きコラム by 森 貴俊
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沖縄キャンプ、終盤。阿波野投手コーチは少し重そうに口を開いた。

「梅津は、この後沖縄での登板はないですね。まあ、名古屋に帰ってからと考えています」。

2月16日、沖縄・北谷での練習試合。広島戦。悪天候の中、2回3安打無失点。ランナーを背負いながらも緩急をうまく使い、結果を出した梅津だが、本来のボールの強さは身を潜めていた。時期的な問題。誰もがそう考えていたが違った。

名古屋に戻ってから梅津はこう話した。「キャンプ後半は肘に張りがあって。投げられない時期もありました。ストレートの強さが出なかったです。故障しても気持ちに焦りはなかったです。冷静に自分を見つめられました。

開幕ローテもキャンプ後半時点ではそこまで意識していなかったですし」。今でなく、キャンプ後半だった事が梅津には救いだった。

阿波野投手コーチはこう説明する。「多少の張りがあっても投げさせるピッチャーはいます。例えば慎之介(小笠原)とかは多少の張りならば心配はしませんよ。でも梅津はダメです。

もともとの故障経験もありますけど、梅津の場合は肘がグッと前に出てきてそこから一気に鞭のように腕をしならせて振る。こういうタイプはバチンとやると大ケガです。その張りをかばって他の箇所の故障にもつながるので。無理はさせたくないです」と話した。

オープン戦期間に入ったドラゴンズだが、先発ローテ争いに目を向けても、梅津の名前は上がってこない。早々に先発争いの動きから外れていた。実質開幕ローテ入り断念。そう考えるしかない状況だった。

万が一を考えればシーズンを棒に振る可能性すらある。無理して開幕ローテに入れるより、状態が上がってくることを待つ。チームとしては当然の判断だ。

しかし、3月9日、NPBは苦渋の決断を下した。3月20日のプロ野球開幕延期。幸か不幸か梅津には“時間”が与えられた。

開幕延期を喜ぶ者など誰もいない。もちろん梅津もその1人だ。ファンあってのプロ野球。ドラゴンズをプロ野球を愛してくれる人がいてこそ、選手は輝き躍動する。

梅津は「結果として開幕が遅れた。僕自身、今の状態ははっきり言ってよくないです。でも前向きにとらえれば調整できる時間が長くとれる。ポジティブにとらえて改めて開幕ローテを目指します」。

3月11日ナゴヤ球場教育リーグ、オリックス戦。先発した梅津は3回打者15人に5安打1失点だった。梅津にとって特別な日だった。東日本大震災から9年。宮城県出身の梅津は朝、1人黙とうを捧げた。

梅津は「ストレートの強さはまだまだ。そう思えた登板でしたね。気持ちが早まるといい事はないです。野球をやる時はしっかり足元を見つめて冷静にやりたい。気持ちの面で崩れないようにします。これから開幕までいい手応えを掴んでいきたい」と前を向く。

宮城出身の梅津晃大。東日本大震災を経験したのは中学生の時だった。プロになった今でも野球ができる喜びを誰よりも強く持っている。開幕延期により舞い降りた“時間”、梅津はそれを決して無駄にはしない。

文:森貴俊

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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