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野球 コラム 2020年2月10日

【楽天好き】津留崎大成、久米島のヒーローは株急上昇中のルーキー

野球好きコラム by 松山 ようこ
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「テレビで見ていた投手が横にいるブルペン。力んじゃいました」。

久米島での初ブルペン入りをこう振り返ったのは、ドラフト3位で楽天に入団した津留崎大成。ピッチングを披露するや周囲をざわつかせた話題のルーキーだ。

J SPORTSの中継でも、解説の川崎憲次郎氏が「キレが本当にいい」「クローザー候補もあり得る」と絶賛。コンパクトなフォームから、力強い直球がブルペン捕手のミットに、次々と小気味よく刺さる。

膝下にすっとボールを構えて、テイクバックしたと思った瞬間、勢いよく制球のよいボールが飛び出してくる。実況の中田浩光氏も「誰にもマネができないのでは…」と驚きを隠さない。

写真:鍛え抜かれた上半身をチラ見せしてくれた津留崎

テイクバック動作が小さいのに、弾かれるように強いボールが出てくる。独特のフォームは、中学まで捕手をやっていたことも影響しているようだが、何よりの礎となっているのは鍛え抜かれた上半身だろう。

2015年の高校3年の時に、トミー・ジョン手術を受けた。折しも、ダルビッシュ有も同じ右肘内側側副靱帯を損傷して同手術を受けたばかり。

ダルビッシュが術後、ボールが投げられない時にコツコツと身体づくりに励んでいたことをニュースで知り、それに倣った。

自慢のパーツは大胸筋と胸を張る。

「投手は、大胸筋をつけると投げづらいと言われますが、ぼくはそう感じない。大学時代も登板前日に、筋トレをしていたぐらいです」と大手術を乗り越え、見出した自身の感覚を信じる。

身長177センチ86キロと野球選手としては大きくない。「身体が小さいので、その分、人よりも大きなエンジンを積みたかった」と語る。

J SPORTSのキャンプ中継での名物企画「E顔NEW FACE」では、久米島キャンプ中に辰己涼介と地元の海洋深層水スパ「バーデハウス」に行った話も披露。

そこで辰己に「お前の身体(ムキムキすぎて)気持ち悪い。オレが女の子やったら嫌や」と言われて、ショックだったと悲しげに明かし、爆笑を誘った。

写真:E顔NEW FACEに出演する津留崎

千葉ロッテマリーンズジュニアでコーチ経験のある父・卓也さんと管理栄養士の母・奈美さんに支えられ、一度は諦めかけたプロ野球選手の夢を掴みとった。

ドラフト指名されていなければ、全日空のパイロットになっていたかもしれないという。

精悍で爽やか。逞しくて謙虚。見た目の格好良さは言うまでもなく、少し話すとすぐに分かる豊かな人間性に惹かれてのことだろう。キャンプ中、メディアやファンに囲まれることも、日に日に増えていった。

もとより、久米島出身の祖母を持つ「三世」。キャンプ地でも、にわかに噂は広まり、注目の的となった。

島の親戚の定義は、本土のそれより広範囲なため、“親戚”も急増中。たくさんのファンが、「島の血を受け継いだヒーロー」を自分の家族ことのように喜ぶ。久米島イチの楽天ファン、栄野元磯子さんもその1人だ。

写真:孫と美馬とのツーショット写真を披露する栄野元磯子さん

御年75歳の栄野元さんは、楽天が創設して久米島でキャンプを張りはじめた16年前から、毎日欠かさず久米島球場と仲里球場に通い続けているという「久米島No.1ファン」という有名人だ。

もともとは美馬学の大ファン。キャンプ中、孫のキャッチボールの相手をしてくれたのだという。だが、美馬はロッテに移籍したため、今季から久米島には来ない。

美馬との思い出話や仙台から訪れるファンとの交流話を語ってくれた栄野元さんは、ぽっかり空いた心の穴が埋められたかのように、「津留崎くん、最高!」と嬉しそうに語る。

「もちろん、これから津留崎くんを応援するよ」と心地よい沖縄のアクセントで断言する。

津留崎が目標とする投球スタイルは、エース則本昂大。「気迫のこもった投球」でチームの勝利に貢献したいと意気込む。背番号52番は、昨季まで森原康平がつけていた「出世ナンバー」で縁起も良い。

当初は、「森原さんと話したいけれど、どうやって話しかけたらいいかわからない」と話していたが、数日後には「話しました!めちゃめちゃ優しかった」と目を輝かせた。

久米島キャンプ終盤、津留崎は筋肉キャラが先行してしまったことに戸惑いを隠せない様子で、「ピッチングで使える筋肉であることを証明しないと意味がない」と危機感を募らせた。

ともあれ、投手としても島の人としても、にわかに話題をさらった津留崎は、次のステップとなる金武町へのキャンプへ帯同。幸先よくスタートを切ったルーキーが、さらに出世していくことに期待したい。

文/写真:松山ようこ

松山ようこ

松山 ようこ

フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo

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