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「一本足打法」。2019シーズン、渡辺勝は自分の代名詞に疑問を持ち始めていた。
「1軍ではタイミングが外される。対応できない。本当にこれでいいのだろうか…」。
王貞治さんと同じ師と出会い、一本足打法でプロまでのし上がってきた。2018年オフに支配下登録を勝ち取り、去年は初の1軍を経験。27試合4安打2打点だが、渡辺勝の中には希望以上に不安が残った。
周りから色んな意見を言われ、自分の進むべき道を見失いかけていた時、渡辺勝に大きな光が差した。1本足打法の師匠。故、荒川博さんの共通の知人を介し、王貞治さんと食事をする機会を得たのだ。
年明け、東京銀座の寿司店。渡辺勝は「緊張しすぎて、寿司の味は全く覚えていませんね。でも、こんなチャンスは2度とないと思い、今抱えている不安や疑問を全部ぶつけようと思っていました」と話した。
渡辺勝の思いに王貞治さんは1つ1つ真摯に答えた。
「王さんの考えはシンプルでした。まずは左足(軸足)で打ちなさい。練習はインコースを打ちなさい。そう言われました」。
「僕はどちらかといえば前足で打つ感覚が強かったんで、どうしても体が前に出されてタイミングが外されてしまうと思いました」と話す。
「マシン打撃ではベースの上に立って打てと教えてもらいました。怖いですけど、我慢して打球をフェアゾーンに入れるように練習するといいと教えてもらいました」。
「怖いから身体が早く開いて逃げようとするんですが、そうなるとダメです。やってみると意外に難しいんですよ」と満足げに説明してくれた。
渡辺勝の心に響く言葉があった。
「僕も若い頃、色々言われてね。一本足をやめようと思ったことがあった。だけど一番自分にしっくりくる打ち方はやっぱり1本足だったんだ」。
まさに今の渡辺勝だった。
「迷いが吹っ切れました。練習方法もですが、王さんでも迷って迷って貫いたんだなって。正直驚きました」と話した。
王さんの言葉をもとに、渡辺勝はマイナーチェンジをしている。昨シーズンより、膝をより深く曲げ下半身を柔らかく使うフォームにした。
「王さんと話してから、とにかく感覚がいいんです。気持ちの面も大きいですが、1つ1つの動きがしっくりきています。キャンプ?今すぐにでも始めたいくらいです!」。
そう話す渡辺勝の表情は一片の曇りもなかった。
まもなくキャンプイン。渡辺勝は1軍北谷でスタートを切る。大島、平田に次ぐ外野手争いに、渡辺勝が早々と名乗りを上げる可能性は大きい。
文:森貴俊
森 貴俊
1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!
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