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野球 コラム 2019年12月2日

【中日好き】阿部寿樹、成長こそ補強

野球好きコラム by 森 貴俊
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今シーズンの推定年俸950万から約3倍増を勝ち取った阿部寿樹。会見で阿部は「まだ自分がレギュラーとは思っていない。ダメならクビを覚悟していたシーズンだった」と振り返った。

喜べないのは阿部の中にまだその危機感が残っているからだろう。

今シーズン、阿部は129試合、打率291はセリーグ10位の数字だ。通常、レギュラー定着1年目の選手は夏を迎えるあたりで疲労はピークを迎える。“放牧“で一度2軍という事も良くある話だ。しかし、阿部の身体は見事に耐えた。

「身体の辛さはそこまでなかったです。気持ちの面できつい事は何度かありました」と話す。

数字を残している阿部に対して、後半戦、対戦チームのキャッチャーは攻め方を変えてきた。

「カープ戦では徹底的に内を責められました。ヤクルト戦でも初球はまず変化球。僕は基本ストレートのタイミングで待つ。変化球のタイミングで狙い撃ちはしないんで、後半戦は裏を突かれる事が増えましたね」。

毎日気持ちを整理し、シーズンを戦い抜いた。そんな阿部はすでに、来シーズンの進化を描いている。それを一言に集約すれば“長打”だ。

夏を終える頃、阿部はこう話していた。「僕に長打がもう少しあれば、相手投手は嫌だろうなと思うんですよね」。

その一方でこうも話す。「とにかく状態が落ちたらセンターから右。この基本線を大事にしています。強引に引っ張って大きいのを狙うと僕はバッティングが崩れてしまう」。

センターから右への基本形。左に引っ張る狙い打ち。相反する2つの事を阿部はこのオフ、組み合わせようとしている。

「社会人のホンダ時代、篠塚さん(元巨人、篠塚和典さん)の息子さんと一緒でした。篠塚さんは基本、インコース寄りのストレートを待てば外寄りの変化球はボールが遅い分、バットを出せば対応できると話してましたが、僕にはまだまだできない」。

「内よりを意識すればどうしても外は疎かになる。篠塚さんの話す領域に行きたいですね」と話した。

現状、出した回答を阿部はこう話す。「センターから右方向への基本形は変えないです。右中間方向への飛距離を伸ばそうと思っています」。

根っからのスラッガーではない。阿部寿樹はどちらかといえばプロ入り後、飛距離が伸びた選手だ。明治大学時代、主戦場の神宮球場ではホームラン0本。

「大学時代は1本も打ったことないですね。今シーズン神宮でバックスクリーン下に入れた時、あれ、こんなに神宮って狭かったっけ、と感じましたね」

秋のキャンプを沖縄で過ごした阿部は、ただ一人、ロングティーでもバックスクリーンに放り込んでいた。チームでもトップクラスの飛距離を持つ。そのパワーを活かさない手はない。

阿部は「ドラゴンズで言えば、福田さんのようにアーチストと呼ばれる人達は角度を持っている。放物線を描く角度で打球を飛ばす。恐らく、それって天性の物だと思うんです。僕にはそれがないですね。自分に綺麗な角度の打球は求めないです」

契約更改の会見で、阿部寿樹は笑わなかった。まだまだ自分にはこの先がある。そんな表情にも見て取れた。自分の中の危機感が進化を促し、このオフの阿部寿樹を突き動かしている。

長打力不足解消へ。阿部寿樹の成長こそが何よりの補強になる。

文/写真:森貴俊

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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