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野球 コラム 2019年7月26日

記念の第90回大会はJFE東日本が初優勝、MVPの橋戸賞は元ベイスターズの須田幸太。都市対抗野球

野球好きコラム by 大島 和人
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第90回都市対抗野球大会は25日(木)、ついに決勝戦が行われた。

トヨタ自動車(豊田市)は三菱日立パワーシステムズ、三菱自動車岡崎、日本生命、日立製作所を退けての勝ち上がり。

JFE東日本(千葉市)は初戦(2回戦)で前回大会王者・大阪ガスを倒し、その後も明治安田生命、パナソニック、東芝を破っている。4試合中3試合がサヨナラで終盤の粘り強さを発揮してきた。

試合はトヨタ自動車が1回表に1点を先制する。二死2塁のチャンスから、今大会好調の4番・沓掛祥和がセンター前にタイムリー安打を放った。

JFE東日本の先発は、今大会3試合目の先発となる本田健一郎。武蔵大出身の新人で、170センチと小柄な右腕だ。

球速は140キロ前後と普段より抑えめだったが、スライダーとチェンジアップのキレがあり、初回以降は粘りのある投球を見せる。

トヨタ自動車の先発も、やはり大卒新人の栗林良吏。名城大時代からプロ注目の右腕で、この試合も最速150キロを記録した。

JFE東日本は2回裏一死から、8番・長谷川裕介が2ラン本塁打を放ち逆転。すると4回表にはトヨタ自動車が8番・細山田武史のソロ本塁打で同点に追いつく。

試合が大きく動いたのは4回裏だった。トヨタ自動車はこの回から登板した2番手の左腕・村川翔太が打ち込まれてしまう。

JFE東日本は7番・内藤大樹が出塁すると、8番・長谷川裕介が遊ゴロ。二塁手が送球をこぼす失策で無死1・2塁のチャンスを迎える。

バントの失敗で一死1・2塁となったが、1番・中澤彰太の左前安打で一死満塁と再びチャンスが広がる。

ここから2番・今川優馬がレフト前タイムリー安打。続く3番・峯本匠もセンター前タイムリー安打と連打で畳み掛け、5-2と突き放す。

村川翔太はここで降板し、3番手にはプロ注目の本格派右腕・立野和明が登場。しかし、JFE東日本は二死1・2塁から内野安打2本でしぶとく攻める。

6番・岡田耕太が満塁からショート前にタイムリー安打を放ち、6点目を加えた。

JFE東日本は先発の本田健一郎、2番・今川優馬、3番・峯本匠、4番・平山快、6番・岡田耕太がいずれも大卒新人。若き力の活躍で先手を取り、準決勝までと違う逃げの展開に持ち込む。

JFE東日本は6回表、先発の本田健一郎が無死1・2塁のピンチを迎えて降板。2番手には日本製鉄かずさマジックからの補強選手で、今大会は中継ぎで好投を見せている橘朋晃が起用される。

橘は7番・北村祥治にレフト前タイムリー安打を打たれて1点は失ったものの、火消しに成功。スコアは6-3でJFE東日本の優位は続く。

しかし、トヨタ自動車も粘りを見せた。続く7回表には4番・沓掛祥和が二死1・2塁からライト線を破るタイムリー二塁打を放って2点差に追い上げ、なお、二死2・3塁のチャンス。

【都市対抗野球2019】

JFE東日本 vs.トヨタ自動車 ハイライト(第13日)

JFE東日本はここで切り札の須田幸太を起用する。須田は2009年の都市対抗で補強選手として、Hondaの胴上げ投手となった経歴を持つベテラン。

2011年から18年まで横浜DeNAベイスターズでプレーし、プロで一軍通算166試合のキャリアも持つ32歳だ。須田は5番・多木裕史を三ゴロに打ち取り、このピンチを切り抜けた。

トヨタ自動車も7回裏から「平成の社会人野球」を象徴する右腕・佐竹功年を起用。終盤は2人の投げ合いとなった。

「あと3人」で迎えた9回表のマウンドに上がったのは、もちろん須田幸太。須田は9番・辰巳智大、1番・逢澤竣介、2番・小河諒を三者三振に打ち取る最高の締めで、10年ぶりの胴上げ投手になった。

JFE東日本は相手の4投手から先発全員の12安打を記録し、6-4でトヨタ自動車を撃破。初優勝を遂げている。

また、各賞の受賞者は以下のようになった。

・橋戸賞(最優秀選手賞):須田幸太投手(JFE東日本)
・久慈賞(敢闘賞):佐竹功年投手(トヨタ自動車)
・若獅子賞(新人賞):今川優馬外野手(JFE東日本)、峯本匠内野手(JFE東日本)、岡直人投手(日立製作所)
・首位打者賞:石川桜太外野手(川崎市・東芝)打率.429
・打撃賞 沓掛祥和内野手(トヨタ自動車)

JFE東日本は大卒新人が多いチームだが、その中でもこの4人が活躍を見せた。

・本田健一郎:先発3試合/投球回数15回3分の2/防御率1.72
・今川優馬:21打数8安打(打率.381)/1本塁打/4打点
・峯本匠:17打数7安打(打率.421)/3打点
・平山快:20打数7安打(打率.350)/2打点

一方で大会の「主役」はやはり須田幸太。1回戦から準々決勝のすべてで勝ち投手になり、決勝戦も好リリーフを見せた。

5試合で4勝1セーブという結果は抜群だが、投球成績はさらに驚異的だった。合計14イニングを被安打3で投げ切り、自責点はわずか1。イニングを上回る17奪三振を記録した一方で、四死球は1つも与えていない。

社会人野球の舞台で「元プロ」がプレーする例は増えた。だとしても、都市対抗は元プロならば通用するという甘い世界ではない。

しかし、須田が勝負所で見せた投球は、カテゴリーを超越した迫力を感じるものだった。

準決勝、決勝でJFE東日本の応援席から聞こえてきた須田登板時の大歓声は、彼がファンの心をつかんだ証明だった。

文:大島和人

大島 和人

大島 和人

1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty

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