プロ注目投手の登板、古豪と初出場の対戦、そして補強選手の活躍。都市対抗野球5日目

第1試合はJFE西日本（福山市・倉敷市）と日本製鉄広畑（姫路市）の対戦。大会5日目に大会ナンバーワン投手・河野竜生（JFE西日本）が登場した。

JFE西日本は1回表、一死1・3塁のチャンスを迎える。4番・橋本拓也の左中間を破るタイムリー二塁打で2点を先制。6番・三木大知も二死2塁から左中間を破るタイムリー二塁打で続き、3点を取った。

日本製鉄広畑の先発、川瀬航作もプロ注目の右サイドハンド。この試合では最速148キロを記録した本格派だ。2回以降は川瀬が立ち直り、試合は落ち着きを取り戻す。

JFE西日本は5回二死から登板した3番手の右腕・宮田康喜も最速150キロを記録。速球とフォークでインパクトのある好投をみせた。宮田は22歳と若く、彼も河野や川瀬とともに上のレベルも目指せる才能だろう。

JFR西日本の先発・河野竜生は試合後に山下敬之監督が「調整に不安があった」と明かすコンディションだった。速球の最速は145キロに留まっている。

とはいえレベルの高さは明らかで、スライダーとカーブを上手く使い、日本製鉄広畑の打線に良い当たりを許さない。7回までは失点0。許した安打は内野安打1本のみという抜群の内容だった。

ただし8回裏、日本製鉄広畑は一死から1番・立花允夫がこの試合2本目の安打を放つと、試合の流れが変わる。

日本製鉄広畑は二死1塁から代打・斎藤功次郎がレフト線を破るタイムリー二塁打。2番・堀口裕眞もレフト前タイムリー安打で続き、河野はついに降板する。

それでも河野は、7回2/3で2失点。被安打4、四死球2、奪三振6という及第点の内容だった。速球を見せ球に使い、変化球で打ち取るクレバーさも見せていた。試合後の河野はこう語っていた。

「予選が終わってから調子も落としていた。不安もありましたけれど何とかチームが勝ったので良かった」

JFE西日本は2番手の左腕・中川一斗がこのピンチを凌ぐと、9回表には3番・佐藤直樹、4番橋本拓也の連打で2点を追加。橋本は4打数3安打3打点で「打の立役者」となった。

JFE西日本が5-2と快勝し、2013年以来となる東京ドームでの勝利を飾っている。

◆試合結果
JFE西日本｜3 0 0 0 0 0 0 0 2｜5
日鉄広畑 ｜0 0 0 0 0 0 0 2 0｜2

第2試合は日本生命（大阪市）とシティライト岡山（岡山市）の対戦。出場60回目の古豪と、初出場チームによる顔合わせとなった。

日本生命は2年ぶりの出場だが、6選手が補強選手として昨夏の決勝を経験している。2回戦の先発を任された藤井貴之も昨夏の橋戸賞（MVP）受賞者だ。

藤井はこの試合も右サイドから正確にコースを突く速球とシュート、スライダー、カーブなどの多彩な変化球でいつも通りの内容を見せる。

シティライト岡山の先発・児山祐斗はヤクルト・スワローズに在籍した経歴を持つ左腕。球速は平凡で、球種も多くはない。しかし、変則的なフォームと手元で動くクセ球により、日本生命の打線に的を絞らせない。

試合は投手戦となり、5回終了時点で1時間ちょうどの早いテンポで進んでいく。試合が動いたのは7回表だった。

日本生命は3番・原田は児山祐斗の2球目を右中間に引っ張り、ソロ本塁打で先制。さらに4番・越智達矢が四球で出塁すると、5番・皆川仁から怒涛の5連打を放つ。

シティライト岡山は児山に続く、右腕・馬場康一郎、左腕・平岡航も日本生命打線の勢いを食い止められない。

5連打が止まったあとも、日本生命はさらに3連打で畳み掛け。この回だけで9安打と放つ。一挙8得点のビッグイニングだった。

日本生命は8回表にも4番手の右腕・後藤田崇作によるボーク、9番・河野勇磨のセンター前タイムリーで2点を挙げ、リードを10点に拡げた。

日本生命は藤井貴之が7回無失点、被安打わずか2でベンチに下がる。8回から登板した山根大幸、伊藤勝太の両若手右腕で2失点を喫し、コールドは逃したが、大量点差を維持。10-2でシティライト岡山を下している。

◆試合結果
日本生命　｜0 0 0 0 0 0 8 2 0｜10
シティ岡山｜0 0 0 0 0 0 0 2 0｜2

第3試合は日本製鉄室蘭シャークス（室蘭市）と日立製作所（日立市）の対戦。日立製作所は2回裏、一死1塁から6番・大塚直人がレフトに先制の2ラン本塁打を放つ。

しかし、その後は室蘭シャークスの左腕・岩崎巧、日立製作所の右腕・高橋史典と両先発が好投。どちらも予選を継投で勝ち抜いてきたチームだが、2番手以降も相手打線の得点を許さない。

日立は先発で6回を零封した高橋、最後の2イニングを締めた川上雄太朗とSUBARUから補強された2人の無失点投球もあり、2-0と接戦を制してベスト16入りを決めている。

◆試合結果
シャークス｜0 0 0 0 0 0 0 0 0｜0
日立製作所｜0 2 0 0 0 0 0 0 X｜2

文：大島和人