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野球 コラム 2019年4月26日

【中日好き】阿部寿樹、4年目の開花

野球好きコラム by 森 貴俊
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野球好きコラム 中日好き

塁上で笑う阿部寿樹の笑顔に、今ドラゴンズファンは癒されている。口元には髭を蓄えているが、下がる目じりからは阿部の優しさが溢れる。

2019年、開幕1軍を手にした。それだけではない。開幕戦のセカンドスタメンには阿部寿樹の名前が書かれた。もちろん奇策ではない。

与田監督は常に、「いい準備ができている選手を使う」と言っている。キャンプからオープン戦、阿部はしっかり結果を残し、いい準備をアピールしていた。

ここまで開幕から出場13試合、打率.366、2本塁打、11打点(4月25日現在)を残している。まさに覚醒と言っていい活躍だ。

入団4年目、阿部のここまで主戦場は2軍だった。ここ数年は1軍に来るもまた2軍への日々。入団して2年は、毎回「プロのスピードへの対応」を口にしていた。

しかし、去年から考えが変わった。今年のテーマはシンプルに「しっかり振る。振り抜く事」と話す。

入団から数年は、プロの投手の直球、変化球にいかに対応するかばかりを考えていた。対応ばかりを考えた結果、打撃は小さくなり阿部の持ち味は消えていた。

2年前、小笠原2軍監督は阿部に伝えた。「お前のストライクゾーンはボール1個分だけだ」。阿部はこの言葉を説明した。

「結局、自分のスイングで振り抜くゾーンはボール1個分しかないって事です。あとは対応して小さなスイングばかり。だからフリー打撃ではどのコースのボールでも全部スタンドに放り込むつもりで振れと言われましたね」。

フリー打撃をみても、日本人ではトップクラスの飛距離を持っている。自分の持ち味を発揮する為にはどうすればいいか。考え方を変えた。言うなれば、短所を克服するのでなく長所を伸ばす。

阿部は「自分の持ち味を活かすには、やっぱり振らないといけません。フルスイングするために何をするべきか。振れる体制を作らないといけない」。

「フルスイングできる体、フォーム、そして打席の中での考え方。バットを振る為の形を追い求めてやってきました」と話す。

素朴な一面は隠せない。チームの移動時、阿部は自宅から地下鉄に乗ってくる。「みんな簡単にタクシーに乗るけど、お金がもったいないですよ。時間も読めないし。地下鉄がいいです」と話す。

また、練習後、自販機で缶コーヒーを購入したら持参の水筒に移しかえる。「飲み残した状態で捨てるのはもったいないですよ。いっぺんに全部飲むことも少ないでしょ。水筒ならいつでも飲めますよ」と語る。

岩手出身、シーズンオフは雪の為、里帰りしても練習ができない。毎年年末はギリギリまで名古屋に残り自主トレを行う。実家に帰っても滞在はわずか2日。年明けは社会人時代を過ごした埼玉県のホンダの寮にお邪魔し練習に励む。

自他ともに認める「緊張しい」だ。開幕が近づいた頃、阿部は「スタメンとか聞かれると、ほんと意識しすぎてしまうんです。ただでさえ緊張するタイプなんで、できるだけ意識しないようにしています」と笑って話す。

素晴らしい結果を残しても「偶然です」「バットのおかげです」と謙遜する。しかし、今の結果を見れば、やって来た事が間違いではなかったのは、誰より阿部自身が感じているだろう。

与田監督はセカンドのポジションを固定していない。しかしいつかは?、そんな思いを聞いてみた。

「僕自身、固定で使われるには、まだまだ足りない事が多いですよ。バッティングもですし、それ以上に守備も。もちろん、いつかは不動のっていう日が来るように頑張っていまいすが、現時点ではまだまだです」。

控えめで素朴、しかし放つ打球はいつもスタンドを沸かせてくれる。新生ドラゴンズの旗印。今、阿部寿樹の打席を見るのが楽しくてしょうがない。

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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