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野球 コラム 2019年4月11日

【楽天好き】青山浩二、ベテランが今も輝いている理由

野球好きコラム by 松山 ようこ
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野球好きコラム 楽天好き

いつも柔らかな表情が印象的なベテラン投手が、例年以上に逞しく大きく見えた。それでいて優しさのにじみ出る笑顔は変わらない。今季初め、2軍キャンプにいた青山浩二を訪ねたときのことだ。

「え? 体重は増えましたよ。84キロ。去年83だったので、1キロ増えた。ちょうど身体も慣れてきたところですね」

実際に、少し“大きく”なっていたのだ。だが、その“変化”は昨季からに端を発する。

「一昨年まで、だいたい78~9キロだったんです。でも、去年は食事でストレスを抱えないように、好きなときに好きな物を食べるようにしたんです。そうしたら、83キロになっていた」。

穏やかな雰囲気で語るが、その決断は大英断だったようだ。

◆「自分が思うことの逆をやる」

生え抜き投手でチーム最年長の青山は、昨季からプロ野球選手ではなかったかもしれない。

一昨年の契約更改では、年俸減額制限を大幅に超える4000万円ダウンで辛うじて残留。「クビって言われたのに、星野さん(故・星野仙一氏)のおかげで残してもらったんです」という。

すると、その恩に報いるように、昨季の青山は2年ぶりに50試合以上登板とフル回転し、チーム最多の26ホールドと貢献。見事なV字回復で、今季は3000万円増の契約更改をしている。

その裏で、体重を増やしていたのは驚きだった。理由を尋ねると、少し自虐じみて語る。

「一昨年の終わりぐらいから、自分が考えたことの逆を行くことにしてるんです。つまり、直感とは逆。ぼくの場合、直感ってあんまり良くないから」。

「例えば、直感で打たれることもある(笑)。サインに首振ったら打たれちゃうみたいにね。だから、逆にしたんですけど、うまくいってるんです」。

「もちろん、悪い時もあるけれど、その時は生活を変えるだけです。例えば、今回良くなかったのは、何日か前にもっと早く寝ておけばよかったのかな、とか、十分に野球に集中できていなかったんだと考えて、その原因を見つけます」

「失敗することもあるけれど、めげないためには開き直りも必要と思っています。別に誰も見てない、一人になっても大丈夫っていうぐらいの。孤独を恐れないことですかね」と目尻を下げる。

◆「極力、声かけてるだけ」「教えることが好きになった」

そんなことを話している傍から、若手からベテラン、コーチやスタッフもが、次々と声を掛けて通り過ぎていく。青山ほど、話しやすい雰囲気をまとったベテラン選手は、そう多くない。

「おざっす(お疲れさまです)」
「いっす」「おう」
「うぃーっす」
「マッスル~」

最後の「マッスル~」は、チーム内で流行っているかけ言葉らしいが、見るほどに若い選手からも、とても慕われているのがわかる。

ウェイトトレーニングを終えたと思しき選手には、「何セットやった?」と声をかける。「4セットです」との返答には、「おー!」と一言だけ褒める。でも、それも「逆のことをしている」の一つなのだという。

「極力、声をかけるようにしているだけですよ。でもこれも、普段はしない逆のことの一つなんです。最近はちょこちょこ若い選手たちも聞いてくれるようになったしね。『どうやってキャッチボールやってるんですか?』とか。教えるのは好きになりましたね」。

好きじゃなかったのかと尋ねると、「う~ん…。あんまりやっていると、ライバルとしても見てるし」。

「もちろん、まだ越される気はないけど。でもやっぱり、若い選手には良くなってもらいたい。良くなって、1年でも長くできるように。せっかくプロ野球選手になれたんだから」

「ぼくも今ごろは、(クビになって)家でテレビを見ていたかもしれない。ユニフォームを着て、キツいと感じるのも幸せ。プロ野球選手でいられるのは、幸せなことです」

プロ14年目。通算600試合登板まで、あと42。長くプロ野球選手でいられるベテラン選手は、常に自身と向き合い、変化を恐れない。

去年より少しだけ大きくなった青山は、若い選手にとって、優しい光であり、道しるべなのだろう。

松山ようこ

松山 ようこ

フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo

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