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野球 コラム 2019年3月27日

【中日好き】笠原祥太郎、草野球からのシンデレラボーイ

野球好きコラム by 森 貴俊
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野球好きコラム 中日好き

3月15日、静岡移動を前に行われたナゴヤドームでの練習日。ドラゴンズ笠原祥太郎に大役が告げられた。

練習後のロッカールーム。阿波野投手コーチが笠原のもとへ歩み寄る。「祥太郎。監督室へ行ってくれ」。監督室の扉を開けると与田監督から告げられた。

「開幕を頼む」

オープン戦での安定感が評価され、与田監督は自信を持って笠原を指名した。昨年のサムライジャパン選出時もそうだ。「僕なんかでいいんでしょうか」。控えめでシャイな笠原の一面が顔を出す。

同時に喜びもこみ上げた。笠原は「嬉しいですよ。両親と妻にすぐに連絡しました。同級生やチームメイトから結構いじられていたんで、なんとなく、そうかもなって気になっていました。心の準備ができていた気がします」。

3月29日の開幕投手、大役の捉え方も笠原そのものだ。「143分の1です。大事な試合ってことは間違いないんですが、気負っても僕はいいピッチングはできない。昔からそうですよ」。

「意識したり、変に気合入れたりしても、いい結果は出ないんです。そういうタイプなんでしょうね」。

ここまでの笠原の野球人生は常に雑草だった。エリートという言葉は微塵もない。新潟県立新津高校卒業後、新潟医療福祉大学への進学は決まっていた。

「大学で野球をしようと決めていましたが、そんなプロなんて当時は全然考えもしなかったです」。同じ町に住む方に誘われて大学入学までの間、軟式の草野球に参加した。草野球なんて…。そんなプライドを笠原は持たない。

「やっている人はみんな真剣ですからね。ピッチャーやりましたが、結構打たれちゃいました」と当時を振り返る。

ドラゴンズ入団1年目の寮での生活。食事後、ルーキー達は週に数回テレビの前でワイワイ談笑するのがお決まりの流れだった。しかし笠原がその輪に加わる事は少なかった。

孤高を気取っているわけではない。「部屋でゆっくりしていたい。無理に人と話しても疲れるんで。次の日に備えたいんです」。

笠原は決して自分に無理しない男だ。洋服、車に興味はない。現在でも奥様から月のお小遣いを渡されている。

「後輩と食事にいくとやっぱり僕が払うので、すぐになくなってしまいます。お金がなくなったら嫁に頭下げて追加してもらいます」と笑って話す。笠原はそんな日々も違和感なく受け入れている。

「将来は野球に携わる仕事ができたらいいなぁ」。そんな思いの青年は、草野球から大学、プロ入り、サムライジャパン選出、そして開幕投手へと階段を登った。

「いつも通りに投げるのが難しい日だと思うんですがね。でも、いつも通りに投げます。それしかできないので」。苦労をそう捉えない。己の実力を決して過大評価しない。今の自分こそ全て。

3月29日プロ野球開幕。無心で投げ込む笠原のボールがドラゴンズの今季初勝利を呼び込むと信じている。

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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