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野球 コラム 2019年3月15日

【中日好き】佐藤優、より強く、より速く

野球好きコラム by 森 貴俊
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秋、JAPANのユニフォームを着た笠原は、マウンドで投げる佐藤優について、ベンチ内でのサムライメンバーの会話に思わず笑みをこぼした。

「佐藤って、けっこうエグいボール投げるな」
「真っすぐ、いいボールですよね」

笠原は、「なんか、嬉しくなりましたね。チームメイトがああいう形で褒められるのは。もちろん本人に伝えました」と話した。

それを聞いた佐藤は「嬉しかったですね。こういう性格なんで積極的に話せなかったんですが、凄いメンバーの方にそう言ってもらえてモチベーションが上がりました」と振り返る。

佐藤は自分の心に強く誓った。「もっといいボールを。もっと強いボールを投げられるようになる」。

計画の第一歩はアメリカだった。ドラゴンズ木下雄介と共にトレーニングを学びに行った。“ドライブライン”日本ではまだ聞き慣れないトレーニングだが、球速アップにかなりの実績を上げている方法だ。

本来ならば数カ月のプログラムをこなすが、佐藤は要点だけを学び、それを日本に持ち帰った。そして迎えた沖縄キャンプ。ドライブラインを自主トレーニングに取り入れながらチームの練習をこなす佐藤。2月中旬、本音を吐露した。

「ボールがいかないんです。全くダメ。去年の1軍昇格時が10だとしたら、今は1か2.ちょっとマズいなって思っています」。けっして冗談ではない事は佐藤の顔で分かった。

なぜ強いボールが投げられないのか。佐藤自身もわからない。不安は焦りを倍増させていた。2月後半、練習試合が入ってきても結果はついてこない。連打や本塁打を浴びる登板が目立っていた。

佐藤は「今思えば、本当に焦っていた。去年の事があるので、チームに迷惑をかけたくない。やらなきゃやらなきゃって、毎日思いながら練習していましたが、変な力が入って完全に空回りでしたね」と振り返った。

自分の変化を求めた結果、佐藤はつまずいた。「先発をやりたい」そう願っていた佐藤だが、キャンプ前、与田監督、阿波野投手コーチから「中継ぎで、短いイニングで考えている」とはっきり告げられた。

佐藤は「それに関しては言われた段階で、すぐに切り替えましたから不調とは関係ないです。自分のやりたい事と求められることって違うと思うし。求められた場所で結果を出すのが仕事だと思います」と話す。

チームが名古屋に戻った3月、投球フォームのメカニックの部分で大きな違いに気づいた。

佐藤は「去年、一番いいボールを投げていた時は抑えを任される少し前くらいです。その映像と今の自分を比べていたら、明らかに今の方が胸のマークが見えるのが早い。身体が開くのが早いんです。バッターからすると、ボールが見やすい状態になっているんです」と分析した。

なぜそうなっているのか。佐藤は今の自分の動きを繰り返しながら大きな変化に気づいた。「強いボールを目指して、キャンプから作ってきました。その一つのポイントで軸足をプレートから強く蹴りだすって事をやってきました」。

「強く蹴ろうと意識しすぎて蹴るタイミングが早くなっていた。それに伴って身体も早く開いている。下半身の粘りがなくなっていたんです」と話す。

フォームを修正した佐藤は今、徐々に本来のボールを取り戻しつつある。「そうは言っても沖縄よりは良くなったくらいです。本来の状態のまだ半分ですね」。

「原因が解らなかった2月に比べると、やる事もはっきりしてきましたし気持ちの面でも楽です。強いボールを目指した事は間違っていないし、ドライブラインのトレーニングも間違ってはいないと思うんです。強く速く鋭いボールを目指すことは変わりません」。

開幕まで2週間、多くの時間は残されていない。佐藤は「間に合います。間に合わせるのが責任だと思っています」と力強く話す。

「去年の成績でレギュラーをとったなんて思えないですよ。でも、いい経験はしました。岩瀬さん浅尾さんから多くを学ばせていただきました。無駄にはしたくないですね。チャンスだと思っています。もちろん、今目指すポジションは7回8回のいい場面、勝ちゲームや僅差の場面です」。

控えめで謙虚な佐藤優は、探求心に溢れエグいボールを投げる男でもある。 右腕では鈴木博志、田島、祖父江、そして佐藤。競争は日々激しさを増している。

開幕から勝ちパターンを務める為、佐藤優は静かな闘志を燃やしている。

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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