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野球 コラム 2019年2月26日

【中日好き】加藤匠馬、5年目の新戦力

野球好きコラム by 森 貴俊
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野球好きコラム 中日好き

去年の秋キャンプ、ナゴヤ球場に姿を見せた伊東勤ヘッドコーチの目に素晴らしい素材が飛び込んできた。「ソフトバンクの甲斐にも劣らない肩をもっている選手がいた」。

プロ入り5年目、26歳の捕手、加藤匠馬だ。2018年は1軍出場なし。ここまでプロ通算わずか5試合。捕手にとって重要視される経験や引き出しはまだない。新監督、新首脳陣の中、始まった今年のドラゴンズ、加藤はチャンスと捉えている。

「ある程度、フラットな見方はしてもらえるかと思います。だけどしっかり結果を残さないとここまでと同じ。チャンスをじっと待っていてもしょうがない。このキャンプで自分からつかみに行くつもりでやっています」と話す。

経験はないが、加藤には最高の強みがある。伊東ヘッドも目を見張った強肩だ。入団時から肩の強さは折り紙つきだった。その強烈な強さは、盗塁時ベースカバーに入る野手誰もが口にする。

キャプテンの高橋周平は、「他のキャッチャーとは明らかに送球の軌道が違う。ベースに向かって地面を這うような、グンと浮き上がってくるようなボールが来ます。初めて見た時は正直驚きましたね」と話す。

また、投手の笠原も同様に「チームに入って初めてキャッチボールした時、度肝を抜かれました。え?マジ?って思うボールでしたよ。ワンステップくらいで軽く100mくらいは投げますしね。投手辞めたくなりましたよ」と明かした。

入団時、ドラゴンズには谷繁選手兼任監督がいた。ルーキー加藤からしたら大きすぎる壁。かつ1軍キャンプでは、肩の強さ以上に、体の細さや打撃の非力さが目立ち2軍行きとなった。

そこから4年が経った。今はユニフォームを脱げば鋼のような肉体を持っている。「体を大きくするのは難しいですが、僕の身長でも身体を強くする事はできますから」。加藤は小さな努力を積み上げてきた。

去年10月、加藤は年明けの自主トレ先を大阪に決めた。大島洋平に一緒に大阪でやりたい事を申し出た。大島からは快諾をもらったが、その真意をこう明かした。

「大島さんは毎年安定した数字を残している。参考にしたい気持ちもありますが、もう1つは大島さんと一緒に自主トレをしている周平が結果を残した」。

「正直悔しいし。4年やってきてこれではダメ。何かを大きく変えないといけない。そう思って大島さんに相談しました」。

加藤にとって高橋周平は1学年下の後輩。これまで多くの時間をナゴヤ球場で過ごしてきた。ポジションは違うが置いて行かれるのはごめんだ。そんな思いが加藤を突き動かした。

2月23日、北谷でのオープン戦初戦。加藤はスタメンマスクで起用された。見事に2つの盗塁を刺し、センター前にヒットを放った。

試合後、加藤は「肩ばかり言われますが、キャッチャーなんで。トータルの守備力をもっと身につけないと。投手が打たれれば、やはり責任は感じます」。

「今日の笠原も僕の配球ミスで失点してしまっている。まだまだやる事は多いですが、このまま1軍にくらいつくつもりです」。

甲斐キャノンに対抗した呼び名の理想は?「バズーカ?ライフル?色々言われてますが、そんなに破壊力はない気もしますけど…。名前つけるのはまだ早いんで、もう少し先でいいです」。笑顔にも真剣さがうかがえる。

確かにそうだ。強肩のニックネームよりまずは“加藤”。こちらを認知してもらう事が優先だろう。新戦力ではないにせよ、新たな息吹はチームを強くする。新与田丸の扇の要。春から加藤匠馬がマスクをかぶっていても不思議ではない。

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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