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野球 コラム 2019年2月13日

【オリックス好き】新主将・福田周平が見据える「出塁率4割」の難易度

野球好きコラム by 藤原 彬
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昨年の春季キャンプでは、初見で福田周平が判別できなかった。ルーキーらしからぬ堂々とした挙動がベテランのように映ったからだ。

質問にも内容を飲み込んでから言葉を選び、うなずけないことにははっきり違うと意思を示す。迎えた今年の春季キャンプイン前日には、絵に描いたような「しっかり者」の福田が主将に任命されて話題となった。

異例と言えるプロ2年目の抜擢に当初は、「自分で大丈夫なのか」と戸惑ったようだが、「福田なら皆を引っ張ってくれる」と西村徳文監督からの信頼は厚い。

春季キャンプ3日目には、続出する故障者とアピールが足りない若手に指揮官が激怒する一幕があった。その直後にすかさず、福田がロッカールームでチームメイトと気合いを入れ直したという。

もちろん、期待されているのはグラウンド外の仕事だけではない。

昨季のバファローズは、リーグ4位の538得点にとどまり、固定することのできなかった1、2番が苦戦の理由として挙げられている。

そこで今キャンプは、テーブルセッターの役割を狙う選手から出塁率向上を目指す声が聞こえているが、福田はルーキーイヤーから4割を具体的な目標として口にしていた。

では、プロ野球における「出塁率4割」はどれほどの難易度か考えてみたい。結論から言うと、かなり高めの目標ではある。

昨季はリーグ内で規定打席に達した29人のうち4人がクリアした数値だが、2000年以降での達成は58人のみ。その人数は、打率3割超え(162人)や30本塁打以上(80人)よりも少ない。

出塁率を上げるには基本的に「打率上昇」か「四球増」、もしくはその両方が必要とされる。後者については選球眼に磨きをかけるだけではなく、相手バッテリーからの警戒レベルが上がることでも増えていく。

実際、過去の「出塁率4割」達成者を見ると、ある程度の長打力を備えた打者が多い。58人のうち本塁打が2ケタを割った打者は11人しかおらず、そのほとんどが30本前後の長打を記録している。

2000年のイチロー(ブルーウェーブ)は12本塁打で出塁率.460を記録しているが、こちらは選球眼の良さに加えて高打率(.387)の影響が大きかった。

福田が出塁率の向上を目指す上で、良き見本となりそうなのはチームOBの大島公一だ。主に2番打者を務めた2000年に出塁率.418(打率.283)を残し、本塁打は1本、長打も19本だったが、90四球を選んでいる。

ちなみに、当時のチームはリーグ4位の打率.260ながら最多の559四球を獲得し、638得点で2位だった。このシーズンに限らず大島の四球獲得はチームの得点力を高めていて、その役割は現在のバファローズが欲しているものでもある。

昨季の福田はリーグ平均を上回る四球率9.0%を記録して、ボール球にもあまり手を出さず三振の割合を同程度に抑えており、投球をうまく見極めてプロに順応した。

出塁率(.340)と打率(.264)の差を1割ほどに広げたいと語っていたこともあり、160cm台と小柄な体が共通する大島の残した打撃成績は理想像に近いかもしれない。

もちろん、福田はまだフルシーズンを経験したことがなく、現在はレギュラーを争う立場だ。

とはいえ、新選手会長の若月健矢が「(それぞれの選手が)キャリアを上回る成績を残せれば優勝争いに食い込んでいける」と語るように、個々の進化なくして23年ぶりのリーグ優勝は見えてきそうにない。

自らに設定しているハードルの高さで、まずは新主将がチームをリードしている。

代替画像

藤原 彬

アルバイト時代を含めて10年余り野球専門誌の制作に携わり、2016年にFAとなったさすらいのスポーツウォッチャー。「二兎を追う」を信条に、編集、執筆、写真、発信、校閲をこなす5ツール・プレーヤーを目指して勉強中。食にうるさい関西人だが、行く先々で「あんまり面白くないね」と言われる。同い年のレブロン・ジェームズは誇り。

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