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野球 コラム 2019年2月7日

【オリックス好き】新加入した成瀬善久、改めて持ち味と課題について

野球好きコラム by 藤原 彬
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2月4日、バファローズはスワローズから戦力外となっていた成瀬善久の獲得を発表した。背番号は46と発表されている。

同日の春季キャンプ中に行われたシート打撃が入団テストとなり、「どんな球種でも勝負できることをアピールしたかった」と、成瀬は変化球を交えながら、打者6人に25球を投じた。

その投球を見届けた野球解説者の薮田安彦氏は、少ない球数ながらも「ファウルがとれている」ことを評価。西村徳文監督も「あの時ほどではない」と力の衰えを認めながら「コントロールの良さ」に太鼓判を押している。

「あの時」の成瀬とは、先発投手陣の大黒柱としてマリーンズを支え、西村監督が指揮官に就任した2010年にシーズンだけで203.2回(28先発)、クライマックスシリーズは23回(3先発)、日本シリーズでは11回(2先発)を投げるなど、大車輪の働きで日本一の立役者となった。

さかのぼって、16勝1敗をマークし、防御率1.81でタイトルに輝いた2007年からは、6年連続で150投球回をクリアしている。

スワローズに移籍した2015年以降の4年間は48登板のみと、当時のタフネスにも陰りがみられるが、昨季は一軍で戦力になれた左投げ投手が、先発のアルバースと田嶋大樹のみだったバファローズの事情とも合致した。

入団テストでの最速は135kmで球威もピーク時ほどではないが、本人は「140kmも出ない方がいい」と語っている。

NPBの速球の平均球速は140kmをやや上回る程度だから、「平均値からのかい離」という点では確かに130km台前半の方が効果的なのかもしれない。

ただし、その“遅いボール”はスピンが効いてキレが抜群な上、打者にとってリリースポイントが見えづらい投球フォームから繰り出される。

変化球はスライダー、チェンジアップが主で、時折カーブを投げるだけの計3種類と、プロの先発投手としては少ない。

速球のキレに影響しそうだからシュート系のボールを投げないと全盛時に聞いた覚えがあるが、それも持ち球への自信の裏返しだっただろう。

投球の幅を広げるよりも手持ちの武器を磨き上げ、創意工夫を掛け合わせ、成瀬はリーグを代表するサウスポーとしての立場を確立する。

シンプルなコンビネーションで打ち損じを誘い、プロでは遅い部類の速球に打者は振り遅れ続けた。

もうひとつ、成瀬の投球を支えるのが「制球力」だ。通算与四球率は1.84で、1000投球回以上の実績を持つ現役投手で24人中の5位。

ベストの上原浩治(ジャイアンツ)は1.20で別格としても、岸孝之(イーグルス)の2.21や金子弌大(ファイターズ)の2.32と比較しても、どれだけ優れた数値か分かる。

スワローズでの実働3年は球威の低下もあってか、この数値が2.83まで悪化しており、以前の水準にどこまで近付けるかが新天地での復調のカギとなるのではないだろうか。

また、成瀬の投球で特徴的なのが被本塁打の数だ。スピンの効いた速球は空振りが奪える半面、バットの芯を食らえば飛距離が生まれる。成瀬の通算被本塁打率0.99は、先の24人でワースト3位(同じくスピン量の多い上原の1.07がワースト)。

典型的なフライ系投手だけに、本塁打が出やすい神宮球場は相性が悪かったが、本拠地の広いチームへの移籍は吉だろう。

起用法について、西村監督は「これから考えたい」と言う。そして、プレーオフでの経験が豊富で、日本代表としても修羅場をくぐった成瀬へ「若い投手にいいものを見せてくれたらという狙いもある」と期待を込める。

当人は「質問してくれれば、答えられることは答えます」と話しながらも「若い人と競争して自分のポジションを勝ち取りたい」と、テスト合格の先を見据えていた。

チームに久しく欠けていたベテラン左腕が「一旦は諦めかけていた」世界で、まずは競争に加わっていく。

代替画像

藤原 彬

アルバイト時代を含めて10年余り野球専門誌の制作に携わり、2016年にFAとなったさすらいのスポーツウォッチャー。「二兎を追う」を信条に、編集、執筆、写真、発信、校閲をこなす5ツール・プレーヤーを目指して勉強中。食にうるさい関西人だが、行く先々で「あんまり面白くないね」と言われる。同い年のレブロン・ジェームズは誇り。

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