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野球 コラム 2018年12月30日

【侍ジャパン2018年振り返り】侍がMLBオールスターに圧勝した理由

野球好きコラム by 松山 ようこ
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「勝ちに行く」「1点の重要性」「粘り強く戦う」……。

いずれも侍ジャパンの稲葉監督が、この日米野球で力強く選手たちに伝えた言葉だ。11月9~15日に行われた、4年ぶりの日本とMLBオールスターとの対戦シリーズは、5勝1敗で日本が見事に勝利。

メジャーリーガーも目の色を変えて、「本気で戦う」と挑んだようだが、侍ジャパンとはチームの礎と目的に差がありすぎたかもしれない。

侍ジャパンは来年に開催される「WBSCプレミア12」、そして何よりも2020年の「東京オリンピック」への布石として、このシリーズを戦うことで一貫していたのだ。

今回、菅野智之(巨人)や筒香嘉智(DeNA)ら、主軸は欠いたものの、初選出の岸孝之(楽天)や笠原祥太郎(中日)をはじめとする投手陣が、それぞれの持ち味を発揮。

野手でも、柳田悠岐(ソフトバンク)や秋山翔吾(西武)を中心に存在感を示し、連日変わる先発メンバーと日替わりヒーローに、MLBの投手陣にも「脱帽だ。混乱する」と言わしめた。

◆「勝つことが楽しみ」と明かしたMLBチーム。投手陣は”小ぶり”も野手陣は実力者揃い

オリンピック前哨戦を兼ねた侍ジャパンとは異なり、来日したMLBオールスターにとって、同シリーズはエキシビジョン・ゲーム。

いろいろな選手に話を聞いたが、彼らの言う「出るからには全力でプレーして勝ちたい」という熱意は、「日本を楽しむ」ことと同義で、少なからず先を見据えたものではなかったように思えた。

中には、ヤディエル・モリーナ(カージナルス)やミッチ・ハニガー(マリナーズ)のように「オリンピックに出たい」。

さらにヘクター・ベラスケス(レッドソックス)のように「日本でプレーしたい」と明かすなど、先を見据えた選手もいたが、多くは「勝つことが楽しみ」と、至ってシンプルに目の前の試合に臨んでいた印象だ。

もちろん、彼らも本気だった。チームを率いたドン・マッティングリー監督(マーリンズ監督)は、選手時代から日本野球に多大なリスペクトを払ってきたことを明かした。

そして、「投手陣はトップ選手を揃えることはできなかったが、野手陣は実力のある選手ばかり。持てる力を発揮してもらって、勝つために全力を尽くす」と記者会見で表明。

同監督の腹心とも呼べる捕手のJ.T.リアルミュート(マーリンズ)は、共に来日した元日ハムのクリス・マーティン(レンジャーズ)に、日本のピッチャーの特徴を尋ねるなど攻略に熱心だったという。

ナ・リーグ新人王のロナルド・アクーニャ(ブレーブス)や、MLB史上3人目という10代で20本塁打以上を記録したフアン・ソト(ナショナルズ)ら、次世代スター選手も「穴を見つける」と意気込み、豪快なホームランを放って見せた。

それに、野茂英雄からフォークを教わったというカービー・イエーツ(パドレス)は、第4戦で菊池涼介(カープ)に決勝スクイズを決められるなどで敗戦投手となった直後、ベンチでグラブを叩きつけて悔しさを顕にした。

マーティンいわく、初戦の逆転負けで「スイッチが入った」という。それだけに、見応え十分のシリーズとなった。

◆「ロケット・ランチャー」と「甲斐キャノン」、日米のスター捕手が活躍

今回の来日で断トツのスター選手だったモリーナは、第3戦で持ち前の強肩である”Rocket Launcher(ロケットの発射台の意)”も披露。

最終戦の前に「家族の都合」で帰国してしまったが、ホームランも含む長打も見せつけるなど、さすがと言わしめるパフォーマンスをファンの目に焼き付けた。

一方、「甲斐キャノン」で話題沸騰中の甲斐拓也(ソフトバンク)は、モリーナを「神です!」と崇拝しながら、その帰国前の第5戦でモリーナに見せつけるように、2打数2安打。

8回には勝ち越し二塁打、9回には併殺崩れの送球ミスをしっかりベースカバーし、打者走者を二塁で刺すなど、最後まで攻守で活躍した。

第1戦、第4戦でも終盤での侍ジャパンの逆転劇が見られたが、これらも偶然ではない。冒頭の稲葉監督の言葉が、選手一人ひとりに浸透している証拠だろう。

松井裕樹(楽天)は、第2戦に続いて、第5戦でも9回に登板。第2戦は12-6と大量リードの場面で、第5戦は6-5と1点差の緊迫した場面だったが、いずれもMLBの強力打線をピシャリと三者凡退に仕留めている。

「最初から稲葉監督が『勝ちに行く』と言っていたので、その一心でシリーズに挑んだ」と松井は言う。

そうした迎えた最終の第6戦、侍ジャパンは安打数では8、MLBオールスターが10安打と、攻められながらも粘り、4-1で勝利した。

シリーズも4勝1敗と大きく勝ち越していたが、この最終戦の前に稲葉監督はこう語ったという。

「オリンピックでも最後に負けたら銀メダルになってしまう。最終戦もきっちり勝ちに行く」。その意味を理解し、チームが一丸となって戦ったからこそ、侍ジャパンの圧巻の勝利劇は生まれたのだろう。

◆「結束!侍ジャパン #43」
・12月31日(月)午後7:00~午後7:30 J SPORTS 1で初回放送
※日本で開催されたJAPAN ALL STAR SERIES「2018日米野球」を特集

松山ようこ

松山 ようこ

フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo

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