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野球 コラム 2018年9月16日

【中日好き】ビシエドから学ぶ事

野球好きコラム by 森 貴俊
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9月、ドラゴンズは何度も這い上がってくる。15日現在、再びクライマックスシリーズ争いに加わり、順位を4位にまで上げた。好調を支える一番の要因は打線だ。1番に平田を据えてから活発な打線はセリーグでも上位クラスだ。

中でも好調打線を引っ張るのは1番の平田、そして4番のビシエドだ。ビシエドは8月の月間MVPを受賞し、9月もとどまる事を知らない。単なる好調の二文字では片づけられないビシエドは、いったい何が変わったのか、波留敏夫打撃コーチに聞いてみた。

「一番変わったのは左手(前の手)の使い方です。ビシエドはどちらかというと右手が強い。ボクサーで言うなら右フックでボールに衝突しに行くバッティングだった。インコースを攻められても、身体を開いて右手でボールに衝突しに行く打撃だったから死球も基本は右手に当たる」。

「今は左手がしなるように使えるからインコースはさばく。余裕もできて見逃す事が出来ている。なんでも打つのは無理だからね。打てるボールを待つ状況を作れる。そのカウントに持っていけるんです」と話す。

今シーズン、ビシエドは日本球界3年目を迎える。単純に日本野球に対して“慣れた”と感じてしまうが、波留コーチはそこを否定した。それは順応でなくビシエドの努力だった。

波留コーチは「今年は左手だけでバットを持って、ひたすら自分の身体の幅の中でボールをはじく感じの練習をしたり、逆手(バットを握る際、右手が下で左手が上、通常と逆)でバットを持って体が開かない練習をしてきた」。

「ビシエドなりにボールを迎えに行かない。自分のゾーンまで呼び込んで体の幅の中で打つ練習をしてきたんです。それが実りました」と説明した。決して慣れではなく、今のビシエドは進化している。日本球界で成長したからこそ、今の成績があるようだ。

波留コーチはこう続けた。「例えばソフトバンクの柳田、あれだけバットを振っているように見えるでしょ。映像だとそう見えるけど、やっている事は同じ。身体の幅に呼び込んで右手(前の手)主導で打っている。1番だから4番だからっていう打者のタイプは関係ないんです。打つ打者には共通しているポイントがあるんです」と話す。

とかくビシエドは自分の打撃を説明しようとはしない。お立ち台でもすでにファンの皆さんお馴染みの「神様のおかげだよ」となるが、好調にはしっかりとした理屈があった。

波留コーチははっきり言った。「周平、福田。打てている日は確かにできている。じゃあ、なぜできるのか。それは相手投手の間と自分の間が偶然合うからなんです。特に周平は変化球主体の投手には合いやすい」。

「でも、相手投手も打たせないように細かく間を変えてくるでしょ。それに対応するのがビシエドと平田。タイミングが合わずボールを迎えに行ってしまうのが周平と福田。彼たちがビシエドの今のバッティングを、もっと言えば普段の練習からビシエドが、どう考え取り組んでいるのかを感じてほしいんです」と話した。

外国人と自分は別と考えてしまうのは実にもったいない。現にビシエドは色んな日本人打者を観察し、コーチの考えを取り入れた。“日本人と自分は別物”と考えているならば今のビシエドは存在しないだろう。

ドラゴンズ史上最高の外国人打者へ。そして奇跡のクライマックス進出へ。今のビシエドはそれを可能にするだけのムードが充満している。

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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