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野球 コラム 2018年7月27日

【都市対抗】ドラフト候補の若手野手、いぶし銀のベテラン投手が活躍した今年の大会

野球好きコラム by 大島 和人
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24日に大阪ガスの初優勝で幕を閉じた第89回都市対抗野球大会は、若手野手の活躍が目立った。

橋戸賞、首位打者賞を獲得したのが近本光司(左投左打)だ。彼は大阪ガスの「5番センター」として、5試合で21打数11安打5安打を記録した。

近本は170センチ・70キロの小兵だが、準決勝では決勝ソロ本塁打も打った。昨夏の都市対抗は三菱重工神戸・高砂の補強選手として出場して5打数3安打を記録し、今大会も5試合中4試合でマルチ安打を記録。

決勝戦こそ、4打数1安打にとどまったが、2点目のセンター前タイムリーを打っている。5試合で4盗塁を記録した俊足も光った。関西学院大学から入社して2年目の彼は、走攻守が揃った外野手として、今秋のドラフト上位候補になるだろう。

大阪ガスは小深田大翔(右投左打)も大活躍。「2番ショート」として起用され、20打数6安打5打点の活躍で若獅子賞(新人賞)に輝いた。

近畿大学時代は1回生の秋からレギュラーに定着し、通算107安打を記録したアベレージヒッターだ。168センチ・67キロと小柄で、入社1年目だから今秋のドラフト会議には絡まないが「打てるショート」は貴重だ。

NTT東日本の優勝に貢献し、昨夏の橋戸賞を獲得した福田周平(現オリックス)も169センチ・69キロの小兵だった。

しかし、彼は既にプロの即戦力として出場機会を得ている。清宮幸太郎のような大物打ちではなくても、チームの勝利に貢献する「職人」をプロに輩出するのが社会人球界。今大会もそういう人材は事欠かなかった。

一方で投手陣は「オーバー30」の活躍が光った。久慈賞を受賞したが守安玲緒投手(三菱重工神戸・高砂)だ。彼は1回戦、準々決勝、決勝の3試合に先発し、23回3分の0を自責点「3」に抑えた。

守安にフォームやボールの力強さはなく、速球もほぼすべて130キロ台。しかし、判別の難しい「紛らわしい」変化球と、大会通算3四死球という制球力、打者を観察する知性で、好投を続けた。

入社9年目、31歳の守安が「ドラフト候補」として挙がることはない。しかし野球好きを唸らせる投球術は進化を続けていて、今大会は彼が社会人野球の“レジェンド”として名を高めた大会だった。

また、三菱重工神戸・高砂に日本生命から補強された藤井貴之も、今大会は2試合に先発して2完封。4試合通算21イニングを自責点「0」に封じる快投を見せた。

同志社大時代に最速150キロの本格派として鳴らした彼は現在30才。今も140キロ台の速球は投げるが、それ以上に「沈む」「食い込む」くせ球を駆使する上手さが際立った。

逸材は都市対抗の魅力だが、「熟練の士」がいるからこそ彼らも引き立つ。そんなことを感じさせる彼らの活躍だった。

都市対抗には野球の全てがある。ドラフト候補の華やかさと、ベテランの渋さの両方を楽しめる。東京ドームのグランドを見れば冷静な投球術、老練な技術と、一戦にかける熱い思いの両方を見て取れる。

スタンドを見れば音楽、マスコットキャラクター、様々な出し物と「大人が全力で遊ぶ」光景が目に入る。そういう「お祭り文化」は都市対抗にしかないものだ。

そこには大阪ガスや三菱重工の社員でなくても、彼らを後押ししたくなる空気感がある。そんな奥の深さが、都市対抗を楽しむ「無関係者」が徐々に増えている理由なのだろう。

大島 和人

大島 和人

1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty

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