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野球 コラム 2018年7月25日

【都市対抗】緊迫した投手戦を制し、大阪ガスが「悔しい歴史」を晴らす初優勝

野球好きコラム by 大島 和人
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第89回都市対抗野球大会は24日(火)に決勝戦が行われた。近畿第2代表・大阪ガス(大阪市)が、三菱重工神戸・高砂(神戸市・高砂市)を2-0で下し、初優勝を決めた。

試合は緊迫した投手戦となった。大阪ガスの先発は九州産業大学から入社して2年目の右腕・温水賀一。1回戦、準々決勝に先発し、23日の準決勝もリリーフで好投していた。

大阪ガスは、どの試合も3人以上の継投で勝ち上がってきたチームで、「後」の不安はない。温水は立ち上がりから全力投球を見せた。最速144キロの速球で時には押しつつ、スライダー、チェンジアップ、カーブをまじえた好投を見せる。

三菱重工神戸・高砂の先発は社会人野球界の“レジェンド”となりつつある入社9年目の右腕・守安玲緒。彼も1回戦、準々決勝に続く先発だった。守安の速球は130キロ台で、決勝戦も140キロに届いたボールは1、2球。しかし制球力は驚異的だった。

また「同じ球種でもタイミングを変えて少しずつ緩急をつける」「直前に投げた速球と同じ球筋からフォークを落とす」というような投球術も駆使。毎回のように走者は出すが、後続を難なく打ち取っていく。

4回表、三菱重工神戸・高砂は1死から4番・藤原隆蒔が左中間を破る長打を放つ。藤原は思い切って3塁を突くが、タッチアウトとなってしまいチャンスを逃す。

5回裏、大阪ガスは1死から8番・古川昂樹がレフト線を破る2塁打で出塁。この試合2度目の「1死2塁」だったが、後続は続かず無得点に終わる。5回終了時点でスコアは0-0。両先発がマウンドを譲らず、試合は後半に入った。

試合が動き始めたのは7回裏。三菱重工神戸・高砂は1死から7番・伊藤諒介がセンター前安打で出塁し、代走・大谷幸宏は2盗に成功。更に古川昂樹は3-2から四球を選んで、1死1・2塁のチャンスを迎える。

絶対的な制球力を持つ守安玲緒にとって、これがこの試合初の与四球で、大会を通しても2つ目だった。

このボールのコースはかなり際どいもので、守安玲緒はマウンド上でしゃがみこみ、ショックを隠せない姿を見せる。しかし、守安は代打・室屋太郎を遊ゴロ併殺に打ち取り、このピンチを脱した。

8回表、今度は三菱重工神戸・高砂がチャンスを迎える。8番・森山誠が無死からレフト前安打を放ち、9番・渡邊祥平がバントで送って、1死2塁のチャンス。

大阪ガスは好投の温水賀一をついに交代させ、クローザー・緒方凌を起用する。緒方は三菱重工神戸・高砂は1番、2番を内野ゴロに打ち取り、得点を許さない。

8回裏、ついに山が動いた。大阪ガスは無死から1番・青柳匠がセンター前安打を放ち、2番・小深田大翔はエンドランから進塁打のサードゴロ。1死2塁のチャンスを迎える。

3番・峰下智弘は際どいボールを見逃した直後のカウント2-2から、センター前タイムリー安打を放つ。

大阪ガス 1-0 三菱重工神戸・高砂

峰下はこの試合の1回、3回と得点圏に走者を置いた状態で凡退。3年前の決勝戦も一打サヨナラの場面で凡退していた。そんな峰下が本人曰く「5度目の正直」で走者を還した。

三菱重工神戸・高砂は直後に今大会2勝の藤井貴之をマウンドに送る。しかし彼も4番・土井翔平に死球を与えると、5番・近本光司はセンター前タイムリー安打を浴びる。

大阪ガス 2-0 三菱重工神戸・高砂

決勝戦の近本は4打数1安打だったが、それが貴重なタイムリー安打となった。また1回戦から準決勝までは4試合連続の「マルチ安打」を記録しており、今大会の通算打率は5割2分4厘。

更に4盗塁という文句のない活躍で、第89回大会の首位打者賞と橋戸賞(MVP)に輝いている。

そして9回表、大阪ガスは緒方悠が相手のクリーンアップを三者凡退に打ち取って試合が終了。

大阪ガスは3年前の第86回大会決勝で、3点差を追いつかれて延長戦に持ち込まれ、延長14回の激闘の末に日本生命に破れていた。

また、今年5月31日に行われた近畿地区第1代表決定戦は、9回表の2失点で逆転され、三菱重工神戸・高砂に敗れている。そんな「悔しい歴史」を晴らす、大阪ガスの都市対抗初制覇だった。

【第89回大会各賞】

◆橋戸賞(MVP)、首位打者賞:近本光司外野手(大阪ガス)
◆久慈賞(敢闘賞):守安玲緒投手(三菱重工神戸・高砂)
◆若獅子賞(新人賞/大卒1年目、高卒1・2年目):小深田大翔内野手(大阪ガス)、太田龍投手(JR東日本)
◆打撃賞(印象的な打撃を残した打者):那賀裕司外野手(三菱重工神戸・高砂)
◆小野賞(特別賞):セガサミー

大島 和人

大島 和人

1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty

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