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野球 コラム 2018年6月15日

【楽天好き】自信と不安のはざまで。2年目の池田隆英が立ち向かう“壁”

野球好きコラム by 松山 ようこ
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横浜スタジアムでの池田投手

とても苦しんでいるようだった…。2016年にドラフト2位指名で楽天に入団した池田隆英。昨季はケガにも悩まされたが、今季はキャンプで先発枠を勝ち取り、ついに一軍デビューを果たした。

だが、開幕から1勝5敗と結果を出せず、5月下旬からは中継ぎで奮闘している。以来、7度の登板で4ホールドの”結果”を得ているものの、いい時と悪い時の差が激しい。

話を聞いたのは、ソフトバンクを相手に2ホールドを挙げた後にして、DeNAに1回4安打6失点(自責点4)と炎上した翌日。自信と不安がうずまく胸中を赤裸々に語ってくれた。

◆リラックスしようとお笑いを見ても、気がつけば野球で頭がいっぱいに

前日のショックを引きずった表情で力なく笑う池田に聞いた。どうですか、切り替えはどうやって…と言い終えるより先に応えた。

「切り替えてないっすよ…。でも、昨日の自分の映像をしっかり見ました」。聞けば、直前に2ホールドを挙げたソフトバンクでの投球も見直して比較したという。

要因は見つけた。「昨日は、上に抜けたりして、変に力が入っていました。(2ホールド挙げた時に)できていたことができていませんでした」技術的には変化球の精度などの課題はあれど、それ以上に気持ちの問題が大きいという。

それに緊張。だから、「とにかく逃げない」と立ち向かう姿勢を誓う。今季から一軍に帯同して驚いたのは、ベテランの投手ですら、時に吐き気をもよおすほど緊張している姿を目の当たりにしたこと。

ならば経験の浅い自分が緊張しないはずがない。「緊張するのは普通のことと思って、どんどんやっていくしかないなと。そうやって場数を踏むことで、違う感覚や考えが得られると思っています」。

繊細なフォームを操る投手に付きまとう、最大の課題にも直面している。日々、身体の状態が違うなか、どうやって安定させるか。

「例えば、ブルペンが良くても、マウンドで急に違う感覚が出てくることもある。“引き出し”を増やすしかない」。どんな時も結果を引き出していかなければならない難しさを痛感しているという。

答えを探し求めようと考えは尽きない。試合後も、一度リラックスしようとお笑いの動画を見ていても、気がつけば野球の動画を見入っているという。

「岩隈(久志)さんとか黒田(博樹)さんとかの動画を見て、なぜこれを投げたんだろうって考えながら見ています。もう少しラクに見られたらいいんでしょうけど」と苦しそうに笑う。

◆自信:不安=4:6。感謝を忘れず、成長できると信じて

炎上翌日で顔がこわばる池田投手

いい時と悪い時が混在する今、自信と不安の割合はどのぐらいを占めているのか。

「五分五分ぐらいですかね。でも、やっぱり不安のほうが大きくて、六四ぐらい。その方がいいと思っています。少し不安が上回るから、何も抜けないし、もっとこうした方がいいんじゃないかって、試行錯誤できている気がするので」。

選ばれし逸材のプロ野球選手となったが、幼い頃から苦労しながら野球を続けてきた。

少年期に父親が体調を崩し、いつも家の中が荒れていたこと、専業主婦だった母親が苦労しながら家計を支えたことは、ドラフトの特別番組でも特集され、多くの人の胸を打った。今度は母親にがんが見つかったという。

ニュースにもなり、多くの人から声をかけてもらったのだろう。お母さまは大丈夫ですか、と尋ねるも「大丈夫です」と制するように言う。母への思いも内に秘めるように続ける。

「それだけじゃないですから。それこそ、応援してくれている人がいますから。もちろん、親がいなければ自分もいなかったですから感謝しています。でも、ファンの皆さんにも感謝しているので」。

いい時ばかりではない。「でも、ファンの皆さんはいい時を見たいと思う。勝ち試合を見に来ている。だから頑張って、いい試合を見せたいです」とファンへの感謝と懺悔ともとれる言葉がこぼれる。

苦しみもすべて経験として”引き出し”にするのみ。後は、結果が得られることで好転していく。まだ実績が十分にないことが一番の壁なのかもしれない。「今年はまず怪我をすることなく、1年を通してしっかり投げたいというのはありますね」。

2年目の船出は荒波にもまれているよう。そうしたなか、必死で周りと自分を見つめながら邁進しているのだ。きっと凪は訪れる。

松山ようこ

松山 ようこ

フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo

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