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野球 コラム 2018年5月30日

【中日好き】小笠原慎之介、エースの階段

野球好きコラム by 森 貴俊
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5月18日阪神戦、ドラゴンズは1-2で敗れた。先発は開幕投手を務めた小笠原慎之介。ここまでローテを守ってきたがこの日の敗戦で1勝4敗、防御率は4.53 翌日、1軍登録が抹消された。

ドラゴンズの若きエース候補は口閉ざした。自分への不甲斐なさ、同時に何がダメなのか、ぶつけようのない怒りが小笠原の背中からあふれ出ているようにも見える。

この日の投球は今年を象徴していた。6回104球6安打2失点。数字だけ並べれば抹消される理由は見当たらない。

ドラゴンズの得点はわずかに1点。しかし、試合には流れがある。そして先発投手として踏ん張らないといけない場面がある。6回、阪神打線に2点を奪われ逆転を許した。

野球の神様が小笠原を試すような試合が続いた。この試合から遡っても3試合、援護に恵まれない試合が続いた。

・4月28日 DeNA戦 7回1/3 援護点1点
・5月 4日 阪神戦 6回 援護点1点
・5月11日 巨人戦 7回 援護点0点
・5月18日 阪神戦 6回 援護点1点

いずれも小笠原が投げている間のドラゴンズの得点だが、4試合1点以下が続いた。

翌週の横浜スタジアム、試合は雨天中止になり、練習中、森監督はベンチでその理由に触れた。

「前回だけでない。その前もその前も、6回が来るといっぱいいっぱいですと言う。チームがリードしているならまだしも、負けている展開でなんでそうなるのか。俺ならあと1イニング投げれば勝ち投手になるかもしれない。そんな言葉出ないよ。それでいいのか?」。

「2軍では実戦に投げなくてもいいよ。それでいいのかってのを。もう一度考える時間を与えたんだ。まだ20歳だろ。35歳までとしてもあと15年もある。このままじゃあ…」。

寂しいだろ…と続くようにも感じる森監督の表情だった。

近藤投手コーチはこう話す。「開幕投手とはそうなるものです。相手の投手だってエース級が来る。そこで自分はクオリティースタートしているから問題ないでしょとはならない」。

「そもそも、慎之介をそのレベルのスケールでいいとはしていない。ドラゴンズの将来を背負う存在、だからこそ1試合投げ抜くって投球を目指してほしい」。

「俺が投げる日は中継ぎを休ませる。1点しか援護点がないなら、0点に抑えてやるって投球を目指してほしい。慎之介は強い子だよ。それはみんな分かっている。6回100球の壁を越えないと。それができる投手だと信じています」と話す。

思いを素直に言葉にしてきた左腕は今、胸中にある思いをぐっと飲み込み我慢している。

「もっと長いイニングを投げろって事です。次の登板?聞いていません。あるかどうかも分かりません」。そっけなくも見えるが、その表情からは誰よりも勝ちたい思いが伝わってくる。

クオリティースタート(QS)は時に投手を甘やかす。あくまでも指標であり、試合を作る確率を数字化したものだ。QS率の高い投手は勝つ確率もおのずと高い。

しかし、エースと呼ばれる投手たちはこの確率を超えた物を持っている。絶対に点はやらない。絶対に逆転は許さないとする投球を何度も披露してきた。

勝つことへの意欲以上に、己の意地とプライドをマウンドで見せつける投球。そんな姿に多くのプロ野球ファンは魅了されてきた。

エースの階段を登ってこい!そんなメッセージに、いつの日か小笠原慎之介は必ず答えてくれると信じている。

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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