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野球 コラム 2018年5月4日

【楽天好き】勝つために新設されたコンディショニング部の仕事

野球好きコラム by 松山 ようこ
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最終目標は「勝つこと」。そのためには、選手たちが能力をいかんなく発揮することが不可欠だ。勝つという任務を背負う選手たちが表舞台で輝くため、チームの裏舞台は常に変革が求められている。

東北楽天ゴールデンイーグルスに、今季からコンディショニング部が新設された。選手たちのコンディションを管理し、不調やケガを未然に防ぐことに特化したこの部署について、部長の安部井寛さんに話を伺った。

◆負担を軽減することは“課題”

コンディショニング部を設立した理由について、安部井さんはこう答える。

「これまでもトレーニングコーチやトレーナーが一生懸命やってくれていますが、それをさらに球団で共有していくことが必要じゃないかと」。

つまり、「誰の状態が良くて、誰が悪いかということなんですが、しっかりチームで健康状態を管理し、1、2軍の首脳陣を含め、スタッフに共有していくことが重要だろうと新設に至りました」。

管理部、国際部、育成部、スカウト部など、あらゆる部署をまとめるチーム統括部の本部長である安部井さんは、部下でもあるトレーニングコーチやトレーナーの仕事ぶりを評価した上で、より包括的にアップグレードされることが必要と設立に至った理由を明かす。

それには、やはり昨季のチーム状況が大きく影響しているという。昨季の楽天はスタートダッシュに成功するも、夏場の過密スケジュールで大失速。

主力にケガ人が続出したため、大きな戦力ダウンも余儀なくされ、2度の大型連敗を喫したことは悔しい事実だ。

「やはりカギは健康状態じゃないかと。過酷な状況というか」と言葉を濁しながら、安部井さんは、チームにある環境の負担をクリアにする。

「パ・リーグ球団は、北は北海道から南は九州までの長距離の移動があって、そのなかで143試合を戦いますから」。加えて、楽天は12球団でも最北にある屋外球場をホームとするチーム。寒さはじめ悪天候などの影響も受けやすい。

取り巻く環境の負担は大きい。だが、安部井さんは、それらは“負担”ではなく“課題”だと当事者意識として語る。

「移動も天候も、われわれに与えられた課題なんです。(ホーム球場を)天然芝にしたこともそうですが、選手の負担を軽減するため、どうアプローチをしていくかだと考えています」。

◆ケガの一歩手前でサインを見つけ出す

10mスプリントをする岡島選手

アプローチとして、取り組んでいることを尋ねた。すると、野手ならば『10mスプリント』があげられるという。

名前のとおり、10mを全速力で走る短距離走のことで、これを計測することで様々な兆候がわかると安部井さんは解説する。

「10mスプリントでは、選手が走る時に股関節からの角度が上向きになってくると、選手の疲労が溜まっているサインです。フレッシュな状態であれば、低い重心がきちんと保たれますから。これを指標のひとつとして記録しています」。

一方、投手陣は、可動域をこまめにチェックしている。「投手陣については毎日、登板前と登板後にもチェックを入れています」。

「肩の可動域、肘の状態、全身まで。これは以前からやっていることでもあるんですが、今季からトレーニングコーチとトレーナーが一緒になって、共有しながら、しっかりやってくれています」、

これらをデータとして蓄積し、共有し、見える化することで、ケガの一歩手前のサインを読み取りやすくするのだ。

その他にも、自律神経系をモニタリングする最新鋭のシステムも導入するなど、新しいことも取り入れているという。そうした機器のデータなどは、トレーナーや選手の感覚を裏付けることにも役立つという。

選手がどのぐらい疲れているかが数値化されれば、監督やコーチにとっては、起用方法の参考になるというもの。だが、安部井さんはただ機械や数値に頼ったり、選手を過保護にしたりするのではないと念を押す。

むしろ、ギリギリで戦う選手にとって、どこまで行くとケガに至るのかという、超えてはいけないラインの感覚や意識が高まることにもつながると意義を説く。

それについての話は次回のコラムで詳しく述べたい。

松山ようこ

松山 ようこ

フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo

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