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バドミントン コラム 2023年10月13日

バドミントン日本代表、秋の欧州2連戦は「ファイナルズ出場権争い」に注目

バド×レポ by 平野 貴也
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5月に始まったバドミントンのパリ五輪出場権獲得レースが、折り返しを迎える。8日にアジア競技大会から帰国した日本代表の次のターゲットは、10月17日開幕のデンマークオープン、24日開幕のフランスオープンで、欧州2連戦となる。どちらも、BWF(世界バドミントン連盟)ワールドツアーで2番目に格の高いスーパー750。獲得できる世界ランキングポイントが高く、パリ五輪レースの中でも重要な価値を持っている。
パリ五輪の出場権付与は、直近1年間の成績を反映する24年4月30日の世界ランキングを基準とするため、目下、注目されているのは23年5月からの成績のみを対象とした「五輪レースランキング」だが、今秋の欧州2連戦では、それとは別の「BWFワールドツアーランキング」(以下、ツアーランキング)に注目したい。

■BWFワールドツアーランキング8位以内を巡る攻防

ツアーランキングは、1月から12月を対象に、BWFワールドツアーの上位成績14大会分のポイントを合算して競うもの。上位成績者は、12月に中国・杭州で開催されるBWFワールドツアーファイナルズ(以下、ファイナルズ)の出場権を得る。この大会に出場できるのは、各種目8人または8組で、同国からは最大2枠。ワールドツアー最上位レベルのスーパー1000と同等のポイント設定で、五輪レースにおいてライバルとの差を広げるチャンスとなる。五輪の同国2枠出場の条件となるシングルス16位以上、ダブルス8位以上の世界ランク(24年4月30日時点)入りを目指す、あるいは、その中で同国のライバルより上位に入れるかどうかの争いをしている選手たちには、重要な鍵だ。ファイナルズの出場権を得られれば、条件のクリアやライバルとの差をつける大きな足掛かりとなり得る。

■男子はシングルスの西本、ダブルスの古賀/齋藤にとって正念場

日本勢を各種目毎に見てみる。男子シングルスは、奈良岡功大(FWDグループ)が2位、西本拳太(ジェイテクト)が4位につけている。西本はきん差で下に連なる選手が多いため、欧州2連戦で上積みをしたい。14番目のポイントが3000点のため、スーパー750の欧州2連戦ではベスト16以上で上積みできるが、5位のジョナタン・クリスティー、6位のアンソニー・シニスカ・ギンティン(ともにインドネシア)、7位の石宇奇(シー・ユーチ=中国)辺りがポイントの近いライバル。彼らよりも多くのポイントを稼ぐことが大切だ。
世界的に大混戦の男子ダブルスは、五輪レースで日本勢2番手の古賀輝齋藤太一(NTT東日本)にとって、大きなチャンス。日本勢では、保木卓朗小林優吾(トナミ運輸)がツアーランキング3番手。保木が体調不良に陥り、アジア大会の個人戦を棄権しており、このペアについては復調具合が気がかりだ。2番手の古賀/齋藤は、ツアーランキングで12位だが、上位にインドネシア勢が4組入っており、同国から2組しか出られないファイナルズの出場権争いでは、実質10番手。齋藤は「最低でもベスト8以上に残っていかないと、ファイナルズ出場は厳しくなっていくと思う。1回戦から気合いを入れて臨みたい。ファイナルズは、憧れの舞台なので出場してみたい」と権利奪取に意欲。古賀も「ファイナルズは、8組しか出られない。出場するだけでアドバンテージになる」と五輪出場権獲得の足掛かりとしたい考えを示した。

■女子シングルス、大堀が五輪出場へ前進なるか

女子シングルスは、五輪に日本から2枠出場するための戦いに注目だ。山口茜(再春館製薬所)が世界トップクラスのランクをキープする中、2番手として16位以内に食い込めるか。8月の世界選手権では、3大会連続の五輪出場を狙う奥原希望(太陽ホールディングス)が、復活の8強入り。久々に大舞台で上位に入った。ただし、今季は負傷欠場が続いていたため、ツアーランキングでは、38位と出遅れている。9月のカオシュンマスターズ(スーパー100)も2回戦で棄権。大幅な巻き返しが必要な状況下、欧州2連戦は、逆襲のスタート地点としたいところ。
一方、五輪レース後半に向けて勢いをつけているのが、長身で左利きの大堀彩(トナミ運輸)だ。スーパー1000クラスのアジア大会個人戦でベスト4に入り、世界ランクポイントを稼いだ。アジア大会は、ワールドツアーには含まれないためツアーランキングに影響はなかったが、大堀は19位につけている。この種目は中国勢が上位に4人いるため、10位から少し下くらいの位置まで上げられれば、ファイナルズ出場のチャンスがありそうだ。大堀は「出るのと出ないのとでは、全然違う。五輪に出たいと思えば、積んでおかなければいけない経験もあると思う。チャンスがあるのであれば、食らいついてやりたい」と権利獲得に意欲を示した。

■女子ダブルスは、ファイナルズ出場権争いも大混戦

女子ダブルスは、五輪レース開幕時から日本勢の2枠出場獲得と、日本勢上位2組に入る競争が続いている。3組が中心。「出られない1組」との差をつける機会となるファイナルズ出場権は、逃せない。特に同じスーパー1000クラスのアジア大会個人戦で代表に選ばれなかった松本麻佑/永原和可那(北都銀行)は、今度は出場権を得たいところだ。ツアーランキングを見てみると、8位以内に日本勢が4組もひしめいている。
3位:福島由紀廣田彩花(丸杉) 80,620点
5位:志田千陽松山奈未(再春館製薬所) 72,510点
6位:松本麻佑永原和可那(北都銀行) 69,920点
7位:櫻本絢子宮浦玲奈(ヨネックス) 67,120点
ファイナルズ出場では、最年長で負傷を繰り返しながらも安定した成績を残している福島/廣田が優位。2番手争いは、夏以降プレッシャーに対する落ち着きと戦術の工夫で大きな前進が見られる志田/松山と、五輪レース序盤はトップだった松本/永原がきん差だが、大逆転の五輪出場を狙う櫻本/宮浦も上位に入っている。どんな動きが出るか注目だ。

■混合ダブルス、若手の「緑川/齋藤」にチャンス

混合ダブルスは、渡辺勇大東野有紗(BIPROGY)がツアーランキングで3位。今季急激に成績を伸ばしている緑川大輝齋藤夏(NTT東日本/ACT SAIKYO)が8位。日本勢3番手で追う山下恭平篠谷菜留(NTT東日本)が13位。2大会連続の五輪出場に近い位置にいる渡辺/東野に続く2枚目の切符をめぐる戦いも欧州2連戦の見どころとなる。秋から冬にかけて行われる大会は、五輪レースランキングだけでなく、ツアーランキングにも注目して見ることで、し烈なレースを体感できるだろう。

文:平野 貴也
平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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