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世界レベルのプレーや試合のイベント化に注目 10月開幕バレーボールの「大同生命SV.LEAGUE」 ~山本隆弘氏インタビュー~
バレーボールコラム by 平野 貴也山本隆弘さん(SV.LEAGUE理事)
バレーボールの国内新リーグ「大同生命SV.LEAGUE((SVリーグ)」が10月11日に開幕する。これまで、国内最高峰のリーグは「Vリーグ」の名称で行われ、V1からV3までの3部制で行われてきた。しかし、今季からは、クラブの自立を促す目的で、クラブライセンス制度を導入。将来的なプロリーグ化を目指す方針の「SV.LEAGUE」と、従来の「Vリーグ」の2カテゴリーに再編される。男子は10チーム、女子は14チームがSV.LEAGUEに加盟した。新設されたSV.LEAGUEは何を目指し、どんな変革が行われるのか。元日本代表のエースで、SV.LEAGUEの理事を務める山本隆弘さんに話を聞いた。
――新名称で行われるSV.LEAGUEは、従来のV.LEAGUEから何が変わるのでしょうか
J SPORTS オンデマンド番組情報
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配信期間 : 2024年9月28日午後7:45 ~
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【限定】大同生命SVリーグ 2024-25 男子 第1節 サントリーサンバーズ大阪 vs. 大阪ブルテオン(10/11)
配信期間 : 2024年10月11日午後6:55 ~
今季からSV.LEAGUEに加盟したチームは、自分たちのクラブで収益事業を行い、4億円以上の売上を出さなければなりません。従来は、オーナー企業が運営費を負担してくれるだけでもトップのリーグに加盟できましたが、今季からは、ホームゲームでお客さんに来ていただき、チケット収入やグッズ販売などを進めて収益を上げながら、地域密着化を進めていく方針を持ったクラブでなければSV.LEAGUEに加盟できないように、クラブライセンス制度が導入されました。
――クラブが「試合をして勝利を目指す」だけでなく「ホームタウンのお客さんを楽しませる」ことも目指すことが明確になるのですね。各クラブのカラーが反映された、ホームゲームが開催されるようになるのでしょうか
SV.LEAGUE加盟にあたり、多くのチームが、チーム名から企業名を外し、地域名を入れています。ホームゲームの開催は、地元の自治体と協力しながら、いろいろな取り組みが行われるようになると思います。特に、今までよりも、試合以外のエンターテインメントが多くなってくると思うので、一緒に盛り上がっていただけると、より楽しい空間になるのではないかと思っています。実際に何が行われるのかは、各クラブが用意していることなので、始まってみなければ分かりませんが、例えば歌手やお笑い芸人さんを呼んでイベントをやるとか、バスケットボールのBリーグさんとのコラボレーションで、同じアリーナでSVリーグとBリーグをセットにして行うとか。試合自体を最高のエンターテインメントにしなければいけないとは思いますが、イベントとして面白くなるかどうかは、試合の前後も大事です。現代のスポーツ観戦のニーズでは、試合だけを見に行くというファンは少なくなっています。「何か楽しそうなことをやっているな」という空間の中にバレーボールの試合がある、という感覚になれば良いと思っています。
――チームの成績とは別に「このクラブのホームゲームは楽しい」という空間作りの面での評価も重要になってきますね。ところで、チケット代が上がるという話を聞いていますが?
各クラブがチケット代を昨季より高く設定していると思いますが、それは、収益事業として成り立たなければいけないからです。今までどおりだと、あまり高くないチケットで平均観客数が2000人程度。一番多く入った試合でも8900人くらいというところで、難しいと思います。ただし、もちろん金額が上がった分、お客さんの満足度が高くならなければいけません。一つの例として、6月に福岡県で国際大会のネーションズリーグを開催した際、日本代表の試合では、最高で1席15万円のエキサイトシートを販売しましたが、完売しましたし、好評でした。ただ試合を観戦しやすい位置で見るだけでなく、飲食が可能なラウンジを利用できたり、試合前の選手を見送るためのエリアや、より近くで応援できるチアゾーンへの入場を可能にしたサービスが付いているものでした。各クラブが、どのようなサービスを提供していくかという点も、楽しみなところです。
――運営面で、各クラブの自立が加速するのですね。バレーボールに限らず、実業団形式の場合、親会社の都合で急に廃部になることが、珍しくありません。地域に密着して自立すれば、スポンサーが入れ替わることはあっても、クラブは存続できますね
まさに、昨季までV2リーグに参戦していた大分三好ヴァイセアドラーが、一例に挙げられます。チーム創設者でチーム運営を支えていたオーナー兼部長の三好博さんが亡くなられて、休部となってしまいました。各クラブもそうですが、SV.LEAGUE全体でも、しっかりとした運営の土台を作っていかなければいけないと思っています。
――コート上での競技面に関しては、どのような変化が生まれますか
外国籍選手のオンザコート起用枠が増えるので、よりハイレベルな競争が実現すると思います。昨季までのV1リーグは、外国籍選手1名とアジア枠1名でしたが、今季のSV.LEAGUEは、外国籍選手2名とアジア枠1名が同時にコートに立つことができるので、見る人に、よりレベルの高いプレーを届けられるのではないかと思います。日本に来る外国籍選手のレベルは、非常に高いです。例えば、男子の優勝候補の一つであるサントリーサンバーズ大阪は、世界ランク1位のポーランドでエースとして活躍するアレクサンドル シリフカ選手が加入しました。日本のエースである高橋藍選手と、世界屈指のアウトサイドヒッターが対角に入る組み合わせは、世界選抜と呼んでもおかしくないくらい豪華です。その上、オポジット(トスを上げるセッターの対角に入る、攻撃中心のポジション)に、ムセルスキー ドミトリーというロシアのミドルプレーヤーも残っているので、強力な攻撃が期待できます。ライバルとなる大阪ブルテオン、ジェイテクトSTINGS愛知もかなり戦力補強を進めているので、世界で見てもレベルの高い試合が展開されるのではないかと思います。
――勢力図も変わってきそうですか?
かなり変わるのではないかと思います。やはり昨季V1の優勝を争ったサントリーサンバーズ大阪と、大阪ブルテオン(昨季までのチーム名は、パナソニックパンサーズ)が上位を争う展開にはなると思いますが、ジェイテクトSTINGS愛知や、ウルフドッグス名古屋も戦力は整っているので、混戦になるのではないかと思います。
女子も、昨季V1の上位勢であるNECレッドロケッツ川崎、大阪マーヴェラス(昨季までJTマーヴェラス)が中心になるでしょうが、3位だった埼玉上尾メディックスが今季は、もう少し対抗できるようになるのではないかと思っています。女子は、日本代表のエースだった古賀紗理那選手が引退しましたが、2028年ロサンゼルス五輪に向けて、彼女に匹敵する新たなエースが出てこなければいけません。今、日本の女子は、アンダーカテゴリーにも非常に良い選手がいますので、どんな選手がSV.LEAGUEを通して台頭してくるのかという部分も注目ポイントだと思います。特定のチームを応援して見るのも良いと思いますし、リーグ全体を通して良い選手を探して「自分が監督だったら、この選手が日本代表だ」と考えながら見るのも面白いと思います。
――最後に、読者の皆さんへメッセージをいただけますか
パリ五輪の出場権獲得までの戦い、五輪本戦を通じて、日本代表選手がバレーボールを盛り上げてくれましたが、今度は国内で、日本代表選手がネットを挟んで対峙する戦いが始まります。すごく見ごたえがあると思います。いろいろなチームにスター選手もいますし、外国籍選手も世界トップレベルの選手が日本に来ているので、ハイレベルなバレーボールの魅力を、ぜひ現場で、インターネット観戦で、存分に楽しんでもらえたら嬉しいです。
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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