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青山学院大学vs.慶應義塾大学
9月に開幕したラグビー関東大学対抗戦も中盤戦を迎えている。10月27日(日)、栃木県総合運動公園第2陸上競技場で、青山学院大学(昨年7位)と、慶應義塾大学(昨年5位)が激突した。
今年、新たに糊谷浩孝HC(ヘッドコーチ)が就任した青山学院大学は、開幕から2連敗したが、3試合目は筑波大学に31年ぶりに30-22に勝利。だが、前節は早稲田大学に0-67で大敗し、1勝3敗の勝ち点8で暫定5位につけていた。
一方、慶應義塾大学は開幕3連敗を喫して、暫定で8位(勝ち点3)と最下位だが、筑波大学、明治大学、帝京大学と、昨季の上位チームと対戦しての敗戦だけに、青山学院大学戦で勝利して、勢いに乗りたいところだった。
過去5年の両校の対戦成績を見ると、慶應義塾大学が5連勝しているが、昨年の対戦は31-20と青山学院大学も善戦している。今年も接戦が予想された両者の対戦は、午後2:00にキックオフされた。
前半序盤早々、慶應義塾大学は相手キックをチャージし、会場を沸かせた。5分、接点でペナルティを得ると、慶應義塾大学は中央左40mほどのPG(ペナルティゴール)を1年のWTB(ウイング)小野澤謙真(静岡聖光学院出身)が決め、3点を先制する。
だが、その後は青山学院大学が、試合を通して優勢だったスクラムでプレッシャーをかけつつ、SO(スタンドオフ)青沼駿昌(4年)、ルーキーのFB(フルバック)井上晴生(東福岡出身)のキックで相手陣での戦う時間帯が増えていく。
すると11分、井上のキックカウンターから、1年のFL(フランカー)松崎天晴(東福岡出身)がゲインし、最後はCTB(センター)榎本拓真(4年)が中央にトライを挙げて7-3と逆転に成功する。
青山学院大学はその後も、相手ゴール陣に迫り、トライは奪えなかったが23分、スクラムで反則を誘い、SO青沼がPGを沈めて、10-3とリードを広げた。
しかし、慶應義塾大学も負けていない。26分、相手陣のラインアウトのチャンスに、ややボールが乱れたが、CTB今野椋平(3年)がギャップを突いてゲインし、WTB小野澤、FB伊吹央(3年)とつないで中央にトライを挙げ、10-10の同点に追いついた。
ラグビー 関東大学対抗戦2024
【ハイライト動画】青山学院大学 vs. 慶應義塾大学|ディフェンスで粘った慶應が初勝利
さらに37分、相手陣奥のラインアウトを起点にサインプレーでゴールラインに迫ると、最後は1年のFL(フランカー)中野誠章(桐蔭学園出身)が右中間に押さえて、17-10とリードした。慶應義塾大学は前半終了間際のピンチもジャッカルで防いで、前半を折り返した。
後半、慶應義塾大学は副将のSH(スクラムハーフ)小城大和(4年)、1年のSO(スタンドオフ)和田健太郎(清真学園出身)とハーフ団がアタックを引っ張り、相手陣に攻め込んでいく。相手反則を誘い、10分にはWTB小野澤がPGを沈め、20-10とさらにリードを広げた。
スクラムで優位だった青山学院大学も、ゴール前に何度か攻め込んだものの、慶應義塾大学がディフェンスで集中力を発揮し、得点を許すことはなかった。その後、スコアボードは動くことなく、ノーサイドを迎えて、慶應義塾大学が今年の対抗戦でうれしい初勝利を挙げた。
慶應義塾大学はチャンスでしっかり得点を挙げつつ、ディフェンスで相手を1トライに抑えて白星につなげた。青山学院大学はスクラムの優位性を活かすことができず、決定機に得点を挙げられなかったことが響いた。
POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にはトライや、ジャッカルで勝利に貢献した慶應義塾大学の1年のFL中野が選出された。「3連敗してしまって、目標の大学選手権ベスト4を達成するために、この試合は絶対落とせないターニングポイントだった。慶應の意地で勝ちをもぎ取れたので良かった」と目を細めた。
MIP(モースト・インプレッシブ・プレイヤー)には、キックによるゲームコントロールが光った、青山学院大学1年のFB井上が選ばれら。「早稲田戦から慶應に勝とうと練習していたが負けて悔しい。次節まで修正したい」と前を向いた。
対抗戦で初勝利を挙げ、勝ち点5を得た慶應義塾大学は、総勝ち点を8(1勝3敗)に伸ばし、暫定だが順位を7位に上げた。一方、負けた青山学院大学は勝ち点9(1勝4敗)となり順位を6位に下げた。
慶應義塾大学は残り3試合。11月10日は総勝ち点11で5位につけている立教大学と激突する。一方の青山学院大学は残り2試合、17日の次節は最下位の日本体育大学の挑戦を受ける。
9月に始まった対抗戦、両校とも早くも残りは少なくなった。関東対抗戦で5位以内に入って、大学選手権出場権を得るために、負けられない戦いが続く。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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