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ラグビー コラム 2024年10月21日

【ハイライト動画あり】両軍合わせて22トライの乱戦制した流経大。日大は序盤の勢い維持できず。

ラグビーレポート by 田村一博
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セコナイア・ブル(日本大学)

両チーム合わせて80分で22トライ。流経大78点、日大64点の乱打戦だった。

10月20日、太田市運動公園陸上競技場(群馬)で関東大学リーグ戦1部の流経大×日大がおこなわれた。
青空の下、冷たい風がときどき吹いた。好コンディションの中でトライの雨が降った。

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セコナイア・ブル(日本大学)

立ち上がりの時間帯は黒地にピンクのライン、日大が躍動した。主役は、強力ペネトレーターのLOセコナイア・ブルだ。
窪田幸一郎監督が「もっと暴れてほしい」と期待を寄せていた最上級生が、この日は積極的に前へ出た。

先制トライは前半7分。相手キックを日大がレシーブしたところから始まった。
左サイドで細かくパスをつないだことで、ディフェンスが的を絞れない。その状況で背番号5のブルが判断良く前へ出る。約40メートルを走り切った。

ブルは、11分過ぎにはディフェンダーを跳ね飛ばしてインゴールに入った。
日大が敵陣深くに攻め込んでいた時間帯。PKから速攻を仕掛け、パワフルに取り切った。

黒いジャージーは14分に1トライを返されるも、21分にはWTB佐川大樹が走り切ってさらにトライを追加した。

ラインアウトから攻め、少しずつ前進。一人ひとりが食い込んでいたから、最後はショートサイドでのハンズでつないだ攻撃が効く。そのチャンスに11番が走り切った。
SO宮崎悠馬がそこまで3つのコンバージョンキックをすべて決め、21-5。四宮勇斗主将が、「全員で勝ちに行く」と言っていたように、一体感が見られた。

しかし試合後、モスト・インプレッシブ・プレーヤーに選ばれたブルが「チームとして勝つことができなかった。残り3試合勝てるように、応援よろしくお願いします」と挨拶したように、日大はそこから失速、敗れることになる。
流経大のパワーと個人技、そして勢いに飲み込まれてしまった。

滅多にないトライショーと逆転劇。その立役者となったのが、流経大のFB中村楓馬だ。
挙げたトライはチームが奪った12トライのうちの2つも、多くのトライに絡んだ。逆転劇のトリガーとなった。

ラグビー 関東大学リーグ戦2024

【ハイライト動画】流通経済大学 vs. 日本大学

中村楓馬(流通経済大学)

前半14分の反撃の第一歩、WTB仲野優輝のトライも、中村のラストパスから生まれた。
下級生が多く出場している流経大。しかし、4年生の働きが芯にあってこそ、3年生以下がのびのびとプレーできていた。

プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたのは、SO佐々木開だったが、この司令塔も4年生。正確なプレースキックも光ったが、やはり、序盤の劣勢時にも慌てず、おちついて打開策の実行とゲームコントロールに徹したことが評価されたはずだ。

前出のFB中村は、先手を取られた序盤を、「堅くいこうとし過ぎて、自分たちの強みを出せていなかった」と反省した。
本来は、ダイナミックにボールを動かし、攻めるチーム。先に相手に走られたことでスイッチオン。前半終盤から、後半20分近くまでの間に9連続トライを奪った攻撃力は圧巻だった。

日大も後半20分過ぎから5連続トライを奪い、一時は40点差以上開いた点差を一気に縮める粘りを見せた。
途中出場、WTB後藤翔大の走りがチームにエナジーを与えた。結局は最後に再び引き離されて終わるも、連続トライを返して試合終了を迎えられたことは必ず次戦につながるはずだ。

大味な試合だったが、勝った流経大のシンクル蓮主将は、「ボールをキープできている時は自分たちのアタックを騙したが、後半に入ってディフェンスが崩れ、取って取られて、の展開となってしまった。ただ、勝手反省できるとポジティブに捉えて次戦の準備をしたい」と振り返った。

自分たちに攻撃力があることは、両チームとも分かっただろう。そして、ディフェンスに一貫性がないことも。
防御時の日大は前に出る圧力が弱く、前に出られた。食い込まれることで、外に攻められるスペースを何度も作った。修正は必至だ。

流経大はセットプレー、特にスクラムの整備が急務となる。
そのプラットホームの劣勢がディフェンスの乱れも呼んでいる。

シーズン深まる中で、戦いはどんどんタイトになる。攻撃時間を長くすることを防御に結びつけながらも、ボールを取り返す激しい守りが必要。
そこは、両チームに共通していた。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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