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関東大学リーグ戦8校の主将
9月7日(土)、関東大学ラグビー(対抗戦A、リーグ戦1部)が開幕するにあたり、2日(月)に東京・日本ラグビー協会で、キックオフミーティングが行われた。今季は16チームの指揮官だけでなく、キャプテンやリーダーも参加して実施された。
ラグビー 関東大学リーグ戦2024
前回の対抗戦に続いて、今回はリーグ戦の8チームを見ていきたい。昨年の順位は東海大学、流通経済大学、法政大学、大東文化大学、東洋大学、日本大学、立正大学、拓殖大学だった。今年は入替戦で8位の拓殖大学に替わり、関東学院大学が再昇格した。なお、今年も大学選手権出場枠は上位3校である。
昨年まで6連覇を達成している東海大学が、やはりリーグ戦を引っ張る存在となろう。スローガンは「BREAK THROUGH」を掲げた。常識を壊しながら新しいことにチャレンジしていく、個人として新しい壁をぶち壊しいまだ成し遂げていない壁(リーグ戦7連覇、大学選手権優勝)に向かって進んでいくという想いが込められた。
東海大学の木村季由GM兼監督は、「しっかりと関東リーグ戦を勝ち抜いて成長し、ここ何年か、正月を越えられていないので、さらなる上を目指したい」と意気込んでいる。監督が推す選手はエースWTB(ウィング)中川湧眞(4年)、そして1年のHO(フッカー)川村航平(茗渓学園)、SO(スタンドオフ)浦本明惟(松山聖陵)の2人だ。
東海大学の近藤主将
キャプテンにはFL(フランカー)汐月佑心、CTB(センター)近藤翔那(ともに4年)の2人が就いた。共同主将の汐月は「(昨年はやや不安定だった)セットプレーの強化を進めてきて、成果が出てきた」と言えば、CTB近藤は「強みはBK(バックス)の決定力。両WTBに良いランナーがいるので、良いボールを供給したい」と話した。
両主将が注目している選手は、それぞれLO(ロック)中山竜太郎(4年)、CTB北村光基(3年)の2人で、FW(フォワード)、BKの中軸。近藤主将は「セットプレーで勝負できるチームになってきたと思う。関東リーグ戦を通して、大学選手権で勝てるチームになっていきたい」と先を見据えた。
昨年2位だった流通経済大学。昨年に続いて池英基監督が指揮を執っている。どこからでもアタックする「ダイナミックラグビー」は不変であり、スローガンは「ALL IN」を掲げる。試合に勝つという目標にすべてを注力する。そのためには1人1人が何事にも「ALL IN」することが必要ということから選ばれた。
今年は4年生が多くないが、下級生が試合後ごとに力をつけてきており「リーグ戦を通して成長する姿を見せたい」。池監督が推す1年生は、HO土方倖矢、FL佐藤椋介(ともに流通経済大柏)の2人で、ともに思い切りプレーができるところが魅力だという。
キャプテンには接点、セットプレーでハードワークするLOシンクル蓮が就いた。「4年生が少なく若いチームだが、昨年の主力が抜けた分、ポジション争いが活発で刺激し合えている。スター選手が少ない分、チームが全員ハードワークしている」と話す。
シンクル キャプテンが推す選手は、チーム一番のスピードを誇るエースのFB(フルバック)中村楓馬(4年)だ。やはり、目標は打倒・東海大学、そしてリーグ戦優勝。ラグビーでも日常生活でも「常に全力を尽くしたい」と語気を強めた。
昨年、粘り強く戦って3位となり、6年ぶりに大学選手権に出場した法政大学。昨年に続いてOBの新宮孝行監督が指揮を執っている。創部100周年の節目を迎えており、スローガンは「超戦」と掲げた。すべてのことに置いて昨年以上を超えるという思いが込められた。
新宮監督は今年のチームに関して「昨年よりインパクトプレイヤーがいないので、一体感を持って1人1人が行うチーム」と話した。監督が注目する新戦力として、1年生のPR(プロップ)本山淳祥(佐賀工業)、HO花澤祐太(法政第二)、SO佐川一眞(専大松戸)、CTB渡辺圭祐(中部大学春日丘)の4人がおり、それぞれ先発に絡んで来そうだ。
キャプテンにはゲームコントローラーのSO/CTB金侑悟(4年)が就いた。金主将は「創部100周年という年にラグビーを行うことになり、当初はプレッシャーと不安が感じられた。しかし、現在では歴史的な節目にラグビーができることにチーム全員が感謝し、一丸となって目標に向かって切磋琢磨している」と話す。
法政大学といえばパスラグビーが伝統的に武器だが、今季は春からディフェンスにも注力してきたという。キャプテンが注目する選手はNO8(ナンバーエイト)宮下晃毅(3年)で、ボールキャリーの中心選手。100周年の法政大学が、昨年以上の成績を残すことができるか。
昨年4位だった大東文化大学。今年は3位以内に食い込み、大学選手権で戦いたいところだ。昨年に続いて、OBの酒井宏之監督が指揮を執っている。スローガンには、何ごとにも自ら情熱を持って行動し戦うという意味を込めた「Passion」を掲げた。
酒井監督は「昨年は『個』が強かったが、今年は『和』が強いチーム。4年生を中心に選手自身が主体性を持って行動するようになってきた」と手応えを口にした。注目の新戦力として、酒井監督はPR小田島采輝(國學院久我山)、NO8ノア・トファエオノ(ウェーバリーカレッジ/オーストラリア)、WTB大方維織(青森山田)の3人の名を挙げた。
キャプテンにはFL蓑洞功志(4年)が就いた。「今年の前半は、あとちょっとのところで勝ちきれなかった課題から『chotto』というスローガンを掲げてきた」と言い、後期から「Passion」に変えたという。
蓑洞主将は「チームの強みは1人1人のPassion、熱量だと考えています。FWのセットプレー、BKの展開力に注目してほしい」と話す。キャプテンの推し選手は同期のPRリサラ・フィナウ、LO佐々木柚樹、CTBハニテリ・ヴァイレアの3人だ。蓑洞主将を含めてチームの中軸である。
昨年は惜しくも最終戦で負けて5位となり、大学選手権を逃した東洋大学。引き続いてOBの福永昇三監督が指揮を執る。毎年独自のスローガンを掲げているが、今季は「ROOTS」と定めた。お互いのルーツを尊重し合い、自分のルーツを大切にし、ここがルーツになるために自分もチームに何を残せるかを哲学するという意味が込められている。
チームは様々なルーツを持つ選手がおり、スクラム、モールを武器とし、BKには決定力ある選手も揃う。福永監督は「昨年度の経験者もたくさん残り、新人もとても元気が良い。皆が励まし合いながら元気よく、活気のある競争を楽しんでいる」と目を細めた。今年こそしっかり3位以内に入りたい。
キャプテンにはPR笠巻晴太(4年)が就いた。スクラムの中心選手であり、誠実で人一倍の努力家であることが評価された。笠巻主将は今年のチームに関して「チーム全体として仲が良く、コミュニケーション量が多い」と感じており、今年はチーム力、組織力で勝負する。
キャプテンがオススメする選手は、BKからバックローに転向したFLステファン・ヴァハフォラウ(3年)だ。「普段の生活、練習中も凡事徹底ができている」と目を細めた。
2019年から3シーズン連続で大学選手権に出場した日本大学。一昨年は4位、昨年は何とか最終戦に勝利して6位だった。昨年に続きOBの窪田幸一郎監督が指揮を執る。スローガンは「ONE BIG」を掲げた。大きな1つの塊として、大きな目標に向かうという意味が込められている。
今年は特にスクラム、ディフェンスに注力しており、夏は天理合宿、菅平合宿を経て、窪田監督は「試合を通してチーム作りを行った。開幕に向けて雰囲気も良い状態になっている」と手応えを口にした。監督が期待する選手は、HO西岡昂、LOセコナイア・ブル、CTBジョアペ・ナコ(いずれも4年)だ。FWのセットプレーを中心とした力強いラグビーで、2021年以来の大学選手権出場を目指す。
キャプテンにはハードワークがウリのFL四宮勇斗(4年)が就いた。四宮主将は「オフシーズンから走り込み、ウェイトトレーニングを積極的にやりこんだ。ヘラクレスのようなフィジカル、フィットネスを見てもらいたい」と言葉に力を込めた。
キャプテンが推す選手はFL森天(3年)を挙げた。「チーム一番のハードラックラーで、誰よりも運動量がある。小柄な体格(身長166cm)からは想像できないダイナミックなプレーに注目」と話した。
昨年は2勝したものの、7位となり入替戦に回った立正大学。OBの奥村祥平氏がHC(ヘッドコーチ)を務めている。今年のスローガンは「ACTION・GO TOGETHER」を掲げた。自ら考え行動する主体性を育むことを大切にしていることと、チーム一丸となり目標達成(大学選手権出場)のために励んでいることからこのスローガンにしたという。
身長2mを超える留学生2人が加入し、FWは大型化。BKはキックを得意とした選手が多く、FWを前に出したいところだ。注目の新人はU20日本代表のNO8舛尾緑(東福岡)、LOオリバー・クルツ、LOテビタアフェアキ・バティヴェティの1年生3人を挙げた。若きFWがチームを牽引しそうだ。
立正大学のリーダーには、1年生から試合に出ているFL/LO八木祟太(4年)が務めている。春季大会はなかなか結果が出なかったが、八木は「菅平合宿で修正ができている。チーム全体のまとまりや雰囲気が良くなってきている。2mの留学生の大きさを活かしたセットプレーや接点がみどころ」と話した。期待している選手は監督同様に、「1年生ながらFW全体に良い影響を与えてくれている」というNO8舛尾の名を挙げた。
関東学院大学の共同主将、左が内川、右が由比藤
最後は昨年の入替戦で勝利し、1部に再昇格した関東学院大学だ。監督代行はOBの榎本淳平氏が務めている。スローガンは「轟(とどろき)」と掲げた。部員、地域の方々と共闘し、関東学院の名をもう一度、轟かせるという思いを込めたという。
監督代行が注目している選手は「ミニカートリオ」と呼んでいるSO浅場博登(朝明)、SO山川誠人(鹿児島実業)、WTB/FB星遥大(開志国際)の1年生3人だ。「サイズは小さいが、スピード、スキルが高く、気持ちも強い」と活躍に期待を寄せる。
今年の関東学院大学は共同キャプテン制で、FL内川朝陽とFL由比藤聖(ともに4年)の2人がキャプテンを務める。1部で戦うために特にフィットネスを強化してきて、夏合宿を経て、まとまりがでてきたという。
内川主将は「1部で戦い続けるために順位を上げて定着したい。少しでも上位に行って、大学選手権に出場したい」と言えば、由比藤主将は「関東学院が低迷していると言われているが、今年は良いメンバーが揃っているので、最終的に大学選手権に出場して早稲田大学と対戦したい」と意気込んでいる。
昨年は大学選手権出場争いが最後まで熾烈で、勝ち点差「3」以内に3チームが入り、最終戦までどこが3位となるかわからない戦いとなった。王者・東海大学を中心に展開されることは間違いないが、どのチームも3位以内に入るために開幕戦から勝ち点を積み上げていきたい。
◆ラグビー関東大学リーグ戦 開幕カード
・9月7日(土)12:30 東洋大学vs.大東文化大学 @神奈川・秋葉台
・9月8日(日)15:00 関東学院大学vs.東海大学 @神奈川・小田原
・9月8日(日)15:00 日本大学vs.法政大学 @東京・日本大G
・9月8日(日)15:00 流通経済大学vs.立正大学 @埼玉・立正大G
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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