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ラグビー コラム 2024年8月23日

パシフィックネーションズカップで「超速ラグビー」を10番としてコントロールする。ラグビー日本代表の司令塔・李承信

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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イングランド戦に先発した李承信

エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が再任し、新生エディー・ジャパンがスタート、ここまで5試合を戦った。そのうち3試合がテストマッチだったが、残念ながら3連敗してしまった。

ただ、イングランド代表戦、ジョージア代表戦で10番を背負い、イタリア代表でも後半から出場し、現段階で指揮官の信頼を最も得ている司令塔が、SO(スタンドオフ)李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)だろう。

8月25日日曜(日本時間26日)に行われる「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズ2024」(PNC)の初戦となるカナダ代表戦を前にした22日、SO李がオンラインで報道陣に対応した。

今回のカナダ遠征は新生エディー・ジャパン初の海外遠征。バンクーバーに着いた日も、その次の日も練習があり、3日目はさすがにオフだったという。李は「エディーさんもホテルにこもっているのではなく、どんどんチームメートと街に出たり、カナダの文化を経験して、絆を深めてほしいという話もあった。ラグビーだけでなく、チームではポジティブな雰囲気があるので楽しめている」と話した。

10番として「超速ラグビー」における役割について、SO李は「チームのアイデンティティー、軸にあるのは超速ラグビーという部分で、どんどんボールを動かしていくこと」。

「ただ80分、それをするには難しい場合もあるので、ゲームを最初の20分、間の40分、フィニッシュの20分に自分たちがやるべきことを明確にして、10番としてコントロールするところはコントロールする」。

「キックを使ったり、コンテストキックを使ったり、3点を狙うところは狙ったりという、80分通してのマネージングが大事になってくる。そこは自分がもっと成長しないといけない。そういった面では良い経験ができている」と話した。

ジェイミー・ジャパン時代との違いを聞かれると、「ジェイミーの方がシステムは結構、具体的というか隅々まで固められている感じがあった。自分はそれがやりにくいことも別になかったし、経験も浅かったので自分としてはプレーしやすかったし良い経験ができた」。

大西将太郎のラグビー語ルシス

【動画】パシフィックネーションズカップの見どころ

「コベルコ神戸スティーラーズも、今の超速ラグビーも、シェイプや形が決まっているが、どれだけ目の前の状況、ディフェンスの枚数だったり、どれだけスペースを見つけてアタックできるか、どれだけゲームに順応できるかを求められている」。

「10番としても、テンポが速い、きつい中でスペースを見つけてアタックを組み立てていくことは難しさも感じているが、これが自分のものにできれば、どんなラグビーにも順応できるし、ラグビー選手として大幅に成長できるチャンス」と前を向いた。

オンラインで会見に臨む李承信

また、6~7月の5試合を踏まえて、チームの現状について聞かれると、「夏のシリーズで出たターンオーバーの多さや、セットピースのところ、そういった課題を踏まえてカナダ代表戦はフィジカリティーや、ボールをどんどん動かすことをテーマに宮崎キャンプに臨んだ」。

「今日も練習に臨んだが、本当に良いラグビーができていると思う。自分たちからモメンタムを作ってボールを動かしていくところは、10番としても形を作れているし、アウトサイドBK(バックス)や、FW(フォワード)も、速くセットしてどんどんボール動かしている」。

「ただ、フィニッシュまで取り切れるか。今日の練習でも、ラストパスでミスをしたことがあった。夏のシリーズではゴール前で焦って、チームや組織ではなく、個人で取り急いでいる部分があった。カナダ代表戦ではボールを動かして、フィニッシュまで持って行くことがキーになると思う」と冷静に話した。

組織として動いて「超速ラグビー」を実現するために必要なことを聞くと、「どこにスペースがあって、速く考えてコミュニケーション取って、チームとして動くことは、常にコーチ陣が言っている」。

「その前提で速く判断するのは、10番の責任だと思うので、スペースやコミュニケーションを自分から発信して超速ラグビーをリードしていくのが一番大事。どれだけ速くつながって遂行できるかだと思う。ゲームの中で、今をこうすべきというプランをチームに伝えていければいい」。

リーダー陣で主に戦術の落とし込みを担当するリーダーグループは「ゲームドライバー」と呼ばれており、キャプテンを筆頭に、ゲームに絡むHO(フッカー)、LO(ロック)、SH(スクラムハーフ)、SO、FB(フルバック)の8~10人で構成されているという。

「週2~3回、ゲームドライバーというキーになるポジションの8~10人がスタッフとミーティングする時間が設けられている。ゲームまでの1週間の流れにも慣れてきているので良い方向に進んでいる」。

「時間外でもドライバーたちで集まってミーティングするし、ゲームの日も試合後も話し合っている。想定外のこと、カードが出た場合や天候の問題など、話して準備している。PNCでは本当に若いチームなので、自分たちが成長できるチャンスだと思う」。

PNCでは夏のシリーズでキャプテンを務めたFL(フランカー)リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)は不在で、BK最年長のCTB(センター)立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)がキャプテンを務めている。

立川のリーダーシップについて聞かれると、「一緒にプレーするとやりやすい。ハルさんは本当に発言の影響力、リーダーシップもあるが、練習で誰よりも身体を張ってくれて、一番ベテランだが誰よりも声を出して、練習でもゲームライクでチームのインテンシティーをリードしてくれるので頼もしいキャプテン」。

「オフフィールドでも、大学生とか来ていてもフレンドリーに接してくれていて、ハルさんの人柄だと思いますが、チームとしてワンチームになれるような雰囲気を作ってくれている。自分たち若手も伸び伸びできていて、チームとして頼れるリーダーだなと思う」と目を細めた。

PNCの後の10月末にオールブラックス戦が控えており、11月には欧州でフランス代表、イングランド代表といった強豪との対戦が控えている。

李は「今はPNCの結果だけに集中して頑張りたい」と話し、「個人として、ゲームのマネジメントもそうだし、チームとしてどれだけ勝利を自信につなげるかがその後のテストマッチにつながっていく。今はどれだけハードワークして頑張るかが、次のシーズンにつながっていく」とPNC、特に直前に控えたカナダ代表戦だけにフォーカスしている。

改めてPNCへの意気込みを聞かれると、「自分もそうだし、チームとして自信を失ってはいない。負けが続いている中で、ネガティブな雰囲気になってしまうこともあるが、自分たちでやろうとしているラグビーを全員、信じているし、勝てるという気持ちもある」。

「カナダ代表戦はアウェイなので、チャレンジ精神を持つことが大事になってくるし、PNCは必ず勝利して優勝しないといけない大会。若いチームなので、1つの勝利でグンとチームとして成長できる可能性があると思うし、カナダ戦はそのチャンスが絶対あるので、勝つことがマスト」と語気を強めた。

SO李承信が、先発か控えからの出場か現時点ではわからないが、積極的なランが武器の若き司令塔が新生エディー・ジャパンをテストマッチ初勝利に導く。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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