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NO8齊藤聖奈のトライ
ラグビーワールドカップ2025に出場を決めている『サクラフィフティーン』こと、女子15人制ラグビー日本代表(世界ランキング11位)は、『太陽生命 JAPAN RUGBY CHALLENGE SERIES 2024』で、アメリカ代表(9位)と2連戦を行い、8月17日(土)は静岡・エコパスタジアムで2戦目が行われた。
サクラフィフティーンは、5月に香港で行われた『女子アジアラグビーチャンピオンシップ』で優勝。今年の9月末から10月にかけて、南アフリカで開催される女子15人制の国際大会のディビジョン2に相当する『WXV2』と、2025年のワールドカップの出場権を獲得している。
先週11日(日)に、福岡・ミクニスタジアム北九州で行われた第1戦では、日本代表は過去2戦し、1度も勝てていない格上のアメリカ代表に、前半からディフェンスで相手の攻撃を止め続けて、17-17と引き分けた。
両チームのメンバー
日本代表は1試合目の先発から、FW(フォワード)2名、BK(バックス)1名を入れ替えた。第1列はHO(フッカー)が谷口琴美から公家明日香に、NO8(ナンバーエイト)は永井彩乃に替わり、43キャップのベテランの齊藤聖奈が入った。
BKはCTB(センター)が、オーストラリアでのプレー経験もある古田真菜が、13番から12番に上がり、畑田桜子に替わり弘津悠が13番に入った。
一方、日本代表同様に来年のワールドカップ出場を決めており、1部相当の「WXV1」にも出場する「イーグルス」こと、アメリカ代表は両PR(プロップ)を変更し、先週初キャップとなった18歳のサライア・イバラをFB(フルバック)で初先発させるなど、FW2名、BK4名と大きく先発を入れ替えてきた。
何としてもホームで、イーグルスから初勝利を挙げたいサクラフィフティーンの第2テストマッチは、まだ夏の暑さの残る中、1958人の観客に見守られ、午後6:00にキックオフされた。
太陽生命 JAPAN RUGBY CHALLENGE SERIES 2024
【【ハイライト動画】女子日本代表テストマッチ:サクラフィフティーン vs. アメリカ|格上のアメリカ代表と熱戦を繰り広げる
キックでゲームをコントールした大塚
試合開始早々、キックがチャージされて日本代表は攻め込まれてしまう。前半6分、アメリカ代表はHOキャサリン・トレダーがモールから先制のトライを挙げたかと思われたが、TMO(テレビマッチオフィシャル)でスローフォワードの判定となりノートライ。それでも、その直後、やはりHOトレダーがモールから今度はしっかりとグラウンディングして5点を先制した。
しかし、その後、サクラフィフティーンは1戦同様の粘り強いタックル、そして2戦目に向けて、SH(スクラムハーフ)津久井萌、SO(スタンドオフ)大塚朱紗を中心にBKで準備してきたというキックにより、ゲームコントロールで相手陣で戦い続けた。
その後、相手陣22mでの試合が続いたが、なかなか得点を挙げることができなかった日本代表だが29分、15フェーズ以上を重ねてゴールラインまで迫り、最後は、NO8齊藤がピックからトライを挙げて、サクラフィフティーンが5-5の同点に追いつく。
さらに日本代表は相手のオフサイドからペナルティを獲得し、37分、SO大塚がPG(ペナルティゴール)を決め、サクラフィフティーンが、8?5とリードして前半を折り返した。
粘り強いディフェンスを見せたサクラフィフティーン
後半に入り6分、アメリカ代表はSOマッケンジー・ホーキンズのPGで、8-8の同点に追いつく。その後は、日本代表にペナルティが増えると、アメリカ代表にゴール前に攻め込まれる時間が続くが、今夜も日本代表は粘り強くディフェンスし、得点を与えない。
25分に、アメリカ代表のFW陣に押し込まれたように見えたが、再びTMOの末、グラウンディングできていないという判定でノートライ。一方、サクラフィフティーンも2年ぶりの復帰となったFL(フランカー)細川恭子、SO山本実らフレッシュレッグスがラインブレイクをするが、なかなか得点を挙げることができない。
すると37分、キックチャージからピンチを迎えると、ペナルティをしてしまい、SOホーキンズがPGをきっちりと沈め、アメリカ代表が3点の勝ち越しに成功する。
試合終了間際、サクラフィフティーンは相手の反則からPGを狙わず、タッチに蹴って逆転を狙った。BKの選手も加わったラインアウトモールを試みたものの、オフサイドの判定となり、試合はそのまま8-11でノーサイド。
花火を見上げる両チームの選手たち
サクラフィフティーンはアメリカ代表からの初勝利はならなかった。試合後、1戦目同様に真夏の夜に花火が打ち上げられ、両チームによる記念撮影が行われた。
惜しくも勝利できなかった日本代表のレズリー・マッケンジーHC(ヘッドコーチ)は「選手たちは、大きなテストマッチを経験できた。もちろん、勝つことが理想だが、ディフェンス面では期待通りの働きを見せてくれた」。
「適切なエリアでプレーしようという点では、先週に比べてプレー内容は改善されている。強豪チームと対戦する『WXV2』を前にして、このような試合、本当に難しい接戦、そして悔しい結果は私たちにとって本当にいい機会となった」と振り返った。
会見を行う長田主将(左)とマッケンジーHC
FL長田いろはキャプテンは「自分たちの規律の乱れから相手に勢いを与えてしまって、そこからの失点もあったが、1試合目と比べてテリトリーはよくコントロールできていたと思う。後半は攻めあぐねた部分だったり、トライを取りきれないところがあったので、そこを修正していきたい」と前を向いた。
1勝1分でシリーズを終えたアメリカ代表のシオネ・フコフカHCは「両チームとも最後まであきらめずに戦えたと思うし、サクラフィフティーンに敬意を表します。私たちはもっとスマートにラグビーをすることを望んでいた。それでも選手たちの素晴らしいディフェンスがあり、最後のターンオーバーに成功した」と自軍の選手を称えた。
アメリカ代表の会見
キャプテンのWTBテス・フュリーは「前半は35分間、ディフェンスをしていた。私たちはフィジカルの強さを発揮し、日本は攻撃力を発揮した素晴らしい対戦だったと思う」。
「ハーフタイムにはもっとボールがほしいし、もっと相手の陣地でプレーしなければいけないと言った。後半、私たちが望んでいたようなプレーはできなかったが、私たちの努力は素晴らしかったと思う。本当にやり遂げた」と安堵の表情を見せた。
両チーム揃っての記念写真
この2戦を振り返り、マッケンジーHCは「ディフェンスに大きな自信を持った」と胸を張ったように、特に守備面でサクラフィフティーンは大きな成長を見せた。しかし、2戦目の前半、2度のPGのチャンスを狙わなかったりと、決定機で得点を挙げられなかった課題も残した。
日本代表は、9月14日にイタリアのピアチェンツァでイタリア女子代表とテストマッチを行った後、南アフリカで開催されるWXV2に参加する。27日にホストチームの南アフリカ代表、10月5日にスコットランド代表、11日にウェールズ代表と激突する。
パリ五輪のサクラセブンズの戦いに大いに刺激を受けたというサクラフィフティーンの選手たち。ワールドカップ2025まで残り11ヶ月、進化を止めずに成長を続けていく。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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