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FWの強さは世界トップクラス。そんなジョージア代表とのぶつかり合いは迫力があった。
後半中盤、日本代表はトライライン前での肉弾戦で一歩も引かず、最終的にWTB長田智希のトライに結びつけた(後半24分)。
この日、仙台の夜がもっとも熱くなった瞬間だった。
7月13日、宮城・ユアテックスタジアム仙台でおこなわれた『リポビタンD チャレンジ2024』、日本代表×ジョージア代表は、好ゲームとなった。
赤×白のジャージーは23-25と破れた。しかし、悔しさとともに多くの学びがあった。
いまの日本代表の強みは、試合開始直後からトップスピードで超速ラグビーを遂行できることだ。
イングランド代表もマオリ・オールブラックスも、その時間帯を制した。そして、先制パンチはこの日も繰り出された。
キックオフ後から全開の日本代表は、すぐに先制点を奪った。WTBジョネ・ナイカブラがインゴールに入ったのは前半3分だった。
高速ラックからフェーズを重ねて前へ出た。最後はSH齋藤直人が絶妙のタイミングでパスを出し、背番号14が防御を突き破った。
いつものように軽快な滑り出しを見せた日本代表だったが、その勢いがなかなか続かないのも、なかなか修正できない点だ。
この日も、次のトライは後半24分まで待たねばならなかった。
ジョージアのFWは評判通り、重くて強かった。日本代表は序盤、スクラムこそ相手に本来の力を出させなかったものの、ピック・ゴーで押し込まれ、モールに苦しんだ。
お互いにPGを重ね合う展開は、自分たちが勝つプランにはない。もっと効率よく振り回したかった。
前半は13-18とリードを許した。失ったトライは、20分にモールを押し切られたもの。28分のものは、中盤でビッグゲインを許し、最後はジョージアのFW、BK一体となった波状攻撃に耐え切れず、最後はSHミヘイル・アラニアに飛び込まれた。
何より痛かったのは20分のトライ前、FL下川甲嗣がブレイクダウンでファウルプレー、イエローカードを提示され、最終的にはそれがレッドカードになったことだ。
リポビタンDチャレンジカップ2024 ラグビー日本代表テストマッチ
【ハイライト動画】日本 vs. ジョージア(7/13)
日本代表は60分間を数的不利な状況で戦わなければいけなくなった。
後半になっても、日本代表はよく戦った。
ただでさえ重い相手に何度でもタックルし、走り続ける。それが後半24分には一時逆転する展開に結びついた。
逆転までの数分間には、日本ラグビーの良さが凝縮されていた。
長田のトライは、あの手この手で何度でも相手の分厚い防御に体を当て、視界を狭くさせたところで大きく左に展開して奪った。
ジョージアの選手たちはインゴールでヘトヘトになっていた。
しかし、ここからの時間帯が日本代表にとっては試練となった。
ジョージアは自分たちの強みだけを使って戦う。スクラム、モールでパワー全開。超速アタックを最後まで貫きたい集団の体力を奪っていった。
逆転を許したのは後半34分。LOサナイラ・ワクァがイエローカードを受け、13人になった後だった。
ゴールラインに迫っていたジョージアがパワープレーでトライを取り切り、コンバージョンキックで勝ち越し。ワールドランキング14位が12位のチームに競り勝った。
ジョーンズHCは、選手たちが自分たちのスタイルを貫こうとする姿勢には「感銘を受けた」としながら、結果については「がっかりしました」と話した。
退場者、一時退場者が相次いだことについては「力不足」。圧力に耐え切れなかったと評した。
しかし、こういう試合と経験を積み重ねて成長するものとも言った。
実際、PR竹内柊平はジョージアと組み合って、「一度下がり、足の位置を固めてから、もう一度ぐわっと前に出てくる。初めての経験でした」と話し、スクラムの世界の深さ、世界のスクラムの重さを知った。間違いなく成長の糧となる。
リーチ マイケル主将は、「自分たちの強み、弱みがはっきりした。次のイタリア戦には、それを修正して勝ちたい」と話した。
絶対に試合ごとに進化し続ける。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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