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ラグビー コラム 2024年6月20日

東芝ブレイブルーパス東京、リーグワン優勝のシーズンを総括

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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東芝ブレイブルーパス東京の荒岡義和社長(左)、薫田真広GM

6月18日(火)、リーグワン・ディビジョン1の東芝ブレイブルーパス東京が定例会見を開いた。14シーズンぶりに王者に輝いたため、優勝トロフィーと盾が横に置かれての実施となった。

登壇者は東芝ブレイブルーパス東京株式会社の荒岡義和社長、GM(ゼネラルマネージャー)としても日本一に輝いた薫田真広氏、オンラインでニュージーランドから参加したトッド・ブラックアダーHC(ヘッドコーチ)の3人だった。

「優勝したのが一番のトピック。うれしかったが安堵もした」という荒岡監督は事業運営会社の売上高は、「5億円は突破したいと話していたが、1年遅れて達成できた」と話した通り、前年度比153%となり6億2400万円と5億を超えた。

荒岡社長(東芝ブレイブルーパス東京)

スポンサー(母体企業除く)、チケット収入、グッズ、ファンクラブ、アカデミーと軒並み、前年度比を超えた。スポンサーも来季に向けて検討している会社も複数あるという。

ホストの1試合平均の入場者数は1万45人(前年比168%)となり、有料入場者数は、全体は70%を超えた。開幕近辺の試合はホストエリアの子どもたちを多く招待していたが、シーズン後半の有料入場者数は9割ほどだったという。

今季の事業売上高

なお、グッズ売り上げは3倍、ファンクラブは2倍ほどの伸びとなり、応援タオルで一番の売り上げたのは、キャプテンFL(フランカー)リーチ マイケルを抑えてSO(スタンドオフ)リッチー・モウンガとなった。

荒岡社長は「コロナ禍が落ち着いてきて、今季は自分たちの立ち位置を掴めたと思う。今季をベースに今季以上の集客をリーグワン全体として、みんなで力を合わせてやっていきたい。地道にやっていくしかないが、優勝した効果を活かして、どこまで伸ばしていくか」と来季を見据えた。

トッド・ブラックアダーHC

ニュージーランドからオンラインで参加したトッド・ブラックアダーHCは、リーグワンの決勝は、現地でも放送されていたということで、地元のラジオに何度か出演したという。

優勝し胴上げされるリーチ マイケル

「リーグワンのカンファレンス分けは、よりタフなカンファレンスに入ったと思ったが、毎週、高いパフォーマンスを出し続けることができ、最終的に優勝できた。かなりメンバーを入れ替えて(41人を起用したという)、ローテンションしながら、最後のブロックは選手たち自身がオーナーシップを持ってやっていた」。

「プレーオフでは自分たちのやってきたことを信じて、勝てるという機運があった。SOモウンガ、FL(シャノン・)フリゼルというビッグネームに勢いをもらったが、チームとしての守り方が確立できたことが大きかった」と振り返った。

連覇のかかる来季に向けて指揮官は「うちのチームは若い選手が多いが、若手育成も今後もやっていきたい。ラグビーの面では、セットピースが機能した。来季に向けて、ラインアウト、アタック、ディフェンス、スクラムも基盤としてやっていきたい」。

「必ずやらないといけないのは、マインドセット。チームの中で今季優勝したので、また勝てると先を見すぎてしまわないようにしたい。ハードワークなしに達成できるものはないとしたい」と話した。

なお、HCによるとシーズン終了後、チーム内では4人を表彰したという。『K9』と呼ばれるメンバー外のMVPはSO中尾隼太(来季から三重へ移籍)、『α』(ベンチメンバー)のMVPがWTB(ウイング)森勇登、毎試合決めている選手間投票のMVPで最も多く選ばれたのがSOモウンガ、そして選手の投票による年間MVPはFLフリゼルだった。

選手、監督、そして今回GMとして優勝した薫田氏

チームにGMとして戻ってきて3シーズン目の薫田GMは「2025年7月に東芝が150周年ということで、前倒しで優勝し、我々の存在意義をしっかり示せた。チームとしてクラブとして、オーナー、スポンサーなどに向けてリターンをどう示していくか重要なシーズンだった」。

「トッド(・ブラックアダー)やコーチ陣が種をまいた選手がともに成長してチームを作っていくことができた。また、チームの軸が大事で、それに対して結果を残すことができて、価値のある優勝だった」と振り返った。

そして、薫田GMはラグビー面ではデータを使って優勝できた要因を説明しつつ、「『猛勇狼士』という言葉を作って、やっと今季、証明できた。レビューをして、来季に向けて進化、変化を示していきたい」と話した。

今季、フォーカスした5つのポイントは、トレーニングのフォーカスポイント、攻撃が単調だったため、相手の速いディフェンスラインへの対応、ディフェンスのストラクチャーの変更、セットピースの安定、ペナルティの減少だったという。

アタック面ではゲインラインの突破数は、1フェーズ目はあまり変化なかったが、2フェーズ目、3フェーズ目がそれぞれ20%、15%アップした。SOモウンガの影響よりも、周りの選手がしっかりとポジショニングした成果が大きかったという。

ブレイブルーパスを優勝に導いたSOモウンガ

SOモウンガに対しての評価は「ゲームを落ち着かせること、そしてアタック時、劣勢、混沌としたときに彼の個人技で打破する。それが圧倒的に彼の強み、良さだった」。

「また、勝負勘、ゴール前のトライセーブのタックルなど、すべてに対する危機管理能力が高かったというのがコーチ陣の評価。彼がチームに合わせながら、強みを100%、プレイヤーとしてプレーしてくれたことが大きかった」と称えた。

改めて現役のオールブラックスである、SOモウンガ、FLフリゼルの2人をリクルートした要因を薫田GMは、「今季、来季が勝負のシーズンで、東芝が本気だぞということを示したかった」。

「4チーム競合となったがトッドが、リッチー(・モウンガ)をよく知っていて、彼がチームのカルチャーを知ってくれた。また日本の安心、安全をプレゼンしたことが受け入れられた」と話した。

ペナルティの多さは修正できなかったが、ターンオーバーの数が1試合あたり6.1回(昨季は5.3回)とディフェンスの成長を感じる数字となり、優勝できた大きな要因となったという」。

「ターンオーバーを起こした要因として、ドミナントタックルの上位5人のうち上位4人がブレイブルーパスの選手(FLフリゼル、リーチ、佐々木剛、LOジェイコブ・ピアース)だったとのこと。

「ターンオーバーの数が多くなったのが、ディフェンスの成長だと思う。ディフェンスコーチが新しくなり、ストラクチャー、個人のタックルスキルが上がったことで、ピンチになっても失トライが少なく、粘りがあった。ラインアウトスチールも2季連続トップで、モールから(直接そのまま押されて)1本も取られなかったようにモールディフェンスも良かった」。

また、シーズン後半からプレーオフにかけて、セットプレーも安定してきたことが大きく、特に決勝戦ではスクラム、ラインアウトともに成功率は90%に近かったという(一方の埼玉パナソニックワイルドナイツはともに70%代だった)。

優勝して笑顔を見せる荒岡社長(左)と薫田GM

決勝に出場した若手から中堅の選手も多く、コーチ陣も変わらず、SOモウンガ、FLフリゼルといった有力外国人は来季もチームでプレーする。来季、事業面、ラグビー面、強化面で進化を示しつつ、ブレイブルーパスは新たな牙を磨きつつ連覇にチャレンジする。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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