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明大は過去4戦に2勝1敗1引き分けの勝ち点12。東海大は2勝2敗、勝ち点9の成績だ。
春シーズンに積み上げてきたものを出す80分。ともに、ここまでに出た課題を修正して戦いたい。
明大は6月2日(日)に早大と戦い、スクラムで劣勢に回るなど、前に出る圧力を受けて26-36と力負けを喫した。
プライドを持つ領域で後手に回ってしまった。
翌週の帝京大戦でも課題は課題のまま残ったものの、粘り強く守り、BKが決定力を発揮して前半だけで3トライを奪った。
昨季大学王者相手に引き分けたのは、地力があるからだ。
2週続けてライバルに敗れていたら、いくら春とはいえ、その後の歩みに影響が出たかもしれなかった。
才能ある数人の選手たちがU20日本代表候補への選出でチームを離れていたとはいえ、早大戦の内容が内容だっただけに、ショックを早く払拭できたのはよかった。
CTB秋濱悠太副将やWTB萩井耀司らの好パフォーマンスが仲間を鼓舞した帝京大戦を終えて神鳥裕之監督は、早大戦から修正できた点について、「接点の強さと粘り強さ」として続けた。
そして前半のリードを守り切れなかったけれど、負けなかったことを評価し、勝ち越しを許さなかったラストシーンについて、「最後の最後、ゴール前のディフェンスでヘルドアップにさせてトライを取り切らせなかった粘り強さは秋に向けた収獲」と評価した。
東海大戦では、NO8木戸大士郎主将が欠場し、FL福田大晟がゲームキャプテンを務める。
U20代表候補合宿から戻ったSO伊藤龍之介がベンチに控えるのも頼もしい。世界と戦って広がった視野でチームを動かす。
明大に勝って春季交流大会を終えたい東海大も、スクラムに安定感に求めたい状況にある。
7-34と完敗した帝京大戦は、スクラムで押し込まれてBKを活かせなかった。結果、相手ディフェンスが前に出やすい状況も作ってしまった。
続く法大戦、流経大戦も、攻撃のプラットホームを安定させるまではいかなかった。
木村季由監督は、春シーズンのチーム作りに関し、「これまで自分たちの強みとしてこだわってきた部分、フィジカルの部分をあらためて強化することに時間をかけました」と話す。
土台を大きくすることに注力した分、戦術やユニットの熟成には時間がかかる。
試合経験の少ない選手も多くいる。学年を重ねるごとに経験も増え、選手個々とチームが力を伸ばすのも東海大のカラーだ。腰を据えて強化を続けている。
同監督は、明大戦のテーマを「それぞれの自己ベストで戦うこと」と話す。
「対抗戦のチームを超えないことには、(秋、冬のシーズンに)目指すところには到達できないと思っています。なので、いま自分たちが持っているものをすべて出して戦うことをターゲットにします」
自分たちの現在地と、頂点までの距離を知りたい。
「自分たちが上(大学上位)に行くには、ディフェンスが強くなければならない」
指揮官は、いかに全員で体を張り続けられるかを見たい。各ポジションの競争が、チーム力を引き上げることも期待する。
大黒柱だった武藤ゆらぎ(現・横浜キヤノンイーグルス)が抜けたSOのボジション争いでは、明大戦も含め5戦すべてに10番を背負う奥田泰進が一歩リードか。
その背番号を狙う者は多い。結果を出し続けたい。
WTB中川湧眞の決定力に期待が集まる。
今季の春季交流大会の4試合中、流通経済大戦を除く3試合でトライを挙げ、早大戦2トライ、帝京大戦1トライ、法大戦4トライと、キレのあるステップでディフェンダーを翻弄した。
その好ランナーのさらなる成長を、木村監督も待っている。
「これまでは人に使ってもらうことが多かった。もっと自分から動いていくことを期待しています」
この好ランナーが力を出せるシチュエーションを作れたなら、勝利への道も拓く。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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