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ラグビー コラム 2024年6月11日

ラグビー日本代表、イングランド戦に向けて急ピッチで準備を進める宮崎合宿

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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公開されたラグビー日本代表の練習

6月6日(木)から宮崎入りしていたラグビー日本代表。10日(月)には、新生エディー・ジャパンとしては初となる、報道陣に練習を公開した。当初は午前、午後の練習予定だったが、11:15からの1回だけとなったが、アタック&ディフェンスを含む、2時間半ほどの練習全てが公開された。

5月30日に発表されていたリポビタンDチャレンジカップ イングランド代表戦に向けた日本代表は、FW(フォワード)が21名、BK(バックス)が14名の計35名だったが、その後に3名追加されて38名となっていた。

バックアップメンバーからの追加選手は、CTB(センター)ニコラス・マクカラン(東芝ブレイブルーパス東京)、LO(ロック)桑野詠真(静岡ブルーレヴズ)、LO小瀧尚弘(コベルコ神戸スティーラーズ)の3人。

しかし、10日付でコンディション不良やケガのため、FL(フランカー)ベン・ガンター(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、CTB尾崎泰雅(東京サントリーサンゴリアス)の2人が合宿から離脱した。

また、フランスのボルドーでプレーしているNO8(ナンバーエイト)テビタ・タタフは、まだシーズン中のため、WTB(ウィング)ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)も事情により合流していない。

練習生のFB矢崎由高にアドバイスを送るFB山沢 拓也

コンディション不良のために、SO(スタンドオフ)松田力也(元埼玉ワイルドナイツ)は練習を回避。また、トレーニングメンバーの大学生3人のうち、FB(フルバック)矢崎由高(早稲田大学2年)のみがフル参加。結局、34名(FW:21名、BK:13名)が元気に練習に参加した。

6月7日から、「ロケットスタート」と呼ばれる朝6時からの練習も継続しており、この日も早朝からレスリングとフィジカルトレーニングが行われた。

そして、11:15からの練習は全員でスキル練習、FWとBKと別れてFWはラインアウト、BKは動き連携などの確認などをした後、15人対15人に分かれてアタックディフェンスが1時間ほど行い、最後はスクラム練習やキックのスキル練習行って終了となった。

熱心に指導するエディー・ジョーンズHC

本格的に日本代表選手たちを指導することになったエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は「重要な局面において、日本代表のHCになることは、非常に名誉なこと。ご存知のように、今、日本のラグビーはちょっとした転換期を迎えている」。

「いい時期もあったが、今のところ、チームは下り坂。だから、それを変える必要がある。私たちは、これまでとは違うプレースタイルでそれを実現したい。そのような機会を与えてもらいとても光栄で、日本代表の次世代を担う選手の育成には大きな責任がある。でも、この仕事をするのが楽しい」と意気込んだ。

2015年以来、久しぶりに宮崎での日本代表合宿を行っていることについては「昨日は大雨だったので、以前はホテルの反対側の駐車場でウェイトトレーニングをしていたことを思い出したね。(当時は)毎回、ホテルから100枚ほどタオルを借りて、濡れないようにしなければならなかった」。

「今、私たちは(屋内練習場やウェイトルームのある)一流の施設を手に入れた。ラグビーのトレーニング施設としては、世界でもトップクラス。だから、ここでの時間を最大限に生かしたい」と懐かしそうに話した。

最年長のリーチ マイケル

また、最年長の35歳で5度目のワールドカップ出場を狙うFL/LOリーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)は「10数年、宮崎に来ている。ここに来れば強くなるのがわかっている。さらに新しい施設ができて、集中して強くなれると思う」。

「2015年の時と違って楽しい。2015年は地獄だった(笑)。選手1人ひとりの質が高いので、(ジョーンズHCは)あまり多くのきつい練習を、たくさんやる必要ない。スキルも理解度も高くて、よりプロフェッショナルな選手が多くて、すごくやりやすいと思っているのでは」と話した。

ラインアウトを指導するマッドフィールド コーチ

また、元南アフリカ代表LOのヴィクター・マットフィールドと、元オールブラックスのPR(プロップ)のオーウェン・フランクスの2人も、それぞれ得意分野であるラインアウトとスクラムを指導していた。

ジョーンズHCは、「彼らは特にセットプレーに関する最新の知識を持っているので、本当に素晴らしい。フロントローは、ここに来てから基本的にオーウェンと行動をともにしている」。

「LOの選手たちはたくさんビクターから学んでいる。FWの選手たちにとっては、かなり特別なコーチング。彼らはワールドカップで合わせて3回優勝しているし、スーパーラグビーも、8~9回優勝しているかもしれない。彼らは優勝経験者だから、選手たちにそういう勝利への習慣をもたらしてくれる」と語った。

この日は2チームに分かれてアタック&ディフェンスをみっちり練習

また、合宿始まってから数日は、「超速」ラグビーの落とし込みの時間にあてており、この日は試合さながらの激しい練習をしたことに関して指揮官は、「今日、初めてフィジカル面や疲労、プレッシャーの中でプレーしたが、選手たちは本当に素早く学んでいる」。

「選手たちは本当に習得が早くて、恐らく私が指導した日本人選手たちよりも適応が早いと思うので、そこはうれしい。もっと良くなりたいという彼らの気持ちは、まさに一流だと思う。それに、若い選手とシニアの選手がうまくミックスされていて、矢崎は今日が初めてのトレーニングだったが、若いのによく頑張ったと思う」と振り返った。

最年少の参加となったPR森山飛翔(帝京大2年)

6月22日のイングランド代表戦まであと10日あまり。ジョーンズHCは「イングランド代表とのテストマッチでは、ボールの奪い合い、セットプレーの攻防、空中戦、そしてテリトリー争いといったものが待ち受けている」。

「だから、そういう部分でチームをオーガナイズし、ボールを奪ったら、今、まさに我々が取り組んでいるようなアタックを実行できるようにしなければならない。やることはたくさんある。ほとんどのチームが10週間かけてやるプレシーズンの準備を、私たちは10日間でやろうとしているから」と話した。

練習ではLOに入ってスクラムを組んでいたリーチは「超速ラグビーをやるには、身体をシャープにして、考えも速くしないといけない。理解して、イングランド代表戦に向けて勝つ準備をする。(新生エディー・ジャパン)初のテストマッチで言い訳がたくさんできると思うが、言い訳しないでたくさん準備して勝ちにいく」と静かに闘志を燃やした。

HO坂手淳史(中央)

FW第1列で唯一のワールドカップ経験者のHO(フッカー)坂手淳史は「時間はないとは思うが、今与えられたものを100%やることが大事。良い意志を持って目的を理解した上で、10日間を有意義に過ごしたい。本当に勝つというところを意識しているし、そこまで持っていける自信はある」と意気込んだ。

代表初参加のHO原田衛

また、初の代表合宿となったHO原田衛は「きつい。ただ、ワールドカップよりも次のイングランド戦に出て勝つことが目標なので、出られるようにがんばる。日本は身体があまり大きくないので、相手より速くセットして、速く考えて、速く集団的に動けばチャンスが出てくると思う」と語気を強めた。

いよいよ始まった新生エディー・ジャパン。ジョーンズHCが「合宿が順調に進んでいることには本当にうれしいが、決して満足はしていない。私たちはいつも、毎日少しずつ良くなりたい」と話したように、イングランド代表戦まで急速に強化を進めていく。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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