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ラグビー コラム 2024年5月29日

ラグビー日本代表入りを目指す選手たちの戦い。トレーニングスコッド合宿最終日レポート

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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合宿終了後に記念撮影

6月22日(土)のイングランド代表戦に向けて、5月20日から29日まで、男子15人制日本代表のトレーニングスコッド合宿が長野・菅平高原で行われた。最終日の29日(水)の午前中、最後の練習が報道陣に公開された。

リーグワン ディビジョン1のプレーオフ進出4チームや、入替戦に進んだチームからは選手は招集されず、リーグワンの5チームからと、大学生9名の計34名が参加していた。

途中参加ながらいいプレーを見せていたWTB根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)

なお、コンディション不良で合宿開始時は参加していなかったSO(スタンドオフ)李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)は3日目には合流。25日にはWTB(ウィング)根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が途中招集された。

最終日は白と赤の2チームに別れて、試合形式の練習が12分ハーフで行われた。FL(フランカー)サウマキ アマナキ(コベルコ神戸スティーラーズ)と、LOシオネ・ブナ(静岡ブルーレブズ)はコンディション不良で別メニューだった。

選手たちが選んだというゲームキャプテンは、白はHO(フッカー)松岡賢太(コベルコ神戸スティーラーズ)、赤はSH(スクラムハーフ)藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が務めた。

ボールを転がし、プレーを継続させるエディ・ジョーンズHC

スクラムやペナルティキック、コンバージョンキックはなく、ラインアウトは少しだけ行われた。時折、エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が「ターンオーバー」と叫び、ボールを転がしてゲームが止まることなく、朝の8時半から24分間、選手たちは走り続けるタフな練習となった。

赤チームがWTB(ウィング)ヴィリアメ・ツイドラキ(トヨタヴェルブリッツ)の2トライで先制したが、白チームもHO松岡がトライを挙げて、10-5でハーフタイムを迎えた。

ハットトリックを達成したWTBツイドラキ(トヨタヴェルブリッツ)

後半、赤チームのWTBツイドラキが3本目のトライを挙げて、15-5としたが、この阿智、白チームが巻き返した。リーグワントライ王のWTBマロ・ツイタマ(静岡ブルーレヴズ)、SO石田一貴(三菱重工相模原ダイナボアーズ)、SH土永旭(京都産業大学4年)がトライを挙げ、20-15で逆転に成功。

PR為房慶次朗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)は惜しくもノックオン

赤チームはラストプレーで、PR(プロップ)為房慶次朗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)がインゴールにボールを持ち込んだが、惜しくもノックオン。そのままノーサイドを迎えて、白チームが20-15で逆転勝利を収めた。

合宿最終日に試合形式の練習を実施したジョーンズHCは、その意図を「10日間の成果を総合したもの。試合内容にはとても満足している。後半はかなり疲れていたが、どういうアタックをするのか、というアイディアが浸透してきた。いいスタートが切れた」と説明した。

リーグワンの選手と遜色ないプレーを見せた慶應義塾大学1年のFB小野澤

試合形式の練習で印象に残った選手として、白チームのFB(フルバック)小野澤謙真(慶應義塾大学1年)の名を挙げた。「たくさんいるので、なかなか挙げられない。強いて挙げるとすれば、今日フィールドに出た選手で一番若いFB小野澤」。

「結構、苦戦していたようにも見えたが、その結果、新しい学びがあったのではないか。まだ、大学で数試合しかプレーしていないが、今日の試合ですごく目立っていたし、こういう姿を見られてうれしく思う」。

合宿全体の収穫について聞かれて指揮官は、「まず、アタックシステムを整えたいと考えていた。そして、ディフェンスのシステム、ブレイクダウンのポリシーもそう。もちろん、選手の評価もして、次のステップに進める選手、そうでない選手の見極めもした。全体的にはすごくポジティブで、システムの導入も、選手の評価もできた」と話した。

合宿3日目から参加したSO李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)

FLサウマキとともに、2023年ワールドカップメンバーだったSO李は「僕は途中からだったが、10日間合宿してきて、特別なルールで、タフな試合だった。この期間やってきた『超速ラグビー』のディテールを、個人としてもチームとしても体現できていたので、いい合宿の振り返りになった」。

「ジェイミー(・ジョセフHC)のときと比べて、ジャパンが目指す速いラグビーという土台は変わらないが、シェイプやアタックの仕方が少しずつ変わってきていて、10番としてはどれだけはやいコミュニケーションを取って、ボールを動かし続けられるか」。

「モメンタム、勢いをどう生み出して、継続してアタックし続けられるかが求められている。その中で、ボールタッチの回数が増えてくると思うし、個人としてもボールタッチも、ランニングするのも好きなので、合宿しながら自分に合っているなと思った」と振り返った。

10年ぶりにエディージャパン合宿参加のLO小瀧尚弘(コベルコ神戸スティーラーズ)

大学生以来、10年ぶりのエディー・ジェパンへの参加となったLO小瀧尚弘(コベルコ神戸スティーラーズ)は「(試合形式の練習は)めちゃくちゃきつかった。でも、9日間やってきたことが随所に現れた、いい試合だったと思う」。

「きついな…、とブルーな気持ちもあったが、振り返ってみれば、本当に来て良かった。この合宿に参加して、エディーさんが言うように、身体の限界はないんだと実感した。今季、試合にあまり出ておらず、自信を失ったシーズンだったが、まだ行けると確認できた合宿だった。ワールドカップは夢の話だったが、目標の1つになった!」と笑顔を見せた。

トライを挙げるSO石田一貴(三菱重工相模原ダイナボアーズ)

ダイナボアーズから唯一の参加だったSO石田は「僕自身、初めての日本代表活動への参加だったので、全てが新鮮で、周りもみんないい仲間ばっかりで、きつい中でも楽しめて頑張れたと思う」。

「僕がダイナボアーズに移籍したのは、代表ジャージーを着て試合をしたいのがきっかけだったので、正直うれしかったし、今までやってきたことは間違いではなかったという、自分の成長も実感できた瞬間だった」。

「(宮崎合宿メンバーに選ばれる、選ばれない)どちらにしても、代表ジャージーを着て試合をするのが目標なので、何があっても一喜一憂するわけでもないし、その目標を達成するまでは、ステップを上がり続けていると思う」と満足した表情を見せつつ、前を向いた。

いよいよ明日30日、6月6日から始まる宮崎合宿に参加するメンバー(33人の予定)が発表されるが、菅平合宿からは15人~16人選ぶ予定だという。菅平合宿のメンバーは宮崎で、合宿をリードすることが期待されている。

エディ・ジョーンズHC

「何人かの選手は宮崎合宿に連れていくが、(選ばれなかった)他の選手たちはシャドースコッドということになる。つまり、全員が日本代表としてプレーする準備をしなければいけない。パフォーマンスについて、いくつかフィードバックをするつもり」(ジョーンズHC)。

改めて、ジョーンズHCに菅平合宿を評価してもらうと「成長し続けなければならないので、満足することはないが、菅平合宿について、選手のコミットには100%満足している。だから、宮崎合宿でフルスコッドが揃って行えるのを楽しみにしている」と次のキャンプを見据えた。

『超速ラグビー』の形が少しずつ見えてきた菅平合宿。6月6日の宮崎合宿は、22日(土)のイングランド代表戦に向けて、新生エディー・ジャパンがさらなる強化を進めていく。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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