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前半、早稲田のアタックを引っ張ったSH宮尾
4月下旬から始まった13回目のラグビー関東大学春季交流大会。関東大学対抗戦とリーグ戦の上位3チームが、総当たりで対戦するAグループは、5月12日(日)に第2節を迎えた。
茨城・流通経済大学第1グラウンドでは、流通経済大学(昨季リーグ戦2位)が早稲田大学(昨季対抗戦3位)を迎えた。流通経済大学にとっては春季大会2戦目、早稲田大学にとっては初戦となった。
流通経済大学フィフティーン
4月28日の初戦、明治大学に38-89と大敗した流通経済大学の池英基監督が、「明治大学戦で課題が出たので2週間準備してきた」と意気込んでいた。
一方、5月5日に佐賀で慶應義塾大学との「早慶戦」を52-27で快勝した早稲田大学の大田尾竜彦監督は、「80分間、自分たちにフォーカスし、厳しいプレーをすること」などをテーマに掲げて春の公式戦初戦に臨んだ。
昨季、春季大会で早稲田大学が50-31で勝利した試合は曇天の中、13:00にキックオフされた。
試合早々、チャンスを得たのはホームの流通経済大学だったが、相手のディフェンスの前に得点することができない。すると徐々にスクラムで優勢だった早稲田大学のペースとなっていく。
2トライを挙げた早稲田FB矢崎
早稲田大学は副将のSH(スクラムハーフ)宮尾昌典(4年)が抜けだしチャンスメイクした後、21分、スクラムを起点にSH宮尾、U20日本代表のFB(フルバック)矢崎由高とつないでトライを挙げて、5点を先制する。
流通経済大学がチャンスで得点できなかった後の31分、自陣のラインアウトから展開し、WTB(ウィング)鈴木寛大(2年)が右サイドで大きくゲインし、SH宮尾、LO(ロック)西浦剛臣(4年)とつないでそのままトライ。SH宮尾がゴールを決めて12-0とリードする。
好調だった早稲田WTB鈴木
攻め手を緩めない早稲田大学は35分、FB矢崎が大きくゲインすると相手が反則。FB矢崎のクイックタップから中央にトライを挙げ、19-0として前半を終えた。後半、巻き返しを図りたい流通経済大学だったが、先に得点を挙げたのはリードしていた早稲田大学だった。
ラグビー関東大学春季交流大会2024
【ハイライト】Aグループ 流通経済大学 vs. 早稲田大学|早稲田が猛攻で大勝
後半5分、相手反則からゴール前ラインアウトのチャンスを得て、キャプテンHO(フッカー)佐藤健次(4年)がラインブレイクから左中間に押さえてトライ。さらに7分、相手キックオフから左に展開すると、WTB鈴木が抜け出して、フォローした途中出場のSH糸瀬真周(3年)が中央にトライを挙げて、33-0と大きくリードして勝負を決めた。
その後、流通経済大学も反撃。12分の攻撃はモールを押し込むものの、トライに結びつけることができなかったが、17分には自陣から相手のノックオンしたボールをWTBアポロサ・デレナラギ(2年)が1人でゲイン。そのままトライを挙げて、一矢を報いた。
ハットトリックを達成した早稲田HO佐藤主将
しかし、その後も『アカクロ』ジャージーの躍動が続き、HO佐藤がモールから2トライを挙げてハットトリックを達成。CTB(センター)野中健吾(3年)、WTB鈴木、LO栗田文介(3年)がトライを挙げる猛攻を見せた早稲田大学が、68-7でノーサイドを迎えた。
対抗戦の強豪にまたも大敗した流通経済大学の池監督は、「前半で取り切れるところで取れず、自分たちで流れを作れなかったことが差につながった。来週、もっと厳しくやって流れを作りたい」と次週の帝京大学(昨季対抗戦1位)との対戦を見据えた。
流通経済のLOシンクル主将
キャプテンのLOシンクル蓮は「前半終わったときは取り切れなかっただけで、まだ勝てる感覚はあったが、後半、細かい部分で相手に1ランクずつ上回られた。来週、帝京大学戦なので、格上と対戦した時にどう対応していくか、反省して頑張りたい」と話した。
春の公式戦初戦で、快勝スタートを切った早稲田大学の大田尾監督は「(相手を1トライで抑えたことに関して)ディフェンスは時間をかけてやっているし、一番プライドの見せ場なので良かった」。
スクラムは早稲田が優勢
「(まだ固定されていないポジションが多く)競争が高まるようなゲームが続くことはいいことだし、先週よりレベルアップしたプレーが見られたのは良かった。だが、もっと隙のないチームを作りたい」と振り返った。
キャプテンHO佐藤は「ちょっとしたミス、ペナルティはあったが、ディフェンスはいい規律で、いい強度で前に出てプレッシャーを与えられた。ただ全然、今回の結果にまだ満足していない。初戦とか関係なく、今季はすべて勝ちたい。早稲田は普通のアタック、ディフェンスをしていたら優勝できないので、激しく、鋭く、速くと、早稲田らしいラグビーをやりきりたい」と語気を強めた。
小さい頃から慣れ親しんだグラウンドで公式戦デビューの早稲田NO8城
この試合で公式戦デビューを飾った、昨季高校2冠の桐蔭学園と高校日本代表のキャプテンだったNO8(ナンバーエイト)城央祐(1年)は「まだ、ついていくのがやっとの部分もあるが、大学のフィジカルにだんだん慣れてきた。接点でファイトする、ワークレイト高くプレーすることは自分なりにできた」と笑顔を見せた。
開幕から2連敗となった流通経済大学は5月19日(日)、相手のグラウンドで大学選手権3連覇中の帝京大学にチャレンジする。白星スタートとなった早稲田大学も同日、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で東海大学(昨季リーグ戦1位)と激突する。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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