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ラグビー コラム 2024年2月8日

ラグビー日本代表エディ・ジョーンズHC、濃密な2日間となったトレーニングスコッド合宿を振り返る

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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2日間で行われた合宿

2月6日~7日、ラグビー日本代表のトレーニングスコッド合宿が、福岡にある日本代表の練習拠点「JAPAN BASE」で開催された。2日目の7日も午前中、1時間ほど、エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)らが、日本代表になりうる選手たち34名(うち大学生9名)を指導した。

リーグワン開催中ということで、午後には選手たちは帰路についたという。午前中のセッションが終わった後、ジョーンズHCが報道陣に対応した。

まず、9年ぶりに桜のエンブレムをつけて指導して「選手と同じように緊張した」というオーストラリア出身の指揮官は、「本当に楽しい合宿になった。若い人たちもすごく情熱的で、その若い選手がいたおかげで、シニアの選手たちのモチベーションが上がったし、新しいスタイルでラグビーをしようとしているので、たくさん学びができた」と振り返った。

エディ・ジョーンズHC

今回のキャンプは、日本ラグビーの強化拠点である「JAPAN BASE」では、初めて男子15人制の合宿となった。ジョーンズHCは、「芝生は少し改善しなければいけない。あと、リカバリーの施設を整備してほしい」と話したが、「いい雰囲気だったし、私たちのものだからね、素晴らしくないですか?」とコメント。

そして、「この8年で日本がどれだけ改善できたか、こんなベースができたのは素晴らしい。若い選手が、ここに来たいと思えるような場所だと思う。福岡は空港にも近く便利で、いろんなアドバンテージがあるので、もっとこの施設を使っていきたい」と語った。

改めてこの合宿のテーマを聞かれてジョーンズHCは「今回はコンセプト、概念を落とし込む、そういう目的だった。『超速ラグビー』とは?、そして、どうしたらできるのか?を伝えた。また、どういう目的に到達していくのかも話した。選手たちから、もっとやりたいという意欲が見られたし、いいスタートが切れた」と満足げに話した。

セレクションポリシーについては、「いつもベストな選手を見つけたい。1番キレのある、1番タフな選手、いいチームメイトである選手だったり、学びたい願望を持っている選手だったり、本当に成長したい人、そしてハードワークし続けたい人が誰かを見極める」。

「若い選手は発掘しないといけない。ご存知のように(2023年の)ワールドカップは、年齢の高い選手たちが集まっていた。いうことは、次の大会では多分、ベストな状態でなくなることが予測される。だから、その世代ごとに一番いい選手たちをピックアップしていく必要がある。もしかしたら、6月のテストマッチでプレーできる選手が中にはいるかもしれない」と説明した。

ジョーンズHCと言えば、2012~15年まで日本代表を指導してきた時は、情熱的なコーチングで知られていたが、今回の合宿では選手たちを褒めるシーンが目立った。「(9年前と)変わらないのがスタンダード。やり方が変わるかもしれないが、ワードクラスという高いスタンダードを継続することはやっている」。

「ただ、今の若い子たちはこういうふうにやりなさいと、こちらから言うのではなくて、ガイドしてあげる、うまく誘導してあげることが大事。機会を与えて、選手自身で解決策を考えるように促している」。

今回、印象的だった選手を聞かれて指揮官は、「学生2人。(京都産業大学1年生の9番・高木城治と、LO(ロック)石橋チューカ。若い選手で大学から来て、早く適応することができた。この高いレベルの強度にうまく適応していた」。

アピールしたSH高木城治

「チューカは若いLOで、スリムなので今後体重を増やさないといけないが、勤勉に取り組みたい、学びたいという願望を持っている。城治はラック付近も速くて、パスもまあまあいいし、すごく走れる選手なので、そういうSH(スクラムハーフ)が日本代表に必要」。

そして、「今後、期待している選手は、FL(フランカー)青木惠斗(3年)とWTB(ウィング)高本とむ(4年)。2人ともフィジカルがあり、青木はいいランニングができ、高本は抜く能力がある」と帝京大学の2人の名を挙げた。

帝京大学3年の青木恵斗

今回の合宿から、6番だけでなくLOにも挑戦しているリーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)、FL姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)の2人のシニアプレイヤーの取り組み、振る舞いにも感銘を受けたようで「若手の才能を発掘していくところで、お手本となる選手で必ず必要になってくる」。

リーチ マイケル(左)と石橋チューカ

「姫野、稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、リーチにはすごく重要な役割を果たしてもらわないといけない。若い選手たちがどれだけ早く成長できるのか否か、高いレベルのラグビーに対して、どれだけ早く学べて、適用できるか。この2日間を通して、すごく私は感銘を受けている」と目を細めた。

また、FLアマナキ サウマキ、NO8(ナンバーエイト)ティエナン・コストリー、SO(スタンドオフ)李承信(いずれも神戸コベルコスティーラーズ)の3人も「良かった」という。

ジョーンズHCは「学ぶ意欲、能力がある。リーグワンの大会の質がものすごく高くなっていて、しかも、世界で本当にもうベストと言われるコーチが今、日本にいる。選手たちの学ぶキャパシティーが上がってきた。そして、適応力も上がってきた。リーグワンのそれぞれのクラブでの、素晴らしい環境のおかげだ」と語気を強めた。

今回のミニ合宿は「クロスボーターラグビー」を戦っている昨季のトップ4チームからは、選手は招聘されなかった。そこから何人リストアップしているか明言することはせず、ジョーンズHCは「来られる選手の中から選ぶことしかできない。リーグワンも10試合残っていいる。その後、どう組み合わせで呼んでいくか考えていく」と話すにとどめた。

濃密な合宿となった

今後、リーグワンの「BYE WEEK」(試合のない週)や、プレーオフに進出できなかったチームから招集して、ミニキャンプを行うことはなく、本格始動は6月になってからだという。

改めてジョーンズHCは、「日本代表は(他の国と)違う形でプレーをしていかないといけない。リーグワンのシーズン中だし、クラブと違うプレーのやり方をしている。お互い敵で戦っていて、2日間は仲間になってと、そういう意味で難しいけれども、今日の練習も、昨日よりもはるかに良かった」。

「2日間で私がやりたかったことは、どういうスタイルでやって、その上で、何が必要なのかを落とし込むこと。自分勝手かもしれないが、知らない人たちに実際に来てもらい、『超速ラグビー』が、どういうものなのか、実際に体験してもらいたかった。すごく役立った」と目を細めた。

第2期エディー・ジャパンが始まり、2日間という短い期間ながらも指揮官にとっても、選手たちにとっても濃密な時間になったことは間違いない。34名の選手はそれぞれのチームに戻ったり、U20日本代表候補合宿などで切磋琢磨しながら、『超速ラグビー』を体現しつつ、ジョーンズHCへのアピールを続けていく。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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