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【ハイライト動画あり】静岡ブルーレヴズ、花園ライナーズから8トライを奪い約1年ぶりに地元ヤマハスタジアムで勝利。リーグワン第6節レポート
ラグビーレポート by 直江 光信
ともに今季より新体制でスタートを切ったチーム同士の激突。藤井雄一郎監督のもとで攻撃的なスタイルを追求する静岡ブルーレヴズが、向井昭吾ヘッドコーチ率いる花園近鉄ライナーズから8トライを奪う猛攻を見せ、50-12の快勝を収めた。
午後1時のキックオフ。序盤は今季初勝利に燃えるライナーズの気迫がフィールドに立ちのぼった。開始2分過ぎ、自陣22メートル線付近のキックレシーブからWTB木村朋也が判断よく切り返して大きくゲインし、サポートしたCTB小林広人がゴールラインに肉薄。ここはブルーレヴズの懸命のカバー防御にトライ寸前で阻まれたが、この一戦にかける意気込みを示すようなアグレッシブな姿勢で勢いを生み出す。
そして6分、相手陣ラインアウト起点の攻撃でテンポよくフェーズを重ね、左15メートル線上のラックからショートサイドへ展開。FB竹田祐将がタックルを受けながら粘ってボールを生かし、もぎ取るように抜け出したFL菅原貴人が左コーナーへ飛び込む。今季6試合目にして、ライナーズが初めて先制点を奪った。
しかしブルーレヴズもすかさず反撃。続くキックオフからの展開で相手の反則を誘い、相手陣ゴール前でマイボールラインアウトの好機を作ると、得意のモールでプレッシャーをかける。アドバンテージを得るや左オープンに展開し、きれいに外を余らせてWTBマロ・ツイタマが左中間に押さえた。
これでエンジンがかかったブルーレヴズは、13分過ぎにも自陣スクラムから大きくボールを動かしてゲインを重ね、一気に敵陣へ。ゲームキャプテンのFL庄司拓馬が右サイドでラインブレイクし、パスを受けたCTBチャールズ・ピウタウが滑るようなランでインゴールへ駆け抜ける。
その後しばらくはライナーズに攻め込まれるシーンもあったが、動じることなくきっちりと体を当ててピンチをしのぎ、じわじわと陣地を挽回。ゴール前ラインアウトから左順目に細かくフェーズを重ね、相手防御のギャップを切り裂いたFBサム・グリーンが32分にチーム3本目のトライをマークする。SO家村健太のゴール成功でリードは19-5に広がった。
このまま大きく流れが傾くかに思われた場面だったが、ライナーズもSOクウェイド・クーパーの戦う気持ちを押し出したプレーに牽引されて勢いを盛り返し、38分にCTBステイリンパトリックが死角から飛び込むように防御の穴を突き抜けてフィニッシュ。7点差に詰め寄ると、ホーンが鳴った後の40分にはSHウィル・ゲニアが猛然とバッキングアップに戻り、トライ寸前でFBグリーンをタッチへ押し出す。これで19-12のまま、ハーフタイムとなった。
どちらが先に追加点を挙げるかによって、その後の展開が大きく変わる状況で迎えた後半。開始早々にゲームの方向性を決定づけるシーンが訪れる。
46分、倒れたままボールを離さなかったブルーレヴズHO日野剛志の顔面をライナーズのSHゲニアが手で押しつけ、ファールプレーでイエローカードに。今季より試験的に実施されているオフフィールドレビューの結果、レッドカードにアップグレードされ、ゲームメイクのキーマンであるゲニアが退場になってしまう。逆に優位に立ったブルーレヴズは直後のスクラムからNO8マルジーン・イラウアがサイドを突破して左中間にグラウンディングし、26-12とリードを広げた。
さらに51分には中盤のペナルティでタッチに蹴り出すと見せかけてタップから右オープンへ展開し、WTB山口楓斗があざやかなフットワークで右コーナーに飛び込む。以後、ゲームの天秤は大きくブルーレヴズの側へと傾き、55分にWTBツイタマ、62分にはCTBピウタウがそれぞれこの日2本目のトライを奪取。リザーブのフレッシュレッグも次々と投入しながら主導権を握り続け、途中出場のWTB奥村翔の78分のトライで50点の大台に乗せたところで、フルタイムとなった。
地元ヤマハスタジアムでは約1年ぶりとなる勝利を挙げ、いい形で前半戦を締めくくったブルーレヴズ。これで今季の成績を3勝3敗のイーブンに戻し、勝ち点を16に伸ばして一気に5位へ浮上した。3トライ差以上のボーナスポイントも手にする完勝に、「しっかり点を取って前半戦を終わることができてよかった」と藤井監督の表情にも充実の色が浮かぶ。
一方、「ここからペースを上げようというところで、自分たちから崩れてしまった」と唇をかんだのはライナーズの向井ヘッドコーチ。不用意な反則から波に乗りきれず、レッド、イエローと2枚のカードで後半の大半を14人で戦うなど、この試合でも規律の乱れが大きな敗因となった。6試合での総ペナルティ数「92」はディビジョン1で飛び抜けて多く(他の11チームはすべて70未満で、最小のブルーレヴズは46)、ここに課題があることは明白だ。局面を見れば進歩を感じる要素も少なくなかっただけに、次節までの4週間で規律面を大幅に改善することが、チームとしての最重要テーマとなる。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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