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日本ラグビーに確かな足跡を残してきた名将が率いる新体制チーム同士の注目の激突。リーグワン第7節、静岡ブルーレヴズ×花園ライナーズ戦展望
ラグビーレポート by 直江 光信静岡ブルーレヴズ vs. 花園近鉄ライナーズ
藤井雄一郎と向井昭吾。それぞれナショナルチームディレクター、監督という立場で日本代表の指揮を執り、ラグビーワールドカップにおいて鮮烈なインパクトを残した名将だ。かつて宗像サニックスブルースとコカ・コーラレッドスパークスを率いて福岡の地に清きライバル関係を築き、独創的なスタイルとカルチャーを全国へ発信して多くのファンを惹きつけた信念のラグビー人でもある。その2人が、静岡ブルーレヴズと花園近鉄ライナーズの将としてふたたび相まみえる注目の一戦が、1月27日にブルーレヴズの本拠地、ヤマハスタジアムで行われる(13時キックオフ)。
ともに今シーズンより新体制となった両者の、ここまでの戦いぶりを振り返ってみよう。昨季全体8位のブルーレヴズは、開幕節から東芝ブレイブルーパス東京に30-43、コベルコ神戸スティーラーズに26-30と2つ続けて接戦を落としたものの、第3節で前年度王者のクボタスピアーズ船橋・東京ベイを終了間際の逆転トライで破り(23-19)、初勝利を手にした。その勢いに乗り、第4節では三重ホンダヒートに10トライを挙げる猛攻で62-13と快勝。1週後の東京サントリーサンゴリアス戦はラスト10分で2トライを許し、25-29で悔しい逆転負けを喫したが、上位勢とも互角に渡り合えるチーム力をあらためて示した。
藤井監督就任による変化を感じさせるのは、チーム全体のアタックへの意識の高まりだ。強力なセットピースとそれを基盤とする堅実なゲームコントロールといったこれまでのスタイル、強みは維持しつつ、クイックスローやキックカウンターも積極的に仕掛けるようになったことで、相手に脅威を与える要素が増えた。在籍13年目のベテランHO日野剛志は、「チャレンジャーなのだから、受け身になるのではなくパンチを打ち続けよう、と。そうしたマインド、ボールを動かしてアタックしていこうという意思は、着実に浸透してきていると思います」と手応えを口にする。
一方、昨季最下位(12位)で入替戦の末にディビジョン1残留を果たしたライナーズは、ここまで5戦全敗、勝ち点1の11位と、今シーズンも厳しい戦いを強いられている。もっともゲームを重ねるごとに内容は良化してきており、前節のトヨタヴェルブリッツ戦(1月14日)は最終スコアこそ14-47と開いたものの、後半20分まで14-28と粘り強く食らいついた。要のSOクウェイド・クーパーも第4節からスタメンに復帰しており、巻き返す態勢は整いつつある。
そのヴェルブリッツ戦でさまざまな局面においてひたむきにプレッシャーをかけ続ける姿勢が見られたのは、向井新ヘッドコーチの実直なコーチングがチームに浸透してきたことの証といえるだろう。最大にして明確な課題は、ペナルティの多さ。5節終了時点でトータル76の反則数は抜き出て多く、自陣に押し込まれ苦しい状況に追い込まれる決定的な要因となっている。プレッシャーがかかる中で規律高くプレーできるようになることが、浮上への条件といえる。
キックオフ48時間前に発表された登録メンバーをチェックすると、ブルーレヴズの前節からのスタメン変更は3人。左PRが河田和大から茂原隆由に替わり、7番は前節負傷したクワッガ・スミスが外れてリザーブから庄司拓馬が繰り上がった。庄司はゲームキャプテンも務める。
BKでは今季好調の山口楓斗がFBから右WTBにシフト。サム・グリーンが最後尾に入り、攻撃に厚みを持たせる。その他のメンバーは前節と同じ顔ぶれだ。
対するライナーズは前節からスターター8人をチェンジするなど大幅にメンバーを入れ替えた。FW第1列がネスタ・マヒナ、アンドリュー・マカリオ、三竹康太の3人にチェンジし、左LOには大ベテラン、39歳の松岡勇がイン。バックローは左FLに菅原貴人が入り、ジェド・ブラウンが7番、キャプテンの野中翔平は8番にシフトした。
BKは両CTBがステイリンパトリックと小林広人のコンビになり、中盤の攻守を引き締める役割を担う。FBは竹田祐将がSOで出場した第1節以来の先発復帰となった。
なお両者はトップリーグ時代から含めて過去11回対戦しており、ブルーレヴズ(前ヤマハ発動機ジュビロ)の8勝、ライナーズの2勝、1引き分けとなっている。ただ対戦成績ではブルーレヴズが大きく勝ち越しているが、内容としては僅差勝負のゲームが多く、昨季も後半14分までは14-17の3点差(最終スコアは14-34)という拮抗した展開だった。ともに調子を上げてきている中での対戦だけに、好ゲームを期待したい。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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