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【ハイライト動画あり】またも熱戦。ドロー決着から3年後の再戦は、激闘の末に筑波大が流通経済大を振り切る。ラグビー全国大学選手権3回戦レポート
ラグビーレポート by 直江 光信谷山隼大(筑波大学)
同じ3回戦で対戦した3年前の第57回大会は、19-19の引き分けの末に抽選で流通経済大が次戦への出場権を手にした。因縁の再戦となった関東大学リーグ戦2位の流通経済大と関東大学対抗戦4位の筑波大学の激突は、またしても最後のワンプレーまでもつれる激闘となった。
フィールドの大半をビルの影が覆う午前11時30分のキックオフ。序盤に主導権を握ったのは筑波大だった。開始直後の自陣でのディフェンス機を頑健なタックルでしのぐと、7分過ぎにマイボールスクラムからのサイドアタックでNO8谷山隼大キャプテンがビッグゲイン。すばやく左オープンに振ってFB増山将がフリーで抜け出し、先制のトライをマークする。
15分には中盤のラインアウトを起点にテンポよくフェーズを重ね、相手陣10メートルライン付近でペナルティを獲得。SO楢本幹志朗が風下の不利をものともせず約40メートルのPGをきれいに通し、10-0とリードを広げた。
しかし流通経済大もここから反撃に転じる。自慢のスクラムでペナルティを獲得し相手陣レッドゾーンでマイボールラインアウトの機会をつかむと、FWがドライビングモールでぐいぐいと前進。最後は右ショートサイドを突いてFL篠澤輝がコーナーに飛び込み、5点を返す。
ティシレリ・ロケティ(流通経済大学)
25分に筑波大がPGを追加したものの、流通経済大はその直後にWTBアポロサ・デレナラギの圧巻のキックカウンターから一気にゴール前へ攻め込み、ふたたび篠澤がインゴールへ。さらに36分にはゴール正面のペナルティでスクラムを選択し、NO8ティシレリ・ロケティが豪快なサイドアタックでポスト下になだれ込む。SO佐々木開のコンバージョンも決まり、17-13と逆転。
ただ筑波大もここで踏みとどまり、ホーンが鳴った後の42分にSO楢本が3本目のPGを成功。17-16としぶとく1点差に詰め寄って、ハーフタイムを迎えた。
後半はいきなりのビッグプレーで幕を開ける。筑波大の1年生FB増山がハーフウェー中央で相手キックをレシーブすると、なめらかな走りで流れるように相手防御の隙間を駆け抜けこの日2つ目のトライを奪取。SO楢本のゴール成功で、23-17とふたたび筑波大が前に出た。
ラグビー 全国大学選手権 23/24 3回戦
【ハイライト動画】流通経済大学 vs. 筑波大学
もちろん流通経済大もこのまま引き下がりはしない。続く自陣ゴール前でのピンチを懸命のディフェンスで耐えきると、圧倒的優勢のスクラムで立て続けにペナルティをもぎ取り、一気に相手陣深くまで前進。56分にラインアウトモールでなだれ込んだプレーが認定トライとなり、再逆転を果たす。さらにこの場面で横からモールに入った筑波大PR田中希門にイエローカードが提示され、10分間の一時退場となった。
一転して窮地に立たされた筑波大だったが、直後のキックオフでFW陣が判断よくブレイクダウンに人数をかけて押し込み、ペナルティを奪取。SO楢本のショットで3点を返すとともに悪い流れをすかさず断ち切ると、67分には数的不利をものともせずFWが近場勝負で押し込み、PR大塚椋生が左中間に押さえる。これでスコアは33-24と筑波大の11点リードに変わった。
勝負ありか。違った。逆転を信じ残る力を振り絞って攻める流通経済大は、77分に相手陣10メートル線付近でペナルティを獲得すると、PGを選択。SO佐々木が重圧を切り裂くようにこれを通し、ワンチャンスでひっくり返せる6点差に迫る。
一段と緊迫した空気がスタジアムを覆う中、流通経済大は続くキックオフから果敢にアタックを仕掛け、ラインブレイクしたNO8ロケティが一気にハーフウェー付近までゲイン。しかし筑波大も必死のカバーディフェンスでWTB大畑亮太がボールに手をかけ、ノックオンを誘発する。
ラストプレーとなった筑波大ボールのスクラム。流通経済大が最後の望みにかけるように猛プッシュで押し込むも、筑波大はNO8谷山がすぐに持ち出してラックを形成。タイムアップのホーンを聞き届けた後、SO楢本がタッチに蹴り出して、33-27の熱闘に終止符を打った。
密集戦で劣勢を強いられながらも要所で集中力を発揮して得点を重ね、リードを守り抜いた筑波大。強みを押し出したアタックで印象的な3本のトライを刻み、最後まで勝利への強い意志を示した流通経済大。お互い存分に持ち味を発揮し見応えある攻防を繰り広げた80分間は、これぞクライマックスの決戦というべき緊張感と魅力に満ちていた。
勝利した筑波大は12月23日の準々決勝で、対抗戦2位の明治大に挑むこととなる。10月1日の対戦は明治大が40-21で制しているが、後半9分までは筑波大がリードしており、それぞれ焦点を絞って臨む83日後の再戦はさらに白熱した展開となるだろう。60回の節目を迎えた大学選手権は、今後ますます目の離せない戦いが続きそうだ。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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