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左からSHスミス、FL姫野主将、SOバレット 写真提供:トヨタヴェルブリッツ
12月9日(土)に開幕する3シーズン目の「NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24」。昨季6位のトヨタヴェルブリッツが7日に会見を開き、「オールブラックス」こと。ニュージーランド代表で、ともに2023年大会まで3度のワールドカップに連続出場した、124キャップのSH(スクラムハーフ)アーロン・スミスと、119キャップのSO(スタンドオフ)ボーデン・バレットの2人が登壇した。
ヴェルブリッツのベン・ヘリングHC(ヘッドコーチ)は「2人とも素晴らしい人間であり、多くの経験を持つ選手。すでにチームに合流してから、大きくチームに貢献してくれているし、人としてプロとしてみんなから信頼されている」とコメント。
ヘリングHC(左)も加わり。写真提供:トヨタヴェルブリッツ
日本代表、そしてヴェルブリッツでもキャプテンを務めるFL(フランカー)/NO8(ナンバーエイト)姫野和樹は「最初からチームに良い影響を与えてくれていた。彼らが来たことで、チームに新たな自信が積み上げられたとすごく感じる。試合、すごいワクワクしてますね」と期待を寄せた。
冒頭、SHスミスは「リーグワンの経験は非常に楽しみにしているが、まずはチームとコネクトし、そしてファンのみなさんとコネクトしたい。開幕戦のチケットが完売で満席と聞いて、非常にうれしく思う。日本で過ごした、ここ数日間も非常に楽しんでいるので、今シーズン楽しみにしている」と話した。
また、SOバレットは「家族を含めて、チームに歓迎していただいた。日本での生活にも少しずつ、馴染んでいるし、日本に戻って来られて非常にうれしい。そして、新しい選手、プレーストラクチャーを学んでいるところだが、今週末、ファンのみなさんの前でプレーできることを楽しみにしている」と挨拶した。
スミスは初の海外でのプレー、そして、2021シーズンの東京サントリーサンゴリアスでプレーしたSOバレットは、2度目の海外でのプレーチャンスも日本を選んだ。
SHアーロン・スミス 写真提供:トヨタヴェルブリッツ
スミスは、「2019年ワールドカップの時に日本で10週間ほど過ごし、また戻ってきたいと思っていた。そして、私自身が日本の文化や歴史、ラグビーに非常に重きを置いている。他にも多くの友人、コーチ陣からたくさん日本について良い評価を聞いた」。
「まだ、来日してから8・9日だが、ヴェルブリッツファミリーのみんなに歓迎してもらい、とても充実した経験となっている。ただ、やはり来日した理由として非常に大きい部分は、スティーブ・ハンセン ディレクター・オブ・ラグビーとのコネクションだったり、元ハイランダーズのチームメイトである姫野選手との経験が大きい」。
SOボーデン・バレット 写真提供:トヨタヴェルブリッツ
一方、バレットは「スティーブ・ハンセン、アーロン・スミス、そしてLO(ロック)トム・ロビンソンといった親しい顔ぶれがいるということが理由としてある。前回日本に来日した時にも非常に好感触ではあったが、やはりコロナ禍で経験が非常に制限されていたので、今回は日本での観光なども含めて、楽しみにしている」。
そして、「みなさん、ご存じだと思うが、ニュージーランドラグビーにコミットすることが、先日発表された。やはり、ニュージーランド代表としてプレーしたいという意向に基づく判断になる。なので、ヴェルブリッツでプレーするこの1年間の中で、メンタル面でリフレッシュしながら、多くを学んで、ニュージーランドに帰国したいと考えている」と話した。
ラーメンが好き、とかねてから公言してる2人は、当然、オンフィールドだけでなく、オフフィールドも日本を楽しむ心づもりだ。2週間後に家族が来日するというスミスは、「日本食が非常に好き。焼肉、しゃぶしゃぶ、ラーメン、そしてスイーツやコーヒーなど、今、非常に楽しんでいる。また、歴史が大好きなので、休みの日に京都、富士山、名古屋城、そういった場所に行きたい」とオフフィールドでの日本での生活も楽しみにしている。
今回も家族で来日しているバレットも、「コーヒーを飲みに行ったり、子どもを公園に連れて行ったり、ゴルフ場に行ったりと観光の時間とも楽しみにしている。それと同時に今回はパンデミック下にないので、仲間との時間を多く過ごし、チームメイトのことを深く知りたいと思っている、家族が新居に落ち着いたら、オフフィールドの面で多くの時間を過ごし、そしてそれをオンフィールドへのいい影響につなげていきたい」と話した。
日本ラグビーの現状を聞かれて、オールブラックスの経験豊富なスミスは「日本代表チームは過去12年間、ラグビーワールドカップの3大会で、チームとしての成長というものが見られていると思う。それはクォーターファイルの進出だったりと、歴史を構築しているし、リーグワンも同様と言えると思う」。
「国内リーグの成長が代表チームの成長につながると思うし、外国人選手がリーグに入ることで手助け、または好影響を与えている。私自身も3、4回日本代表と試合をしたが、どの試合も非常に厳しい展開の試合とだった。若手の選手の成長も見られているので、今後の日本のラグビーは明るいと言えます」。
2度の世界最優秀選手賞に選ばれているSOバレットも、「日本ラグビーのイノベーション、革新的な要素は非常に高い位置にある。スコット・ハンセンやトニー・ブラウンがニュージーランドに持ち帰るようなラグビーは、やはりいいラグビーだと言えると思う」。
「日本の大学ラグビーもスキル、スピード、強度といった面でも非常に高い位置にあると思うので、日本ラグビーは非常に良い状態であると言えると思う。それが理由で、外国人選手も日本に来てプレーすることを選択している」と話した。
今季は世界中からトッププレイヤーがリーグワンに参加しており、特に対戦したい選手を聞かれて、バレットは「これまでのチームメイトの対戦があると思うが、クボタスピアーズ船橋・東京ベイのHO(フッカー)デイン・コールズとの対戦が楽しみ」。
「彼との対戦というのは、(ハリケーンズでチームメイトだったので)常にどこか興味深いもの。他にも、東芝ブレイブルーパス東京のSOリッチー・モウンガだったり、他のチームにも代表選手がいるので、様々なマッチアップが今季にある。時にラグビーをしていると、そういった巡り合わせというものがある」。
スミスは「やはり、コールズとの対戦は非常に楽しみだが、他にもCTB(センター)ナニ・ラウマぺ、NO8(ロック)アーディ・サヴェア、LO(ロック)プロディ・レタリック(いずれもコベルコ神戸スティーラーズ)など他のチームにも、このリーグを盛り上げるような選手が多くいる」。
写真提供:トヨタヴェルブリッツ
「他のチームでも、代表選手の中でレベルの高い選手もいて、南アフリカ代表SHファフ・デクラーク(横浜キヤノンイーグルス)との対戦も楽しみにしているが、それ以上に(ヴェルブリッツの)NO8ピーター・ステフデュトイ、そしてCTBシオサイア・フィフィタなど非常に好調なので、チームメイトと一緒にプレーできることを楽しみにしている」と意気込んだ。
今季、リーグワンで、どんなプレーがしたいか?と聞かれて、スミスは「日本のラグビーは非常に速い展開で、ラックアンドラン、そしてオフロードなどといったスキルも多く見られる。チームの強さだったり、自分自身の強さ、そういったものを前面に押し出していきたい」。
ヴェルブリッツには非常に力強いボールキャリア、SO、FB(フルバック)などに非常に優秀な選手がいるので、そういった選手に対して、スピードをつけた状態でスペースを見つけられるように、彼らの強みを生かせるようにプレーをしていきたい」。
また、バレットは「日本に戻ってきてこられて非常にうれしいし、自由さ、スピードを持ったプレーをしていきたい。スミスや福田健太選手ら、9番とのコンビネーションを楽しんでいきたい」。
第1節 トヨタヴェルブリッツvs.リコーブラックラムズ東京
「開幕戦では非常にフィジカルな試合になり、時に焦りがあるような場面もあると思うが、すべてが完璧になることはないし、まだ第1節なので、そういった心構えでいる」と語気を強めた。
ワールドカップで優勝経験があり、オールブラックスのキャップを100を超えるSHスミスとSOアーロン。国際経験豊富な2人が、ヴェルブリッツにどんな相乗効果をもたらすのか楽しみでならない。ヴェルブリッツは2人の力を借りつつ、2021年以来のベスト4に進出して、まずはプレーオフトーナメントにしっかりと駒を進めたい。
文:斉藤健仁/写真提供:トヨタヴェルブリッツ
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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