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ラグビー コラム 2023年12月4日

【ハイライト動画あり】帝京大、最後まで弛みなし。慶應渾身の防御から8トライを奪い全勝で3連覇決める。ラグビー関東大学対抗戦A最終節レポート

ラグビーレポート by 直江 光信
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延原秀飛(帝京大学)

慶應義塾大の選手一人ひとりの使命感をたたえたタックルは最後まで試合を引き締めた。そして、だからこそ帝京大の強さは際立った。最終スコアは54-10。大学選手権3連覇へ突き進む王者が、盤石の地力を示して関東大学対抗戦の最終戦を力強く締めくくった。

立ち上がりの15分は慶應の気迫満点のディフェンスが光った。キックの蹴り合いで優位に立つ帝京がたびたび相手陣22メートル線内に攻め込むも、前に出て低く食い込むタックルとひたむきなカバーリングで粘り強く対抗。懸命に食らいついて最後の一線を死守するシーンが続く。

奥井章仁(帝京大学)

ようやく帝京が得点を刻んだのは16分過ぎだ。ゴール前のラインアウトでスローが最後尾のジャンパーをオーバーしたところへFL奥井章仁が走り込み、あざやかにインゴールを陥れる。さらに22分にもラインアウトを起点にFWでラッシュをかけ、右大外のスペースをSO井上陽公→WTB小村真也できれいに仕留めた。

続く31分には、敵陣30メートル付近の左展開でHO江良颯のフラットパスに走り込んだLO尹礼温がポスト下へ一直線に駆け抜ける。さらに34分、ふたたびHO江良のパスを起点にCTB大町佳生がギャップを抜け出し、サポートしたSH李錦寿がフィニッシュ。リードを26-0と広げ、そのまま一気に波に乗るかと思われた。

しかし慶應もここで意地を見せる。37分過ぎ、WTB大野嵩明の果敢なハイボールキャッチから初めて相手陣レッドゾーンで攻撃機会をつかむと、SO磯上凌が正面約15メートルのDGを成功。残り時間も厳しいタックルで帝京のアタックを寸断し、26-3でハーフタイムを迎えた。

手応えをつかんだ慶應は、後半も意欲的に仕掛けて先に追加点を挙げる。開始直後、ふたたび相手防御裏へのパントキックでゴールラインに迫ると、キャプテンの岡広将に替わって先発の右PR吉村隆志がラックサイドをねじ込んで右中間に押さえる。FB今野椋平のコンバージョン成功で、スコアは26-10に縮まった。

ラグビー 関東大学対抗戦2023

【ハイライト動画】帝京大学 vs. 慶應義塾大学

ただ、ここで動じず、強引なプレーに傾くこともなく、自分たちのスタイルに立ち返って勢いを取り戻せるのが帝京大の真価だ。49分、ラインアウトからのサインプレーでNO8延原秀飛が抜け出し、タックルを受けながら右中間になだれ込んでトライ。これでイヤな流れを断ち切ると、以降も攻守に厳しく体を当ててプレッシャーをかけ、ほとんどの時間を相手陣でのアタックに費やす。

慶應も集中力を切ることなく懸命のディフェンスで粘りを見せるが、帝京はなおも真っ向から体を当て続け、じわじわと相手の体力を奪っていく。そして64分、辛抱強くフェーズを重ねてペナルティを獲得すると、CTB大町がすかさずクイックタップで仕掛け左中間にグラウンディング。勝負を決定づけるトライで、点差は40-10に広がった。

五島源(帝京大学)

その後、慶應が相手陣ゴール前に攻め込む機会を作ったが、帝京はあわてることなくタイトに体を当てて対応。堂々とこの局面を守りきると、80分を越えたところでFL奥井章仁、さらにキックオフレシーブから一発で切り返して途中出場のCTB五島源がインゴールに飛び込む。最終的には54-10までスコアを伸ばして、フルタイムを迎えた。

「慶應のひたむきさ、タフさを感じた試合でした。自分たちにはまだまだ成長できる部分がたくさんあるとわかったので、日本一に向けてがんばっていきたい」

帝京大のキャプテン、この日も全方位に能力を発揮してプレーヤーオブザマッチに選出されたHO江良颯の試合後のコメントだ。圧勝といえる内容にもうわつかず、まっ先に相手の渾身のチャレンジに敬意を表しつつ、シビアに自分たちの課題に目を向ける。地に足ついた語り口に、先を見据える視線の高さがにじむ。

帝京大学

これで3季連続の全勝優勝となり、対抗戦の通算優勝回数は12に伸びた。圧倒的な勝利を重ねながら、プレーの随所にまだまだ余力があることを感じさせる。あらためて隙のないチーム力を証明する最終戦だった。

結果としてビッグスコアでの敗戦となったものの、慶應義塾大も終了の瞬間までファイティングポーズを維持して持てる力を出しきった。「ミスをしても、抜かれてもいいから前に出てタックルをしようと。そこが早慶戦から一番変わったところで、前半帝京大を手こずらせる要因になったと思います。今後も磨いていきたい」と青貫浩之監督。生き生きとタックルし続けた選手たちの姿は、3勝4敗の5位で出場が決まった大学出場権でチームが進むべき道を示しているように映った。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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