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【ハイライト動画あり】伝統の「慶明戦」は合計16トライと点の取り合い。明治大学が慶應義塾大学に勝って開幕5連勝。ラグビー関東大学対抗戦
ラグビーレポート by 斉藤 健仁WTB海老澤琥珀(明治大学)のトライ
9月に開幕したラグビー関東大学対抗戦も後半に入り、強豪校同士が激突する。11月5日(日)、埼玉・熊谷ラグビー場では「黒黄」の慶應義塾大学と、「紫紺」の明治大学が対戦した。
慶應義塾大学は筑波大学にこそ惜敗したが、下位チームには勝利して3勝1敗(勝ち点14)で4位。一方の明治大学は開幕から下位チームに4連勝(勝ち点20)で、同じく4連勝の帝京大学に次いで2位につけていた。
優勝争いはもちろんのこと、伝統の「慶明戦」ということで、両校のプライドのかかった試合となると予想されていた。なお、過去5年の対戦成績は3勝2敗で明治大学がリードしていた。
すでに1敗している慶應義塾大学の前の試合からFB(フルバック)1人の変更にとどめた。FW(フォワード)はキャプテンのPR(プロップ)岡広将(4年)、ラインアウトの要・HO(フッカー)中山大暉(3年)、LO(ロック)はシュモック オライオン(4年)らが先発。BK(バックスは)SH(スクラムハーフ)橋本弾介(2年)、副将SO(スタンドオフ)山田響(4年)のハーフ団、U20日本代表の今野椋平(2年)が15番に入った。
慶明戦のスタメン
100周年を迎えている明治大学の神鳥裕之監督は、FWのメンバーは前の試合から1人、BKは3人変更して臨んだ。U20日本代表FL(フランカー)最上太尊(2年)が対抗戦で初先発となった。BKは、CTB(センター)キャプテン廣瀬雄也、SO伊藤耕太郎(ともに4年)らを中心に、先発唯一の1年のWTB(ウイング)海老澤琥珀(報徳学園出身)が対抗戦で初先発となった。
伝統の一戦は、快晴の熊谷ラグビー場でキックオフされた。序盤は「最初の20分で、しっかり相手の勢いを止めて自分たちのラグビーをしよう」と神鳥監督に声を掛けられた明治大学が素晴らしい展開力を見せる。
前半2分、FW、BK一体となって自陣からボールを左右に回して攻め込み、最後はFBに入った秋濱悠太(3年)、WTB海老澤とつないで左隅にトライ。4分、続くキックオフから、WTB安田昂平(3年)がゲインし、最後CTB平翔太(2年)が押さえて、14点をリードする。
ラグビー 関東大学リーグ戦2023
1:18 / 3:45 【ハイライト】慶應義塾大学 vs. 明治大学|明大が10トライの猛攻も後半は慶應が反撃
その後、明治大学のFL最上が危険なタックルでシンビン(10分間の退場)となる中、16分、相手陣奥のラインアウトからモールを押し込み、PR為房慶次朗(4年)が押さえて19-0と大きくリードする。
20分、慶應義塾大学はおうやく反撃。SO山田のキックからチャンスをつかみ、モールを形成、最後はLOオライオンが押さえて7-19とする。しかし、紫紺の勢いは止まらない。23分、ターンオーバーから攻め込み、CTB廣瀬がトライ、自身でゴールも決めて26-7、
26分にはFL福田大晟もトライ。28分には相手SO山田の個人技からトライを奪われたものの、CTB廣瀬の「50:22キック」から好機を得て、FB秋濱、39分にはCTB廣瀬が裏のスペースにキックし、FL福田がキャッチした後に上手くつないで最後はSO伊藤がトライ。
前半は明治大学が7トライを挙げて47-14としてほぼ勝負を決めた。しかし、さすが伝統の一戦である。後半、慶應義塾大学も決して諦めない。後半10分、明治大のCTB平にトライを許して14-54とされたが、19分にはLOオライオン、22分にはハイパントをキャッチしたFB今野がトライを挙げて26-54と追い上げた。
しかし、26分、明治大学はクイックタップからSH萩原周(4年)がトライ、28分には平がハットトリックとなる3本目トライを挙げて66-26と突き放した。だが、慶應義塾大学も意地を見せて、35分にはLO中矢健太(3年)トライ。ロスタイムにはNO8(ナンバーエイト)冨永万作(2年)トライを返して40-66としたが、試合はそのまま明治大学が勝利してノーサイドを迎えた。
POMのSO伊藤耕太郎(明治大学)
MIP(モスト・インプレッシブ・プレーヤー)には慶應義塾大学のCTB三木海芽(4年)が、POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)は明治大学のSO伊藤耕太郎がそれぞれ選出された。
後半は競ったが、前半の失点が響き敗れた慶應義塾大の青貫監督は「前半1本、2本と明治さんにトライを取られた後に受けに回ってしまったというのが一番大きい」。
「ハーフタイムに今日のプランを徹底しようと話しをして、後半それが少し改善できて、スコアも明治さんを上回れたというのは、非常に大きな収穫だと思う。今日の試合、良い点も悪い点も含めて、次に繋がるように成長していきたい。(成長させたい部分は)タックル」と前を向いた。
PR岡キャプテンは「前半の部分で大量得点を取られてしまうのは準備不足の部分が否めない。後半スコアを重ねることができたが、自分たちが何を大事にしたいのかをもう1回考え直して、早稲田戦に向かっていければ」と話した。
勝利した明治大学の神鳥監督は「相手に勢いを取り戻させてしまう時間帯をたくさん作ってしまったのは反省点。勝って反省できることは、一番大事にしているところなので、次に向けてしっかりとレベルアップして挑みたい。しっかり明治ラグビーを帝京大学さんにもぶつけることができれば、当然チャンスはある」と話した。
CTB廣瀬キャプテンは「伝統のある明慶戦に勝利できたことをすごくうれしく思っている。前半、自分たちのやりたいラグビーができて、いい形で前半を終えることができたが、後半、1つの流れで自分たちの波に乗れなかった」。
「慶應さんもプライドを持って戦ってきて、明治のプライドを出せずに後半を終わってしまった。後半だけのスコアでみれば、慶應さんに負けているので、選手も本当に納得いかない試合だった」と振り返った。
10トライを挙げて、3トライ差のボーナスポイントつきの勝利で、勝ち点5を得た明治大学。開幕から5連勝で総勝ち点を25に伸ばして単独首位に立った。一方の慶應義塾大学は3勝2敗で4位のままだが、総勝ち点は14から伸ばせなかった。
対抗戦も各校残り2戦ずつ。明治大学は11月19日(日)、東京・秩父宮ラグビー場で、同じく開幕から5連勝中の帝京大学と激突する。3勝2敗の慶應義塾大学は23日(木・祝)に東京・国立競技場で、ライバルの早稲田大学と100回目の「早慶戦」を戦う。
文:斉藤健仁/Photo by S.IDA
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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